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第9章:傲岸不遜な“支配者”を籠絡!

 VRMMORPG《Twilight Fantasia》の世界で、シフォン(Ciffon)のハーレム計画は止まらない。

 戦士、アサシン、ヒーラー、ギルドマスター、NPC鍛冶屋、黄金王、中二科学者、新世界の神志望の男たちと、彼女は意のままに取り込み、どんなタイプでもあざとかわいい戦略で落としてきた。


 だが、まだまだ冒険は続く。

 今回、シフォンが目をつけたのは、圧倒的なカリスマ性を持ち、他者を虫けら同然に見下す究極の傲慢キャラ。聞くところによると、「この世界など俺が支配して当然だッ!」と豪語し、奇妙なポーズや不敵な笑みで人々を震え上がらせる存在がいるらしい。

 その名はディオン(Dion)――己を頂点とし、絶対的な権力者として振る舞い、あまつさえ時間を操る特殊スキルまで所持しているとか。まさに『ジョジョの奇妙な冒険』に登場するDIOを思わせる男だ。


 シフォンはふわふわロングヘアとパステルフリル魔導服、ウサギ耳アクセを揺らしながら、ディオンがいると噂される夜の領域へと足を運ぶ。

 そこは薄暗く、古城の廃墟が立ち並ぶエリア。月明かりが奇妙に揺らめく中、石畳の広場に威風堂々と立っている男がいた。


 黄金の髪をかきあげ、黒と金を基調とした特殊なコスチュームを纏い、鋭い目つきで周囲を見下ろす男――ディオン。

 彼は低く笑い、

「フン、下等な雑種どもが俺の領域に足を踏み入れるとは愚かだ……!」

 と独り言のように呟く。夜陰に紛れたモンスターたちすら、彼を恐れ距離を置いているようだった。


 シフォンは少し距離を置いてから、あざとく小首を傾げ、柔らかな声で呼びかける。

「えへへ……あの、あなたがディオンさん……ですか?」


 その問いかけに、ディオンは振り返り、目を細める。

「ほお? こんな弱っちそうなフェアリーが俺様に話しかけるとは……図々しいぞ、チンケな小妖精族め。貴様、俺を知らぬわけではあるまい?」

 彼の声は低く、挑発的だ。まるで「俺を崇めない者は愚か」と言わんばかり。


(やっぱり強烈なキャラクターね。でもこういうタイプは、圧倒的な強さと独特の美意識を素直に褒めると喜ぶはず)


「もちろん存じ上げてます! ディオンさんは、この世界で恐れられるほど強くて、誰もがひれ伏すほどの存在なんですよね。私、ディオンさんの噂を聞いて、思わず見てみたくなっちゃったんです♪」

 シフォンは興味津々な瞳でディオンを見上げる。ウサギ耳アクセを揺らし、無邪気な好奇心をアピール。


「フハハハハ! そうか、貴様のような弱者でも、俺の威光を感じ取ってここへ来たか……わかっているではないか!」

 ディオンは首をかしげ、奇妙なポーズを取りながら高笑いする。その仕草はまるで舞台俳優のように派手だ。


(ふむ、思った通り賞賛を素直に受け止めるタイプね。さらに強さと存在感を持ち上げよう)


「わぁ……ディオンさん、本当にオーラがすごい! こんな夜の闇さえ支配しているみたいですね。私、ちょっと怖いけど、ディオンさんはとってもカッコいいから……ううん、惹かれちゃいます♪」

 シフォンは声を軽く震わせ、憧れと畏怖が入り混じったようなトーンで褒める。

 “怖い”けど“カッコいい”と言われれば、ディオンは優越感に浸るだろう。


「ほほう、貴様、その無邪気な笑みで俺を褒めそやすか。悪くない、悪くないぞ! チンケな連中は俺を恐れるだけで、崇める心が足りん。だが貴様は違うな……ククク」

 ディオンは満足げに微笑む。すでに彼はシフォンを他の凡人よりマシな存在と見なし始めている。


(いい感じ! DIO系キャラは世界征服欲や支配欲が強い。ここで「ディオンさんが世界を支配すれば素敵な世の中になるんでしょうね」とか言って彼の野望を肯定すると喜ぶはず)


「ディオンさん、こんなに強くて素敵な人が、この世界を支配したら……いえ、きっともっと美しく、秩序ある世界になるんでしょうね。私、そんな日が来るのを想像したらドキドキしちゃいます!」

 シフォンは瞳を輝かせて言う。まるで英雄譚を聞かされた少女のように純粋な憧れを込める。


「フハハハ! そうとも、俺が支配すれば、この薄汚い連中が闊歩する愚かな世界は一変する! 俺はこの世界の時を操り、全てを意のままにするのだ。ザ・ミラージュ・ワールド(仮名)! …まあ、それは今名づけたが、ともかく俺様の能力があれば……」

 ディオンは得意気に語り始める。彼は時間干渉系の特殊スキルを持っているらしく、自分がいかに無敵かを吹聴する。


(スキル自慢! これはチャンス。驚きと称賛で彼をさらに気分よくさせよう)


「時を……操るなんて、すごすぎる! ディオンさんって、本当に神様みたいな力を持っているんですね。私、信じられない! そんなことできる人、他に聞いたことないです!」

 シフォンは目を丸くして驚く。あざとく手を胸にあて、息を呑む仕草で、全身で尊敬を表現。


「フフフ、当然だ、貴様ごときが理解できるはずもなかったろう。だがその純粋な驚きは心地よい! 貴様、名を何という?」

 ディオンはようやくシフォンの名前に興味を示した。これは彼が相手を人間扱いし始めた証拠だ。


「私、シフォンっていいます♪ ディオンさん、こうやってお話できて嬉しいな。だって、これまで強い人に会ったけど、ディオンさんは別格……威圧感が違うんだもの!」

 さらに特別感を強調。今まで会ったどんな強者よりも上と評価すれば、彼の自尊心は最高潮に。


「ほう、貴様、既に強者たちを知っているのか? だが俺様と比べるなど滑稽だ! 俺はこの世界に君臨する存在……! シフォン、貴様は正しい判断をした。俺の前で怯えるだけでなく、その偉大さを称えるとはな!」

 ディオンは愉悦に浸る。明らかに気分が良くなっている。


(そろそろ「私、お手伝いできることがあったらやりたいな」とか言って、私の価値を提示してみよう)


「ディオンさん……私、弱いかもしれないけど、もしディオンさんが世界征服とか何か計画を進める時、ちょっとした情報集めやサポートならお手伝いしたいな。ディオンさんが輝く瞬間を少しでも近くで見ていたいんです♪」

 シフォンはほんの少し控えめに提案。DIOタイプは下僕を従え、そこから絶対的服従と崇拝を得ることで満足する。


「フハハハ! シフォン、貴様、俺に仕えると? 弱き存在が俺様に何をできるか疑問だが……まあよい。俺は気が向けば使える道具を増やしてもいい。貴様が俺の計画に役立つなら、見返りをくれてやらんでもない!」

 ディオンは上から目線で許可する。既に彼女を“従僕候補”として考え始めている。


「やったぁ♪ ディオンさん、優しいんですね! 私みたいなのにも目をかけてくれるなんて……私、ディオンさんが世界を支配する日が来るまで、全力で応援します!」

 あえて「優しい」と言う。DIO系キャラは普段“優しい”とは言われないはず。これで微妙な恥ずかしさと快感を与える。


「なッ、優しいだと? フハハハハ! 俺様が優しいなどと……くだらん! だが、そうだな、忠実な下僕には多少の慈悲を与えるのは俺の器量の広さだ。貴様が俺に心酔するなら、それも悪くはない……ククク」

 ディオンは照れ隠しのような笑い方で誤魔化すが、確実に心地よさそうだ。


(完全に落ちたわね。あとは「ディオンさんと一緒なら安心」とか言って彼に頼りたい意思を示せば、彼はさらに保護欲をそそられるはず)


「ディオンさんがいるだけで、私、どんな危険な場所でも安心できちゃいそう。私、本当は戦闘とか怖くて……でもディオンさんが守ってくれるなら、もう何も怖くないかも♪」

 あざとく怯えた少女のフリをする。強大な力を誇る彼なら、「俺が守ってやる」という発想をしたくなるはずだ。


「フン……守ってやる? 貴様が俺に尽くすなら、その程度のことは造作もない。俺の力は絶対であり、時を止めるこの能力があれば、どんな敵も瞬く間に排除できる。ふははは、震えろ、そして俺を讃えろ!」

 ディオンは再び大仰なポーズで高笑いする。シフォンの哀願を受け、実質「守る」と認めた。


(よしよし、これでディオンさんも私の虜ね!)


「わぁ、頼もしい! ディオンさんって最高……! ディオンさんが側にいてくれるなら、私、もっと世界を楽しめそうです。だって、ディオンさんこそがこの世界で一番輝いてる存在なんだもの♪」

 最後にもう一押し、彼を世界一と称えることで、彼の自尊心は最高潮に達する。


「世界一だと!? フハハハハ! 当然だッ! 貴様、シフォン、といったな。よろしい、その無邪気な賛辞、買ってやる。これから貴様は俺様の目につく範囲で生きろ。俺がこの世界を掌中に収めるその日まで、その存在を許してやる!」

 ディオンは完全に彼女を特別扱いしている。最初は雑種扱いだったが、今や興味深い下僕として、彼女を手元に置きたくなったようだ。


(成功♪ DIOのような傲慢不遜なキャラもあざとかわいく褒めればイチコロね)


 こうして、第9の“推しメン”、DIOを彷彿とさせる圧倒的カリスマと傲慢さを備えたディオンを攻略したシフォン。

 これでまた一人、彼女が呼べば喜んで現れ、圧倒的な力で敵を蹴散らし、シフォンを称賛してくれる存在が増えた。


 シフォンはあざとく微笑み、ウサギ耳をぴょこんと揺らして、「ディオンさん、これからよろしくお願いしますね♪」と甘い声で告げる。

 ディオンは「フハハハッ、当然だ! 俺がその気になれば、お前の望みなど容易く叶えてやる。崇めるがいい、我が名を!」と大口を叩くが、すでにシフォンの笑顔に心地よく酔っていることだろう。


 こうして、VR世界のDIO的存在すら、シフォンの無邪気なあざとかわいさに屈服した。

 彼女は「みんな仲良しだね~♪」と無自覚を装うが、その背後には強者たちがひれ伏し、笑顔で支えるハーレムが構築されている。

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