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バーミヤーナ星編 消えた基地

「ヘビス、ディバス、そしてテアン――かつての五龍軍団へ戻るため、彼らはバーミヤーナ星に帰還した。

しかし、待っていたのは歓喜ではなく、冷たい現実だった。

軍団の長は彼らに一切の情を見せず、無慈悲な言葉と共に門を閉ざす……。

深い失望と怒りを胸に、三人は決意する。

――ならば、神妖軍団の力を借り、自らの手で五龍軍団を叩き潰すのみ!」

―黄金峡谷の救出劇が終わった夜。


リルンとゴウはさすがに限界だった。甲板に倒れ込むように眠り、すぐに安らかな寝息を立てる。

一方、モディアックは手元の新戦利品――黄金刃――をいじっていた。刃文は星明かりを受けて淡く脈打ち、見るからに高級。だが、肝心の“強さ”は、まだ未知数だ。


その頃、ヘビス、ディバス、トアンの三人は思いを打ち明ける。

「俺たち、五竜軍団に戻りたい。もう一度、あそこで戦いたい」

ただ、連絡はつかない。神妖は五竜の窓口を知らず、三人も基地の番号を忘れてしまっていた。

――ならば行くしかない。

十尾狐号の自動航行を五竜軍団本部・バーミヤーナ星へ。表示された航程は六日。長い。しかし、帰属に賭ける決意の前では、ただの数字だ。十尾狐号は静かに宇宙へ滑り出す。


一日目――《世界事》更新


航行初日、モニターに《世界事》の戦闘板が弾けるように更新された。

トップに映ったのは、リルンの大写し。

今回「貢献者」として名を載せたのは、シンジラン、ゴウ、そして十三歳のリルン。王者二人を差し置き首位。それはたまたまではない。

あの大津波を追う船内で、リルンは自ら申し出た――「僕にやらせてください」。

ゴウは迷わず任せた――「マーティンを止めろ」。

できるのかと震えた心を、信頼が押し上げた。結果は、あの一撃。信じられたから、届いた。


三日目――“悪魔博士”の実験場


「異星」をかすめるタイミングで、“悪魔博士”アブトラから通信が入る。

――余ってる金、売ってくれないか。

ゴウは即決。「あるなら分ければいい」

降り立った基地の外は鬱蒼たる森。金属質の巨大グモ、岩肌のライオン、鎌を鳴らす怪物――千種千様の生命体が蠢いていた。内部には檻が並び、まるで生体兵装の工房。

十尾狐号の積載黄金900kgのうち、10kgを100万恒元で譲渡。アブトラは目をぎらつかせ、「もっと強い兵器を作る」と笑った。


バーミヤーナ星編 五竜の逐客令

六日目――帰還の門、閉ざされる


バーミヤーナ星に到着。単脚で跳ねるブタ、空を舞うゾウ……奇妙で愛嬌のある生き物が行き交う。

五竜軍団の基地前に立つと、重武装の衛兵が銃口を向ける。

「何者だ」

ゴウは即答。「この三人を返しに来た。元・五竜だ」

団長許可が下り、入城。――そして、団長イフィムと対面。

三人は頭を下げた。「戻らせてください!」

だがイフィムは一刀両断。「期限切れだ」

地面に突き落とされるような言葉。取りすがる懇願は一切通らない。イフィムは逐客令を下し、神妖ごと叩き出した。


門外に転がり出たヘビスは拳を握りしめる。

(あれだけ尽くしたのに、切り捨てるのか……)

胸の底に、黒い火が灯る。だが彼は知っている。いまの自分ひとりでは、五竜には勝てないことを。


ゴウも静かに怒っていた。

――命を賭した仲間を、道具みたいに扱うな。

十尾狐号に戻ると、ゴウはロ・クレリアに回線をつなぐ。

「イフィムは“使わない期間があれば不要”と見なしているだけだ」とロは言った。「だが、それは機会がなかっただけかもしれない」

話を切った直後、五竜の別働隊が飛来し、十尾狐号の離脱を強要。基地からは十分に離れているのに――ただの嫌がらせだった。

不毛な衝突を避け、神妖は空へ。だが、この一件はのちの大事件の導火線になる。


やがて、イフィムからの通信。

『お前らは弱い。言われるままに逃げる腰抜けだ』

嘲笑がスピーカーを汚す。

ゴウは立ち上がり、短く告げた。


「――五竜軍団を壊す。ひとり残らずだ。」


船内の空気が一変する。鬱屈は燃料に、鼓動は戦鼓に。

九王軍対九王軍、避けられぬ大戦のスイッチが入った。


バーミヤーナ星編 消えた基地


四十八時間後。

神妖軍団はふたたびバーミヤーナ星へ。今度は“覚悟”を積んで。

モディアックが先日と同じ座標に船を降ろす――固まった。

そこにあるはずの要塞は、どこにもない。

視界いっぱいに広がるのは、剥き出しの地盤だけ。

五竜の主基地が、痕跡だけを残して消えていた。


第一報は即座に《世界事》を駆け巡り、銀河規模の話題へ。

「五竜は滅んだのか」

「誰がやった」

悲嘆と困惑が交錯する。だが、神妖の胸にあるのは失望だった。

――自分たちの手で、終わらせるつもりだったのに。


犯人不明。

この謎は、やがて新たな戦火を呼ぶ。

宇宙は静かに回り続けるが、物語はすでに、次のページをめくっている。

今回は特別に短くて、本当にすみません……。

次の章から、軍団の運命が180度ひっくり返る!!!

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