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第六話

美都留と別れて、吉川は課長に状況を報告した。

現場と一部の捜査員を残して、吉川は名刺の川田直久について周辺の聞き込みをすることになった。

川田が勤めていた会社から自宅を調べて、川田の自宅周辺を確認したが川田も林田も居なかった。

一方、近所の歯科医への聞き込みから、焼死体の歯型と川田直久が通っていた神戸市の歯科医のデータベースが一致した。


オーハシポートホテルの焼死体の身元について、兵庫県警では川田直久37歳と断定した。

焼死体の解剖速報結果により、後頭部に打撲の跡が見つかった。

また、死亡推定時刻は午後4時~5時の間。

女流将棋のタイトル戦である赤龍戦の対局が午後4時10分頃に終わり、イベント表彰式が終わり焼死体を見つけたのは午後4時50分だった。

死因は後頭部の打撲なのか窒息なのか火傷なのかは分析中だ。


川田の本籍は山口県下関市。婚姻歴は無い。2017年に逮捕歴がある。

林田桜里瑛についての周辺聞き込みも続けた結果、林田の本籍は山口県山口市。婚姻歴は無く犯罪歴も無い。


再び夕方に三島美都留を兵庫県警に呼んで川田直久の写真を見せた。

「焼死体の身元がわかったので、この写真の人に見覚えは?」

「一瞬見た限りでは見覚えは無いわ。

でもじっくり考えてみるね。名刺の川田なのね」

「変態メールは川田が発信者だったよ」

「それより、林田さんのパソコンの受信ボックスにあったもう一つのメールアドレスが誰だかわかったの?」

「あのメールアドレスは林田桜里瑛の兄だった。名前は大内義長。

神戸でコンサルタントをしているらしい。

大内の自宅に行ったが不在だった」

美都留の目が大きくなった。

「確か赤龍戦の対局に協賛していた眼鏡メーカの塚本社長の知り合いのコンサルタントの苗字が大内だったはず」

「塚本社長に事情聴取するよ。

焼死体の身元がはっきりしたので改めてあの日赤龍戦にいた主な関係者にも改めて聞く予定だ」

「林田さんのその後の状況は何かわかったの?」

「ホテルの駐車場のカメラで、150ℓのラベルが貼っていた大きなスーツケースを持った人物が一瞬映っていた。

ナンバープレートを拡大するとは【仮免許運転中】のシールが貼られていて、車種は白のアウトランダーだった。その人物はニットの帽子をかぶっていて眼鏡にマスク姿で首にマフラーを巻いており顔がはっきり映っていない」

「ほら私が言ったとおりでしょ。スーツケースの中はきっと林田初段よ。」

「写っていた画像が一瞬なので林田本人かどうかもわかっていない。画像診断で分析中だ」

ツインテールをなびかせた美都留は得意満面の笑みだった。


「あ、そうそう。全日本将棋連盟を通じて私に、交通安全啓蒙の広報活動をしてほしいと兵庫県警からオファがあったの。

しばらく対局の合間に兵庫県警にお世話になるわ。

吉川さんの関係者だと県警で言ったら、大歓迎で何でも言ってください。何でも対応するよと本部長に言われたわ。

それから将棋も東京から、関西本部に引っ越すことに決めたから。

住むところを決めないと。

これからよろしく」

瞳の大きな女流棋士が微笑んでいる。


本部長は来月兵庫県警を退職で、山口県で再就職が決まっている。

確か実家の関係の民間警部会社の部長ポストと聞いたような。

何となく嫌な予感がする。



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