朝起きたら、オレンジ色だった。
しいなここみさまの「朝起きたら企画」参加作品です。
これは宇宙じゃないなと思っていたら、純文学ではないかと言われたので移動。
ぼくが朝起きたら、オレンジ色だった。
身体がオレンジ色だったとか、そういうことではない。
ぼくの存在が、「オレンジ色」だったんだ。
ぼくの存在は使われる毎に分断され、それを見る人の瞳に映り込む。
最初のうちは大変だったけれど、慣れると簡単だ。
それでも、たくさん分裂しないといけないけれど。
そんなぼくには、とりわけたくさん分裂しないといけない時がふたつある。
ひとつはハロウィン。
これは当たり前だろう。日本中にオレンジ色が飾られるのだから。
もうひとつは――夕方だ。
夕焼けは宇宙全体に広がる。
少なくとも、人の瞳の中ではね。
その瞳は本当にぼくのことを捉えてるのかな?
Q これ本当に宇宙ジャンル?
A 違ったよ。
Q こんなくだらないのどうやったら思いつくの?
A ハロウィンって調べたら一面オレンジ色だったからだよ。
Q 夕方って言ってるけど、世界の何処かはいつでも夕方じゃない?
A 日本語でオレンジ色なんだよ。これ以上は言うな。




