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あの星空の下で  作者: 神城 奏翔
改正後
28/38

第1話 義妹



「ただいま」

「おかえりなさい。遅かったですね」

 家に入って直ぐにリビングから出てきたのは、水無月(みなづき) 優奈(ゆうな)

 俺の義妹(いもうと)であると共に、容姿端麗(ようしたんれい)才色兼備(さいしょくけんび)などと近所の人や友達に言われ続けている美少女だ。

 髪は後ろで1つに纏めており、髪の色は茶色。

 そして胸は小さすぎもなく大きくもない、丁度いい感じの大きさだ。

 ……俺としてはもう少し大きくてもいいんだけどね。

「兄さん? 何か言いたいことがありそうな感じの顔をしてますけど、なにか言いたいことでもあるんですか?」

 そんな思春期男ならではのことを考えていたら、ニコリと笑いながらも目は笑っていない優奈さんがいた。

 うん、ホントにこんなことを考えてしまうのは仕方ないよな、思春期の男としてね。

「まっさかぁ――、言いたいことなんてないぜ」

「……そうですか。ならいいです」

 あっぶねぇ――、助かった。

 今回はうまくいったけど、今度はわからねぇからさっさと話を進めよう。

 今更だけど、身をもってわかったことがある。

(女の勘って、こえぇ……)

 こんなに勘が働くものなのか?

 よし、これからは女の勘とやらに警戒して、言動にかなり気をつけようっと。

 心のなかも読んでくるから、思考にも気をつけないと駄目なのか。

「と、とにかく、色々あって遠くのコンビニまで行くことになったんだよ」

「……なるほど。色々あったんですね」

「あぁ、そういうことだ」

 これ以上、追尋されるとボロが出てしまう可能性があったので、早々に話を終わらせる。

 玄関にコンビニで買ってきた物が入っている袋を置き、靴を綺麗に揃えるように脱ぐ。

「あぁ――、またこんなにお菓子ばっかり買ってきて」

 俺を責めるような言葉が聞こえたので優奈のほうを見てみると、コンビニで買ってきた袋の中身を見ていた。

 人の荷物を勝手に見るなよ。

 家族に見られたくないものを買ってきてた場合、どうしたらいいんだよ。

 いずれバレるにしても、買ってきてすぐに捨てられるとか痛いよ。

 ……精神的にも、金銭面的にも。



「別にいいだろ……。俺のお金で買ったんだから」

「よくありません!! 

もし晩御飯が食べれなくなって、栄養が偏ったらどうするつもりですか?」

 そんな極端な……。

「大丈夫だって。ちゃんと考えて食べるから」

「むぅ……ならいいです。ご飯出来てますからちゃっちゃと食べちゃってください」

「おう。優奈はもう食べたのか?」

「ええ、ついさっき食べ終わりました」

 なんだ、一緒に食おうと思ったのに残念だな。

 まぁ、ウチの家族は全員、夕食を食べる時間が早いからな。

 一緒に食べれなくても、仕方ないといえば仕方ないか。

「そっか。じゃあ夕食、食べさせてもらうな」

 そういって俺は、リビングに向かっていく。

 見届けたかのようにリビングに俺が入った後、優奈は2階に上がっていく。

 ――ホント、良く出来た義妹だよ。

 ちなみになぜ、俺と優奈の血が繋がっていないのかというと、……俺の本当の両親は死んでしまったからだ。



 なんでも14年前の転落事故で一緒に死んだらしい。

 後に近所の人達に聞いた話だと、俺が二本足で歩くことが出来るようになったし、家族旅行ということでどこかに行こうか。という話をしていたらしい。

 そして当日、車で街から出て山道に入った直後に起こった人為的な事故みたいだったそうだ。

 確かにタイミングはバッチリだった。

 入った直後の落石なんて、事前に仕組まれたのかとしか良いようがないからな。

 もしくはかなり不幸な人がいたとしかね。

 それで、俺も転落は経験したみたいだけど、当時、赤ちゃんだった俺だけが運良く生きていたみたいだ。

 だが、この事件のせいで、孤児となってしまった俺を水無月家が引き取ったってわけ。

 本当は親戚や親族に回されるのが筋なんだろうが、運悪く親族がいなかった。

 ウチの親が死んだ途端、姿をくらましたり、亡くなったりしたからな。

 ――はい、これが俺と優奈が本当の兄妹ではない理由だ。



「はぁ、明日から学校か」

 夕食を食べた後、俺はソファーに座りながら憂鬱になっていた。

「めんどくせぇな。学校」

 どうせ、もう1回、1年で習ったところをまたするんだろ。

 ホント、めんどくさいだけだな。

 親による半分、無理やりに仕事を押し付けられたんだから。

 先生達もこっちの事情を考えてほしいよ。

 まぁ、今年からだいぶ、変えてくれるみたいだけどね。

「でもどうせだったら去年からしてろっての」

 はぁ、今更こんなことを言っても意味がないな。もう過ぎたことだし。

 ――風呂入ってもう寝よう。



 ガチャ

「はぁ、さっぱりした」

 自分の部屋に戻ると、ほんの少し髪の毛についていた水滴を綺麗にタオルでふき取り、座椅子に勢いよく座りこむ。

 そして隣に置いていた扇風機の電源をつける。

「あぁ~、涼しい」

 そんなことをして涼みながらTVゲームをする。

 ……さて、今日は2時間ぐらいで終わっとこうか。明日、学校もあるしな。




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