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24 かくして現実は追いついた

 マルコシアスが前回に召喚されたのは、ほんの数日前――ジュダス・ネイサンに召し出されたときだった。


 前々回は四年前、召喚主はシャーロット・ベイリー。

 その前は七年前、召喚主はシャーロット・ベイリー。


 そしてその前は三十余年前であり、召喚主の顔も名前も覚えてはいない。

 召喚自体がきわめて短期間だったということもある(召喚主の側に、マルコシアスを長期間留めておくだけの報酬の用意がなかったのだ。なお、マルコシアスは召喚されていた時間の半分以上を、とある詩人の証言に費やしたので、召喚主は憤怒のあまり卒倒したことだろう)。


 さらにその前回となると、期間は開いて百余年前、とある男の護衛として召し出されたときだ。



 百年前の召喚よりも以前の召喚を思い起こしてみれば、マルコシアスは護衛の任を預かることが最も多く、戦場を踏んだことも数知れない。


 三百年ほどさかのぼれば、戦争に悪魔が使われていた全盛期の時代にあって、ひとつの召喚が終わった直後にまた召喚され、それも前回の主とは敵方の陣営の魔術師が召喚主であった――ということも、数多く経験してきた(ちなみにマルコシアスは、前回は自分に忠実に仕えたはずの魔神が、今度は敵陣営にいることに気づき、絶望に染まる親愛なる元主人の顔を観察するのを、一時期は至上の喜びとしていた)。



 そうして数多くの戦場を経験してきたマルコシアスであっても、こうも不利な戦場は初めてだった――これを戦場ということが出来れば。


 客観的にみれば、それはただの狩りだった。

 狩られる側がどちらかは言うまでもない。



 アモンは面倒そうな足取りで空中に上がってきて、すかさず逃げを打とうとした格下の魔神たちに向かって、たしなめるように指を振る。


「いいかい、追いかけっこは好きだけれど、別に弱いものいじめは好きじゃないんだ。

 マルコシアス、きみも馬鹿じゃないなら、さっさとわが兄弟の目玉を返してくれ」


 マルコシアスは器用に空中で後退った。

 内心では、その案も大いに検討に値するということは分かっていた。


 とはいえ、


「僕のレディが喜ばないもんでね」


 アモンは意外そうに目を瞠ってみせる。


「彼女のことが気に入ってるんじゃないの? 気に入ってるなら、彼女が喜ばないことを()()()としてやればいいのに」


 マルコシアスはさらに一歩後退り、残りのハーゲンティとオリアスとダンタリオンが、いつの間にか自分より後ろにいることに気づいた。


 オリアスに関していえば、馬の真紅の毛並みとライオンの黄金のたてがみの色が、ともにくすんできているように見える。


「あー」


 マルコシアスは時間を稼ぐためだけに、間延びした声を出した。


 かつてないほど危機的な状況、序列七番のアモンが眼前三十フィートにいるという状況に、「逃走」の選択肢が魅力的にきらめいている。


「あー、そうかもね?」


 アモンがさらに空中を進んだ。


 だれが何の合図をしたわけでもなかったが、その一歩が号砲であったかのように、四人の魔神が一斉に身を翻して空中に散開した。


 マルコシアスは後方上空に、盛大な宙返りをするような身ごなしで飛び上がった。

 ダンタリオンは下へ、オリアスは後ろへ、ハーゲンティはアモンから見て右へ――


 四方に散開した魔神たちが、示し合わせてそれぞれがアモンを指差した。


 空気が唸る轟音が響き渡り、魔神四人分の渾身の魔力を受けて、アモンの頭上の空が不穏に輝いた。

 一秒と経たず、そこに分厚い雲が渦を巻きながら発生する。


 グレートヒルにいる誰もが目を見開いたに違いない――直後、白いいなびかりが狙い違わず、雲の上からアモン目がけて突き立った。


 その余波で、マルコシアスはおのれの頬もぴりぴりと痛むのを感じた。


 とはいえ、アモンからすれば、まったく脅威にはならなかったらしい。

 かれは面倒そうに手を振り、いなびかりを、まるで雨上がりに木の葉からしたたる滴を厭うような手つきで、ぱっと()()()()た。


 いなびかりが瞬時に収束して消え失せ、頭上の雲が吹き散らされる。


「げ……」


 マルコシアスが思わず声を出すと同時、アモンはさらに面倒そうに、尊大な仕草で右手を振った。


 次の瞬間を待たずして、その右手にハーゲンティの頸が捕らえられていた。


 頑強な牡牛の太い首を掴み、暴れ狂うかれを歯牙にもかけず、アモンは溜息を吐いている。


「マルコシアス、きみの言ったことは正しい――わが兄弟は()()()()()だ。

 僕がうっかり瞳に傷をつけたなんてことになれば、わが兄弟は僕を許さないだろう――」


 ハーゲンティが切羽詰まって身悶えしている。

 その仕草はまさに、首を絞められる人間そのもの。


 かれの必死の抵抗により、かれの周囲で小さな稲妻が弾けている。


 かれに仕える精霊たちが、アモンに怯みながらも懸命にかれに噛みつこうとしているが、やはりアモンはそれら全てを歯牙にもかけず――というよりも、気づいてすらいないようだった。


 ともすれば、ハーゲンティを片手に捕まえているということすら忘れているようにも見える。



 ――だが、違った。ハーゲンティにとって不幸なことに、アモンはかれの存在を忘れてなどいなかった。



「――そうじゃなければ、さっさとこうやって、きみを捕まえられるんだけど」


 アモンがうんざりしたようにつぶやき、――そして、ハーゲンティの首を折った。


 文字通り、肩と首が直角になるまで。


 マルコシアスは思わず、「うわ」と声を上げたが、これは単純に、ハーゲンティ一人分の戦力を失うことと、序列四十八番とはいえ魔神を、こうもやすやすと仕留めるアモンの強靭さを、同時に考えたがゆえのことだった。



 もちろんハーゲンティは悪魔だから、人間でいうところの致命傷が、そのまま()()()()()になるわけではない――だが、今回ばかりはこれが()()()()()だった。



 名状しがたい音が鳴り響き、ハーゲンティの首が胴体から引き離される――そして、その身体がみるみるうちに透き通り、まさに陽光にさらされる雪片のようなはかなさをもって、夏の夜風にさらわれて消えていった。


 〈ハーゲンティ〉の〝真髄〟は、しばらく使い物にならなくなる――悪魔の(せかい)に強制的に戻された、〈ハーゲンティ〉の〝真髄〟をかぶっていたかれは、今ごろ歯噛みしてマルコシアスを呪い、ついでに半身が動かないような不自由さを嘆いているはずだ。



 アモンはぱっと両手を挙げてみせ、「おっと、優しく掴んだつもりだったんだが」などとうそぶく。


 そして、残る三人の魔神を見た。


「まだやるかい?」


「ハーゲンティには、もうちょっと長持ちしてもらう計画だったんだけど」


 マルコシアスは神妙に言いながら、ふたたびアモンと同じ高さに立った。


 ハーゲンティへの同情も罪悪感も、もちろんのこと欠片たりとも覚えず、こういった状況では同情や罪悪感を覚えるだろうという推測すらも働いてはいなかったが、出来るかぎりアモンの気を引くために、いかにもかわいそうというように首を振ってみせる。


「ひどいじゃないか、アモン。そっと逃がしてやればいいものをさ」


「あのねぇ、マルコシアス」


 アモンは、そのワタリガラスの顔面には有り得べからざるはずだが、残忍なまでに愛想のよい笑顔を浮かべた。


「きみのご主人さまがぴんぴんしてるっていうのは、ジュダスからすれば、最初から目星はついていたことなんだよ。

 僕がすぐさまここに来なかったのは、()()()()()()()()からだ。

 きみらが何をどうしようが、ジュダスの計画は動かないし、支障も来さないし、結果は決まっている。きみが僕の遊び相手を少々余計に用意してくれたというなら、僕はそいつらで遊び倒すだけだ。

 ――さいわい、」


 アモンは肩を竦める。

 暖かい夜風が、その貫頭衣をそよそよと揺らしている。


「僕には時間がある。ジュダスはきみの主人の方にも用があるからね」


 マルコシアスは瞬きした。


 魔神にはあるまじきことに、かれは〈身代わりの契約〉の働かない主人のために、その視線を一瞬のあいだ、眼下で窓という窓からオレンジ色の光をこぼしている、垂教省の省舎に落とした。



 ――ネイサンには、手札として使える魔神がまだ多くいる。


 魔神が七十二しかいないことを思えば、ネイサンが召喚している数は異常だ。

 そして加えて、彼には人間の味方もいるだろう。


 それを考えれば、アモンがこちらにいるからといって、シャーロットの身柄について安心していられる要素は一つもなかった。



 マルコシアスは肩を竦めて、アモンに目を戻した。


「――僕のレディへの用事は、僕への用事のあとになると思っていたけど?」


 アモンは声を上げて笑い始めた。


「マルコシアス、どっちでも同じことだ。

 ――僕らの間にはさいわいにも、あっちから合図があれば、即座に僕がきみを仕留められるだけの力量の差がある」


 マルコシアスは淡い黄金の双眸で、じっとアモンを見つめた。



 かれが、その場をごまかすわざとらしい表情の全てを消していることに、ふとアモンは気づいた。



 マルコシアスが息を吸い込む。


 かれは不意に、憤懣やるかたないという口調でつぶやいた。

 表情に、見た目そのもの――十四歳の少年そのものの、子供じみた不満と不安が昇っている。


「――僕のロッテに何するつもりだろう?」


「“きみの”ロッテではない」


 アモンは笑いながら指摘した。


「あの子は“スーの子ども”だ。

 ――それ以外の何でもないし、それ以外の価値はない」


「ああそう」


 マルコシアスは不機嫌につぶやいた。


 伸びすぎた前髪の下で、淡い金色の眼差しが、はじめて勝ち筋を探し始めた。


「気が変わった。僕としては、僕のレディがなにかをひらめいてくれるまで、あんたの相手をして時間を引き延ばせればと思ってたんだけど――」


 肩を竦める。かれの背中で巨大なコウモリの翼がはためく。


「――僕がロッテを助けに行かなきゃいけないかもしれないらしいね。

 アモン、これから勝ちにいくから、覚悟しておいで」


「覚悟はいらない」


 アモンは寛容に笑った。


「だが、欠伸をこらえる努力はしよう」





▷○◁





 シャーロットは垂教省の廊下を走った。


 懸念点としては、同行者が軍省あるいは技術省の所属の者ばかりで、省舎の内部に明るい者がいないということだった。


 だが、シャーロットは尽きたと思われた運を拾って、致命的な行き止まりは回避して、ようやく大きな広間に辿り着いた。

 ここまで来れば、魔神たちが暴れる轟音も、耳を聾するほどには聞こえなかった。



 広間の明かりは落とされていたが、リンキーズがそれこそ本物の犬のように吠えたてると、徐々に壁に設けられたガス灯に火が入り始め、やがてオレンジ色の揺らめく光が、じゅうぶんに辺りを照らし出すに至った。


 広間には、同じ方向を向く一人用のデスクが、縦横におびただしい数でずらりと並んでいたが、ストラスがさっと手を振ると、それら全てが強風にあおられたかのようにひっくり返り、大音響とともに広間の隅に吹き寄せられ、がたがたと重なり合って壁際で山になり、床は空っぽになった。


 デスクの下で放置されていたらしい綿ぼこりが、ふわふわと軽く宙に舞っている。



 グレイが、ぜいぜいとあえぎながらてのひらで顔をぬぐって、よろよろとそのデスクの山に近づくと、手近なひとつにもたれかかって、激しい息を繰り返した。

 アーノルドがそちらに飛んでいって、「大丈夫?」と尋ねている。


 グレイは彼に向かって手振りで「大丈夫」と示したが、つらそうな顔から一転、嬉しそうな表情になっていた。

 気遣われたことが嬉しかったというよりは、アーノルドがここにいることが嬉しいようだった。


 魔精のエセラは、すっかり怯えてグレイの背広の中にもぐりこみ、ぴくりとも動かなくなっている。



「だれを呼ぶにしろ早くした方がいいぜ」


 ストラスは言いながらも、精霊に命じて外の様子を探っているようだった。

 がっかりしたような舌打ちとともにかれは言った。


「くそっ、マルコシアスのやつ、まだ頑張ってんのかよ」


「それを聞いて元気が出たわ」


 シャーロットが言って、オリヴァーがそんな彼女の肩を乱暴に叩く。


「いいから、いいから。召喚するのはだれにする?」


「序列八番バルバトス」


 シャーロットは即答した。

 オリヴァーが目を見開く。


「格下を呼んでどうするんだ! アモンは序列七番なんだぞ!」


 シャーロットは、余人には測りかねるほどの確信を籠めて、断固として繰り返した。


「大丈夫。信じてください、絶対に大丈夫です。

 バルバトスが私たちを守ってくれれば、アモンは決して手出しをしません。

 ――ね、ストラス?」


 唐突に水を向けられたストラスが、ぎょっとした様子で目をしばたたかせる。

 そして、かなり疑わしげにシャーロットを眺めた。


「……あんたマジで、どこまで聞かされてんだ?」


「バルバトスなら大丈夫って、エムが言ってたってことよ」


 シャーロットは答えて、哀願するようにオリヴァーを見上げた。


 議論を白熱させている場合でもなく、オリヴァーはすばやく白旗を揚げた。


「かまわん、じゃあバルバトスを呼ぶぞ――何かあっても、俺は知らんからな」


「けっこうです」


 シャーロットはきっぱりと言って、『魔神便覧』のページをめくり、その本を埃まみれの床に置いた。


 シャーロットとオリヴァー、そして二人にひょこひょこと近づいたザカライアス・リーがいちように膝を突き、同じページを覗き込んで早口になり、魔術師以外には意味不明の言葉を交わし始める。


 リクニス学院卒の三人に、他の魔術師は一歩引いているようでいながら、食い入るように三人を見つめていた。


 軍人たちは、魔術師の集中を切らしてはなるまじと思ったのか非常に静かだが、その緊張で空気が張り詰めている。



 外の轟音が、石の壁と廊下を挟んでいてさえはっきりと耳に届く。

 低い地鳴りのような音――硝子が立て続けに割れていくような音――。


 魔術師たちが、「何人かはもう避難してもいいのでは」と囁き交わし始めたが、数秒ののちに、「避難といってもどこへ?」という正論があって、その議論は終わった。


 リンキーズが落ち着かない様子であっちへこっちへと走り回り、グレイのそばのアーノルドになだめられている。



 オリヴァーが『魔神便覧』と広間を見比べるようにして、「基点はあそこ……」とつぶやく。


 それを後目に、シャーロットはむさぼるようにページを見つめながら、床にチョークで何かを走り書きし始めた。

 かっかっ、と、床にチョークが当たって滑る硬質な音。


「〈身代わりの契約〉は残さなきゃ――万が一にも御せなかったときのために。〈退去〉も残すけれど、〈再契約〉はごっそり省いて構わないわ。バルバトスが最後に召喚されたのはいつかしら――」


「確か、百年ちょっと前が記録に残ってる最新の召喚。もぐりの魔術師が、そのあとに呼んだこともあるかもしれないけど」


「百年なら世の中の変化なんて微々たるものね、〈知世〉の文言も省くわ。これでずいぶん時間の節約にはなるはず――」


 シャーロットが猛然とつぶやいているあいだに、オリヴァーが彼女の持つチョークを受け取り、器用にそれを二つに割ると、片方をシャーロットの手許に残し、片割れを自分の手に持って立ち上がった。

 ストラスに向かって、「紐を出せ」と迫っている。


 ストラスが溜息を吐き、手品のようにぱっと手を振ると、その手の中には麻縄が握られていた。


 オリヴァーがその麻縄の長さを確かめるような仕草をしたあと、アーノルドを手招きする。


 アーノルドが疑問符を飛ばしながら進み出ると、彼は端的に、「そこに立って、この縄を固定しておいて」と指示を下した。


 ぽかんとしながらもアーノルドがそれに従うと、オリヴァーは麻縄を利用した即席のコンパスで――むろん、支点になっているのがアーノルドだ――、その場に綺麗な円を描いた。


 続いて彼は、アーノルドが内心で驚いたことに、指を使ってその半径を確かめるように測り、暗算する間を置いてから、円周の長さをシャーロットに報告している。


「あんた、指の長さを覚えてんの?」


 アーノルドがおののきながら尋ねると、アーノルドに合わせて召喚陣のそばに進み出ていたグレイが、そっと答えた。


「昔から、魔術師はそういう習性なんだ」


 シャーロットはオリヴァーの言葉を受けて、『魔神便覧』に指示されているとおりの召喚陣の紋章の円と、彼が最初に描いた円が相似となる倍率を割り出して、それと均等に紋章の他の部分を描けるよう、アーノルドにはとても分からない数式をあちこちに走り書きし始めた。


 リーも同じようにしていたが、ふと顔を上げて、オリヴァーにとある数字を伝える。


 オリヴァーは頷き、手にした麻縄の長さを、今度は慎重に測った。

 どうやらリーが伝えた数字を長さにしたらしい。


 そして一点に印をつけると、アーノルドに立ち位置をずれるようにうながす。


 うながされるままにアーノルドが動くと、オリヴァーはさきほどの印の位置を新たな円周として、一つ目の円よりも小さな円を描いた。

 二つの円は、一点で精確に接している。



 シャーロットがそれを見て取って、オリヴァーに「〈退去〉をお願いします」と言った。

 リーに向かっては、「〈身代わりの契約〉を」と振り、自分に向かって、「私は魔術師の方の召喚陣を」と言っている。


 そして、半ば逆上したようにつぶやいた。


「まったく、なんで()()()()表意文字がないのよ。もっと種類があれば、召喚陣だってもっと簡潔になるはずなのに」


「気づくのが三千年ばかり遅かったな。俺たちの先人が知恵を絞っても、五つしか発見できなかったんだから仕方ない」


 オリヴァーの言葉に、シャーロットは緊張を紛らわせようとしてのことだろうが、ぶつぶつと返している。


「絶対違うわ。無理って決めつけて、誰も真面目に研究してこなかったからよ」


 垂教省の省舎全体が大きく揺れた。


 天井の石材が互いに強くこすれたかのように、そのあいだからぱらぱらと細かい粉塵が降ってくる。

 魔術師の何人かが悲鳴を上げ、アーノルドも、今にも頭の上に天井が落ちてくるような危機感を覚えた。


 彼は思わず、叫ぶようにして言っていた。


「シャーロット、じゃあそれは明日からきみが研究することにして、今は手許に集中してくれない?」


 シャーロットは一瞬にも満たない短いあいだ、面白がるように微笑んだが、すぐにその微笑を消して頷いた。


 彼女が、手許に残ったチョークをさらに二つに割って、片方をリーに差し出す。


 リーはそれを受け取って立ち上がりながらも、空いている手で汗のにじんだ額をぬぐった。


「久しぶりだし、ちゃんと描けるかな」


「どうか間違いのないようにしてくださいね、リクニスの院章にかけて」


 シャーロットは祈るように言って、小さい方の円のかたわらに進み出て、膝を突いた。

 彼女の濃翠色のワンピースの膝の部分は、すでにほこりまみれになっている。


 リーが不安そうに大きな円のかたわらに膝を突き、いくつかの言葉を、悪魔の文字で書きつけた。


 グレイが心配そうにそちらに歩み寄っていき、「私は、きみほどいい教育を受けたわけではないけれど、」という前置きのあと、いくつかの文字の誤りを指摘する。


 リーは呻いて、袖を使ってその文字を消し、とある記号と記号の悪意のある類似性についてののしった。


「いつも図鑑やら辞書やらに囲まれているんだよ、僕は」


「うん」


「そりゃあ細かいところを空で書こうと思ったら、忘れてるよね。学生時代の僕なら、こんなのすらすら書いてたに決まってる」


「気持ちは分かりますよ」



 オリヴァーが、「誰でもいいから手伝って!」と声を上げ、壁際の魔術師のうちいく人かが、恐る恐るといった様子で進み出た。


 オリヴァーが、大きな円の中に、それよりも半径が三インチ小さい同心円を描くように指示して、彼らに麻縄とチョークを渡している。


 魔術師たちは、はじめこそ緊張と混乱で手が震えたようだったが、いざ召喚陣に取り掛かると、そこは職業人らしく、きびきびと動き始めた。



 その様子にアーノルドは期待を覚え、思わず口からそれをこぼした。


「この調子だと、そんな何時間も掛からないんじゃない?」


「まあ、そんなことを言わないで、アーニー」


 シャーロットが呻いて、少し離れた床の上で開きっぱなしになっている『魔神便覧』を見るよう手振りで示したが、そのページに召喚陣が図示されていることはない。

 あくまでも難解な文章での指示書きがあるのみだ(無論、透かし取って悪用されることを避けるためだ)。


 アーノルドがぽかんとしていると、シャーロットは気合を入れるように息を吸い込んだ。

 そして、ほこりを吸い込んだのかちょっと咳き込んだ。


「これから、契約書の文言をイチから書いていくような重労働があるのよ」


 アーノルドは思わず口笛を吹いてしまい、全ての軍人から睨まれた。



 省舎の外で魔神がどれだけの魔法を行使して競り合っているのかは分からないが、ともかくも轟音が耳についていた。

 音というよりは、空気が絶えず震えているような感覚だった。


 断続的に広間が揺れており、聞き違いでなければ、壁にひびが入る、みしりという音を、アーノルドは一度ならず聞いていた。


 とはいえ、それを口に出して、召喚陣の作成にいそしむ魔術師の手を震わせることはできない。

 その、ある意味で親切心ともいえるであろう保身の精神を全員が発揮した結果、壁に走るひびは見て見ぬふりをされることとなった。


 軍人がいく人か広間の外に出ていき、様子を窺ってきたが、彼らが戻ってくるたびにその表情が深刻になっていくのを、アーノルドは見ないわけにはいかなかった。


「いちばん外側の壁に大穴が開いてます――」


「二階の窓が全部、粉々ですよ――」


「通りを見てみたんですが、表はもう駄目ですね。建物くらいの大きさの金づちで道路を叩いたようなありさまです。ここから避難するにせよ、裏から出ないことにはなんとも――」


「ここの廊下にもひどい割れ目が――」


「貿易省の省舎の塔が、さっき折れました」


 この場でもっとも階級の高い軍人はアディントン大佐であるらしく、報告はすべて彼が受けていたが、彼の表情も徐々にこわばっていっている。



 シャーロットは膝と左のてのひらで身体を支えて、右手に握ったチョークを熱心に動かしている。


 ただし、一心不乱に、といった様子ではなく、ひんぱんに『魔神便覧』を覗くために立ち上がり、あるいは立ち上がる暇さえ惜しんで膝立ちのまま移動し、そのページを見つめてから元の位置に戻り、ということを繰り返していた。


 召喚陣に取りついている全員が『魔神便覧』を確認する必要があるために、誰か一人がそれを手許に置くということが出来ないのだった。


 文言ひとつにも注意を払って、シャーロットは慎重ながらもすばやくチョークを動かしていた。



 床をチョークがこする乾いた音が、幾重にも響いている。



 また広間が揺れた。

 広間の隅に積み上げられた格好になったデスクと椅子の一部が、がらがらと音を立てて崩れる。


 魔術師たちが悲鳴を上げたが、その悲鳴もよわよわしくなっていた。

 ともかくも今夜は、皆すでに声が嗄れるほど叫んだあとなのだった。


「ストラス、このあたりは大丈夫だろうな?」


 召喚陣から顔を上げ、鼻の頭から汗をしたたらせながらオリヴァーが訊く。


 ストラスはいらいらと足踏みをしながらも、ぞんざいに応じた。


「おうよ。俺に見える範囲でのことだがな」


「まさかお前よりも格上の魔神が、一晩にこうも目の前に現れるとは」


 オリヴァーの嘆きに、ストラスはますます不機嫌そうにラズベリー色の目を細めた。


「うるせぇ」



 またしても広間が揺れた。


 しかも、これまでよりも大きく揺れたために、そのときちょうど『魔神便覧』を見ようと膝立ちになっていたシャーロットが、バランスを取りそこねて左側に体勢を崩したほどだった。



 間を置かず、ふたたび激しい揺れ。



 ストラスが大股にオリヴァーに歩み寄って、召喚陣にかかりきりになる彼の首根っこを掴んで持ち上げた。


「おい!」


「黙れ」


 主人からの抗議をあしらって、ストラスがオリヴァーをがっちりとかかえ上げる。


 シャーロットもあわてて立ち上がり、急に立ち上がったために立ち眩みがしたところを、いつの間にか後ろにいたアーノルドに支えられた。


 リンキーズがアーノルドの足許からシャーロットの足許に飛びついてきて、ストラスの様子を窺っている。


 シャーロットはチョークで真っ白になった右手の指先を、無意識のうちにワンピースにこすりつけていた。

 ワンピースに白い跡がつく。



 数秒ののちには、軍人が動いて十重二十重にシャーロットを取り囲んでいた。


 そのときになってようやく、恐怖を顔に貼りつけたグレイから遠慮がちに肩を叩かれて、リーが召喚陣から顔を上げた。


「やあ、びっくりした! 軍人さんたち、召喚陣は踏まないでくれよ!」


 それには応じず、アディントン大佐が不明瞭な問いを発する。


「どうした――だれか来るのか」


「ストラス?」


 シャーロットがうながしたもののストラスは口を開かず、オリヴァーからうながされて、かれはやっと口を開いた。


「いや、俺の精霊には見えてないんだが、何か来る気が――」



 そのとき、これまでで最大の揺れが広間を襲った。


 轟音が響き渡り、軍人を含めて、広間にいた全員がよろめく。

 さながら、広間をだれかが巨大な槌で外から叩いたかのよう――



 ――そして実際に、奥の壁が木端微塵に砕け散り、崩れ落ちた。



 まるで、最初から小さなブロックを積み上げて造ってあり、それが今、衝撃を受けて綺麗に崩れ落ちたかのようだった――粉塵すら上がらない、奇妙な崩れ方。


 魔術師のあいだから悲鳴が上がったが、襲撃者が姿を見せ、その見目が暗闇の中からガス灯の明かりのもとにあきらかになると、今度息を呑んだのは軍人たちの方だった。



 襲撃者は人間ではなかった。

 額の横からまっすぐに伸びる二本の角、背中ではためくコウモリの翼、石炭の色の、こぶだらけの硬い皮膚、醜悪な顔は、人のものというよりもサルのものに近い。

 見開かれた、結膜(しろめ)のない、瞳孔が縦に切れ込んだ黄色い目。

 身長は五フィートたらず、姿形そのものも、サルと爬虫類を掛け合わせたような妙なもので、長いしっぽが身体の後ろでゆらゆらと揺れていた。



「――ガープ……」


 魔術師が口々に、その有名な魔神の名前を口走り始めた。



 ストラスが呻いて、オリヴァーをしっかりとかかえ直す。


 ついでに、シャーロットの肩も乱暴に掴んだ。

 シャーロットは無意識のうちにアーノルドの手を握っており、アーノルドはグレイの背広の裾をはっしと掴んだ。

 リンキーズが震えながらシャーロットの脚に身体を押しつけている。



 ストラスが咳払いした。


「これはこれは、びっくりだ。

 ――()()()()()()()、ガープ」


 ガープは黄色い目でストラスを捉えて、にっ、と笑った。


 その口が、比喩ではなく耳まで裂けた。

 長い耳朶から洒落た耳飾りが垂れていたが、よく見るとそれは、小動物の頭蓋骨だった。


「やあ、()()()()()()()()()()。なかなか会えなくて寂しかったよ」


 シャーロットは息を呑んでいた。



 ――かつて、マルコシアスはかれらの〈同格〉の間柄として、いくつかを彼女に教えたことがある。


 〈マルコシアス〉と〈フォルネウス〉、〈バエル〉と〈アガレス〉、〈グラシャ=ラボラス〉と〈モラクス〉、――そして、〈ストラス〉と〈ガープ〉。



 序列三十三番の魔神は、わざとらしくも億劫そうに、周囲を見渡した。


「こんなところにいたのか。捜すのに苦労したよ」


「嘘つけ」


 ストラスはつぶやいた。


「お前なら、蝋燭の火を吹き消すだけの時間で、主人を七リーグ移動させられる。有名な話だ」


 シャーロットは無意識のうちに、魔神ガープが得意とする魔法を脳裏で並べていた。



 マルコシアスは誠実な性質で知られ、ハルファスは瞬く間に塔を作り上げる独特の魔法で知られ、ダンタリオンは幻影と読心で知られ、――ガープは俊足と、相対した相手を昏倒させる魔法で知られる。


 ガープの俊足は、いわゆる瞬間移動を魔術師に疑わせた魔法のひとつだ。

 今のところ、文字通りの瞬間移動――ある地点からある地点へ、経過を辿らず瞬く間に移動する魔法――は確認されていないが、ガープの魔法は、速度だけでいえばそれに近いと言われる。



 ガープは笑ったままだった。


「お褒めにあずかり、どうもどうも」


 ストラスは、ぐいっとシャーロットを自分の方へ引き寄せた。


 シャーロットはその勢いにアーノルドの手を離してしまいつつも、少なからず驚いた。

 ストラスがオリヴァーだけでなく、シャーロットをも守ろうとしていることに気づいたのだ。


「せっかく来てもらったのになんだが――悪いが、()()()からこの人間のことを頼まれててな。こいつが目当てなら帰ってくれないか。お前と俺じゃ喧嘩にならんぞ、分かってるだろうが」


 ガープは愛想よく、骨ばった手、あるいは鉤爪に見える手を挙げて、肩を竦めた。



「もちろんだ、わが友。私はきみとは喧嘩しないさ。

 ――ただ、()()()()()



 ストラスが、はっとして振り返った。


 シャーロットも同様だった――ただ、彼女は軍人に囲まれていて、ストラスが見たものをはっきりと目にしたわけではなかった。



 彼女は広間の入口を振り返った。


 そしてそこに、牡牛の頭を持つ悪魔――序列二十一番モラクスの姿を、軍人たちのあいだから垣間見た。



 ストラスとモラクスでは、序列に開きがあり過ぎる。

 接近に気づかなかったとしても無理はない。



 シャーロットは咄嗟に、〈傍寄せ〉を唱えようとしていた。

 マルコシアスならばあるいは、この状況であっても対処できるかもしれないと考えたのだ。


 だが最初の一語を口にするよりも早く、彼女はかれが直面している事態を思い出した。

 そして、凍りついた。



 ――アモン。


 ――かれはアモンと交戦している。



 焦燥と危機感が一瞬にして臨界点を超え、シャーロットは耳鳴り以外の音が聞こえなくなった。


 目の前の光景も妙に緩慢に流れ、身体が動かなくなる。



 そばで軍人が何かを怒鳴っている。


 ストラスがすばやく、オリヴァーとともに彼女を抱え上げようとして――モラクスが指を上げる。

 ストラスが後ろ向きに、凄まじい勢いで撥ね飛ばされた。


 かれが広間の隅のデスクと椅子の山に突っ込み、大音響とともにその山が崩れる。

 いくつかのデスクが木端微塵になってはじけ飛んだ。


 巻き添えを喰ったオリヴァーが悲鳴を上げたはずだが、それも聞こえず――


 魔術師たちが、右往左往するように走り回っている。

 軍人ですら、この事態においての最適な行動を、咄嗟には把握し損ねていた。



 ――周囲は混乱と恐怖のるつぼと化しており――



 アディントン大佐だろうか、誰かがシャーロットの腕を掴んだ。

 ためらいのない手つきで、その人物がシャーロットのこめかみに銃口を突きつける。


 ――万が一にもネイサンの手にシャーロットの身柄が渡って、グレートヒルの魔神が復活するよりは、シャーロット一人が落命した方が犠牲は小さい。


 アーノルドとグレイが、同時に何か叫んだ。

 だがそれもシャーロットには聞こえなかった。


 シャーロットの心臓が、肋骨を折らんばかりに暴れ狂い、聞こえるのはその、狂ったような鼓動が生む血潮の音だけだった。


 しかしシャーロットも、もはやそれしか手はないと分かっている。


 それゆえに、彼女は大きく頷いた。

 自分に銃口を向けている人が誰であれ、その人がこの決断で良心の呵責を覚えることがないよう、と、シャーロットは祈った。


 こめかみに突きつけられた銃口が震えているのを感じる。

 誰であれ、目の前で生きていた人間の頭を撃ち抜くのを、気持ちよく感じる人間などいないだろう。


 胸が潰れるような気持ちでそう考えながらもシャーロットは、耳が壊れたように聞こえなくなった世界の中で、妙に動きがのろく感じる口を懸命に開き、「やってください!」と叫び――



 ストラスがもがきながらデスクを吹き飛ばし、わきにオリヴァーを抱えて立ち上がり――



 ――銃声。


 ――()()()()()()()



 モラクスが、ぱっと何かを掴むような仕草をしたあと、いたずらっぽくその手を開いた。

 ころん、と、手の中から床に向かって、焦げた弾丸が転がり落ちる。


 シャーロットは目を見開き――



 ガープが、もったいをつけて指を鳴らす。



 きゃんっ! と声を上げて、リンキーズがばったりとその場に倒れた。


「リンキーズ!」


 思わずシャーロットは悲鳴を上げて屈みこみ、犬の格好をしたかれを腕の中に抱え上げた。


 そうしながらもシャーロットは、瞬きの間も要さず、この状況が相当にまずいことを察していた。



 ――〈身代わりの契約〉は、主人の負傷を悪魔に転嫁する契約だ。

 さらに深掘りしていえば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。



 〈身代わりの契約〉は、かつてベイシャーで、リンキーズと〈身代わりの契約〉を結んでいたウィリアム・グレイが失神していたことがあるように、精神的なショックを起因とした失神は防げない。

 軍省で胃痛をかかえていたシャーロットをみれば分かるように、精神的な負担を原因とした身体の不調も防げない。


 そして同様に、ガープの魔法についても厄介な点がある――その魔法が、純粋に、相手の意識を刈り取ること()()()目的としていた場合、召喚している悪魔においてその目的が成就してしまえば、次に同じ魔法がふるわれれば、その効果は当然ながら魔術師に及ぶのだ。


 魔術師の頸を斬りつけたとき、悪魔が持ち堪えているあいだは魔術師は無傷であり、悪魔が限界を迎えた瞬間に、その行為の結果が魔術師のうえで実を結ぶのと、全く同じように。


 ネイサンのように位の高い悪魔を召し出していれば、そもそも初撃の魔法が効果を発揮することも出来ないために害はなかっただろうが――シャーロットは。



 マルコシアスは、ガープが得手とする魔法にともなう危険性は分かっていたに違いない。

 だからこそシャーロットのそばに、ガープを相手取った場合に敗北だけは有り得ないストラスをつけたのだろう。


 だがかれの誤算は、そして覚悟しておいてしかるべきだったシャーロットの落ち度は、ネイサンが召し抱える魔神の数と、その序列の高さだ。



 ――()()()()()()()()()()、と、瞬きのあいだに、かすめるようにシャーロットは考えた。


 ――どうしようもなかった。

 シャーロットとマルコシアスには、切れる手札は限られていた。



 シャーロットは学生のころからネイサンの監視下にあって、高位の魔神を召喚しておく機会などなかった。

 そもそも悪魔を戦争から排除したのは、悪魔の暴力が人間の生命をたやすく蹂躙できるからだ。


 だから、ネイサンがこれほどの手駒を揃えていた時点で、シャーロットたちは防戦一方となるよりほかになく――その防戦も、はかないものとならざるをえなかったのだ。



(――でも、どうしようもないからって、)


 シャーロットは瞬きのあいだにそう考えている。

 マルコシアスに見せてやると約束した、十四歳のころの心根で。


(どうにかしちゃいけないってことはないはずだわ。何か手があるはず、何か――)



 ――だが、現実はすさまじい勢いでシャーロットの理想と心根を追い抜きつつあった。



 ストラスが猛然とそばに飛び込んできた。

 かれがシャーロットをその場に引き倒すようにして庇い、〈同格〉の相手が邪魔となって、ガープが手を下ろす。



 だが、この場にはモラクスがいる。



 どん! と、腹に響く音がした。

 シャーロットにとっては死刑宣告に等しい音だった。



 ストラスの手が離れたのを感じた。



 シャーロットは最後まで目を開けていた。


 ただ、耳にはもはや心臓の鼓動とおのれの息遣いしか聞こえていない。

 誰の声も聞こえない。


 心臓が喉にのぼせ上がってきたかのようで、心臓の鼓動で身体が揺れているようだった。



 ガープが、口が裂けるほどに大きくにんまりと笑って、指を鳴らす。



 ――ぱ、ち、ん。



 次の瞬間、シャーロットの視界は闇に落ちた。



















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