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死んでも生きても、異世界は疑わしい

初めまして。!七星名無しと申します

なんか応援コメントや感想頂けると幸いでございます。

20XX年、12月某日の夜。

俺の人生における最大の転機――いや、第二の人生の始まりは、この日だった。


――だが、話は少し遡る。



「ったく……もう朝かよ」


カーテンの隙間から差し込む光と、耳障りな鳥のさえずり。

目を開けた瞬間に理解する。ああ、今日も仕事に行く気がしない。


――ま、休むか。


「すみません、はい……まだ体調が優れなくて。ええ、明日には復帰しますので……はい、失礼します」


通話を切ってスマホを放り投げ、ベッドに沈む。

ふぅ。休むのは簡単だ。


最近の俺の唯一の趣味――いや、もはや生活の支え――は、異世界転生ゲームだった。

発売当初は社会現象レベルで流行ったらしいが、今やプレイ人口は激減。

それでも、このゲームだけがクソみたいな日常に、わずかな変化を与えてくれる。


思えば学生時代の俺は、それなりに優秀だった。博士課程だって狙えた……かもしれない。

だが、気づけば今の俺は借金まみれ。

母親は俺が生まれてすぐに病死、父親は行方不明。

日々の生活は、正直地獄だった。


「……ま、とりあえず今日もゲームするか」



夜も更け、腹が減ったのでコンビニに向かう。

わずかな所持金をかき集め、部屋を出ると、階段から向こうのドアが開く音がした。


「あ、こんばんは。えっと……」


「遊佐です」


「こんばんは、遊佐さん。最近ここに引っ越してきました。森と言います」


「本当は挨拶くらいしたかったんですけど……仕事が忙しくて、すみません」


「あ、いえ。別に大丈夫です。では」


――行っちゃった。

人と話すのが苦手な俺は、こういう些細なやり取りすら面倒くさく感じる。



コンビニに入り、いつものカゴにお菓子とカップ麺を放り込む。

レジに並んでいたその時――


バゴッ。


何かがぶつかった。振り向くと、ボロボロの制服を着た女子高生が通り過ぎていく。

歩き方もどこかおかしい……精神的に、かなりヤバそうだ。


……まあ、俺には関係ない。


しかし、その少女が道路の真ん中に立っているのを見た瞬間、流石に目を疑った。

「……何やってんだ、あいつ」


無関心でいるつもりだったが、正面から車のヘッドライトが飛び込んできた。

速度は30キロ程度。ブレーキは間に合わない。


……いや、関わるか?

人が目の前で死ぬ。それを見殺しにしたら警察沙汰だろうか。

別にどうでもいい。生きる意味も、やりたいことも特にないし、刑務所も悪くない。飯も出るだろう。


――そう思った瞬間、俺の体が勝手に動いた。



「クソッ、出血が酷い! このままだと出血性ショックだ!」


「輸血だ! 早く!」


「身分証がありません! 血液型が不明です!」


「何だと……クソッ!」


ピー――


心電図の電子音が響き渡る。

「23時52分。遊佐聡、死亡確認」


……死んだらしい。まあ、予想通り。

不思議と恐怖はない。ただ、少しだけ、「なんであの子は助かったんだろう」と思う。



「――おい、そこの者」


誰だ。暗闇の中から声が聞こえる。

何かが顔に触れた瞬間、世界が光に包まれた。


「やっと起きたか。何時間待たせるんだ」


目の前には、影に隠れた男。

「えっと……ここは天国? それとも地獄?」


「驚かないんだね。ここは人間界で言う天国だよ。君は死んだ」


……そうか、死んだらしい。まあ、別にどうでもいい。


「でも君の死に方は特別だ。人を庇って死ぬなんて、何百年ぶりかな」


「……で、あんたは?」


「ああ、僕? 管理人のエリザールさ。よろしく」


「……何者だ」


「神に近い存在、ってところかな」


「で、俺はどうなる」


「異世界に転生してもらう」


「……は?」


「君たちの世界で言う“異世界転生”だね」


「ゲームかよ……」


「いや、まあそうとも言える。君の死に方への“ご褒美”だ。人生、リスタート」


……本当に起きるとは思えない。半信半疑すぎて、軽く笑いそうになる。

「本当に? 俺、赤ん坊からスタートとか言われても信じられんんだけど」


「大丈夫。魔法や基礎知識は最初からインプットされる」


「……ほんとか?」


「任せて」


ポータルが開く。光が弾け、俺の体が吸い込まれる。

本当に転生するのか? いや、まだ信じられない……。


でも――動かされるままに、俺は流されていく。


流れの先に、ほんのり見えた異世界の地平線。

……いや、マジでここ、現実か?


疑心暗鬼のまま、俺の第二の人生が始まる――らしい。

読んで頂きありがとうございます。!

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