表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/13

しょこうのとき

十三歳の少年・リード=リルン。

彼はある日、わずか十秒で二人の大人を打ち倒し、その力を〈神妖軍団〉に見出される!


突然の勧誘。突如訪れた、夢にまで見た宇宙への旅立ち。

そして、彼の人生初めての大冒険が幕を開ける――!


飛行船の中で出会ったのは、個性豊かな仲間たち。

笑い合い、食卓を囲み、そしていつか肩を並べて戦うであろう大切な仲間たち。


だが、リルンに休む暇はなかった。

初任務の地は、伝説の剣〈覚醒の剣〉が眠る惑星・ポクウォク星。

胸を高鳴らせながらも震える手を握りしめ、リルンは心の中で叫ぶ。


――「今こそ、オレの力を証明する時だ!」


仲間に認められるため。

夢を現実に変えるため。

少年は星の海を駆け抜け、最初の戦いへと飛び込んでいく!

――アシタ星・ラブラ島・バルンの街。

1156年12月10日。冬の冷たい朝。


けれど、その街角には妙に明るい活気があった。

子供たちの笑い声、大人たちの威勢のいい掛け声、どこかお祭りのような空気が漂っている。


そんな人混みを駆け抜けるひとりの少年。

名前はリード・リルン。今日で十三歳になる、ごく普通の少年――のはずだった。


「よっしゃ! 今日こそは最高の一日にするぞ!」


彼はいつもより早起きし、胸を躍らせながら家を飛び出していた。

笑顔で近所の人々に挨拶を交わし、軽やかに街角を走り抜ける。

そう、本人にとっては――この日が、人生の大きな転機になるなんて知る由もなかった。


「おい、ガキ……運が悪かったな!」

突然、荒々しい手が彼の腕を掴んだ。


現れたのは二人のごろつき。横顔は醜く歪み、獲物を見つけた猛獣のように牙をむく。

リルンは驚きのあまり声も出せず、必死に暴れた。


しかしその瞬間――

ふっと、体が軽くなり、ごろつきの手が空を掴む。


「な、なにっ!? 消えた……!?」


次に視線を向けたとき、そこに立っていたのは震えながらも目を強く見開くリルンの姿。

彼の体からは、今にも爆発しそうな力が溢れ出していた。


「うああああああっ!」


足元から稲妻のような衝撃。

次の瞬間、リルンの小さな体は矢のごとく突進し、ごろつきの腹に直撃する!


「ぐぼっ!?」

「わあああっ!?」


二人は麻袋のように吹き飛ばされ、地面を転がりながら悲鳴を上げる。

「ば、化け物だぁあああ!!」


彼らは蜘蛛の子を散らすように逃げ去り、路地に残されたのは荒い息をする少年ひとり。

自分の震える手を見つめ、呟いた。


「い、今の……本当に……オレの力……?」


その時だった。

ざわめく人波が割れ、一人の巨漢が静かに歩み出る。


街全体を圧するような存在感。

リルンの瞳が大きく見開かれる。


――九王軍の一角、〈神妖軍団〉団長、キースア・ポン!


「な、なんで……本物!?」


雑誌で何度も見た顔。その男は目の前でしゃがみ込み、少年に問いかけた。


「小僧。オレたち〈神妖軍団〉に来る気はあるか?」


その声は重く、だが不思議なほどに心を揺さぶった。


リルンは呆然とする。自分のような小さなガキが……九王軍に?

だが、ポンの目には一切の冗談がない。


心の奥底に眠っていた夢が浮かび上がる。

――この星を飛び出し、広い宇宙を冒険したい。

その憧れが、今、現実と重なった。


「……オレ……行きます!」


少年はついにうなずいた。


ポンの口元がわずかに笑みを刻む。

そして彼を連れ、神妖軍団の仲間たちが待つ市場へ。


「団長、それ……本気ですか? ただの子供じゃ……」

「買い物が終わったら、飛行船に戻るぞ。」


冷ややかに返すと同時に、巨大な飛空艇が咆哮を上げ、空を裂いて宇宙へと上昇していく。


胸を高鳴らせるリルンは、不安と期待に挟まれながら小さく呟いた。

「……宇宙で、息……できるのかな……」


そんな彼に声をかけたのは、眼鏡をかけた知性の男――〈世界教授〉モディアク。

「心配いらんよ。これはアシタ星最高の技術の結晶さ。」


やがてポンは仲間たちを前に、堂々と告げた。

「次の目的地――ポクウォク星。目標――神剣〈覚醒の剣〉の奪取だ。」


その名に場の空気が一変する。

伝説級の聖剣、選ばれし者のみが扱える究極の刃。


リルンの胸は再び高鳴る。

「これが……オレの冒険の始まりなんだ……!」


船内で、彼は仲間たちと出会う。


万物を知る知恵者――〈世界教授〉モディアク。


その拳ひとつで戦局を覆す男――〈神の一拳〉キースア・ポン。


「宇宙一」を夢見る雷鳴の狂戦士――〈雷神〉シンジラン。


豪快な料理で仲間を支える炎の料理人――〈炎帝〉ロック。


サポートの達人――〈大助〉カイ。


どんな機械も修復する天才工匠――ビリー・ヴァルクシア。


皆の癒しであり、治癒を担う団のマスコット――トスカイ・ドメグ。


夜になると、ロックが渾身の料理を振る舞う。

「今日は特別だ! 俺の最高のステーキだぞ!」


肉汁が滴る一口を頬張った瞬間――

「う、うまっ!!!」

リルンは思わず声を張り上げ、笑顔で何度も叫んだ。


ロックは鼻を鳴らし、誇らしげに笑う。

「はっはっは! もっと食え、坊主!」


そうして賑やかな夜が過ぎる。


十三歳の少年、リード・リルン。

心臓がこれまでにないほど大きく打ち鳴らす。


――彼の宇宙冒険は、ここから始まったのだ。

第一章を書いているとき、ワクワクする気持ちと同時に、不安な気持ちもありました。

ワクワクするのは、自分で作り上げた小さな宇宙がすごく気に入っているからです。

不安なのは、その中のストーリーが皆さんの好みに合わなかったらどうしようと思うからです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ