私、超能力が使えるんです!
高校三年生の私の周りには、とても変わった人が大勢いる。
何人か紹介する。
まず一人目、私の友達の一人なのだが、彼女は……。
「ねえねえねえねえ! 私さ? 超能力使えるようになっちゃったんだよー!」
と、私に言って来た。
どんなどんな? と彼女のノリに乗るように聞いてみると彼女は……。
「気になる? 気になっちゃう? 私が使えるようになった超能力は……手を使わずに頭で想像した絵が描けちゃう超能力! 凄くない? ねえ!」
と言って、私に何枚か絵を見せて来た。
「じゃーん! これ全部超能力で描いたんだー!」
それらの絵はどれも緻密に描かれており、私個人の感想で言えば、完璧な出来だった。
私は彼女に言った。
私の持っている自由帳に私の顔を描いてよー! と……。
彼女は……。
「オッケー!」
と言って、私の持っている自由帳をじっと見つめ始めた。
しかしいくら待っても、自由帳には何も描かれなかった。
「あれ? なんでだ? 何時もはこれで……」
私は彼女に言った。
そんな嘘つかないで、自分の腕だって自慢すれば? と……。
次は、また私の友達の一人なのだが、彼女は……。
「私、超能力が使えるようになったの!」
と、私に言って来た。
どんな超能力なのかと聞くと彼女は……。
「私ね、手を使わずに、頭のイメージだけで物を切る事が出来るの!」
と言って来た。
更に彼女は続けた。
「最初は、手首を切るイメージをしちゃった時に、何もしてないのに、スパ! って手首が切れちゃって……大事には至らなかったけど……ほら」
と言って、彼女は左手首を見せて来た。
そこには確かに切った痕跡が残っていた。
私は彼女に言った。
私の持っている消しゴムを、超能力で真っ二つにしてくれない? と……。
彼女は……。
「うん! 分かったよ!」
と言って、私の持っている消しゴムをじっと見つめ始めた。
しかしいくら待っても消しゴムは真っ二つにならなかった。
「あれ? おかしい……こうすれば切れるのに……」
私は彼女に言った。
何時でも相談に乗るよ? と……。
最後にもう一人だけ紹介する。
私の幼馴染なのだが、彼女は……。
「実は私、昨日、超能力者になっちゃったんだ」
と、私に言って来た。
へーどんな超能力? と聞いてみると彼女は……。
「なくしものを探し出す超能力。ほらこれ、小学生の時に掃除中になくしちゃった、初めて折ることが出来た折り鶴。これ、超能力で見つけたの」
と言い、折り鶴を見せて来た。
それは確かに、小学生の頃、彼女が初めて折る事が出来たと、喜んで見せて来た折り鶴だった。
一週間後に部屋の掃除をしている時に、何処かへ行ってしまったと、当時彼女が物凄い悲しんでいた記憶がある。
私は彼女に言った。
私が一昨日なくしちゃったイヤホンが、何処にあるか教えて? と……。
すると彼女は……。
「分かった! 探してあげる」
と言って目を瞑った。
暫くすると彼女は……。
「あれ……分からない……どうして……何も見えない……なんでよ」
と呟き始めた。
私は彼女に言った。
大切な思い出の品が見つかって本当に良かったね! と……。
このように私の周りには、変わった人が沢山いるのである。
先ほど私が言った三人以外にも山ほどいる。
これは私も不思議としか思えないのだが、殆どの人が、超能力が使える! と言って私に披露しようとして、失敗しているのである。
まるで、私が磁石になったかのように、次から次へと超能力を披露しようとする人を、ひきつけてしまっているのである。
これは……超能力なのであろうか……。
まあそれはともかく……ここで重大な発表をしようと思う。
実は……私が本物の超能力者なのです。
先ほどした話の内容により、信憑性も説得力も一切ありませんが、本当に超能力が使えるのです。
私の使える超能力は、人の未来を見る事が出来る超能力です。
せっかくですので、私の話を聞いて下さっている貴方の未来を見て、教えてあげます。
これで私が、本物の超能力者だと言う事が、証明出来るはずです。
それでは始めます。
あれ……調子悪いな……見えない……何で? いや……誰にも見られていない時には確かに出来たんだ……どうして……これではあの人達と同じだ……。
はい? いや別に……今日はちょっと調子が悪いみたいで……でも信じて下さい! 私は本当に超能力が使えるんです! ですからどうか私から離れないで下さい……離れな……。