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赤龍戦で対局した女流棋士が消失したら、次次と死体が現れた  作者: lavie800


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第四十八話

挿絵(By みてみん)

5人の参考人から事情聴取が終わり、鈴木刑事が吉川に言った。

「探していた将棋道場主の夏山が見つかりました。

市内の病院に入院をしていましたよ。心筋梗塞だそうです。

医師から短時間なら明日話をしてもいいということのようですので、行きませんか」


「鈴木さん、ありがとうございます。

事件に関係する過去に知っていることがわかるといいですね」

美都留が吉川の後ろから顔を出した。

「私も付いて行くわ。レクサスで。

パズルピースの破片が揃いそうね」


本部長が顔を出した。

「事件は解決しそうか?」


吉川は鈴木刑事の顔を見た。

「本部長、今日参考人から聞いたことを鈴木刑事と分析して報告したいと思います」


美都留が吉川の後ろから再び顔を出した。

「本部長、事件は解決すると思います。

もう少し桂美京について調べないといけないですが」


「本当か」

「はい」

「勇退前に解決してくれるとありがたい」


本部長は機嫌よく去って行った。

「吉川さん、明日朝10時に夏山が入院している病院でアポをとっているのですが、現地集合でいいですか」

何故か、美都留が答えた。

「はい。承知しました」

吉川は笑うしかなかった。

鈴木刑事も去って行った。


二人だけになった美都留は吉川に提案した。

「山水園亭は昨日で宿泊予約が終わりよ。安全を確保して本部長の指示でここに残らなくちゃいけないのだから、ねえ、わかるでしょう」

「今晩の宿泊費用か。経理と相談するよ」

「そうじゃなくて、危ないわけよ。また襲われるかもしれないのよ」

「とういうことは」

「そういうことよ。山口に居る間ならあのダブルリゾートに泊まれるのでしょう。さあ、行くわよ。同じ部屋に。費用もかからないし、安全だし。

高嶺城での夜のリベンジよ」


吉川は美都留の安全に配慮する気持ちと倫理観とで心の中で感情が揺れ動いて立ち尽くしていた。

「まずは、夕食ね。あのホテル横の美味しいレストランに行きましょう」

そうだな。まず飯を食いながら考えを整理するか。


レストランで二人前の瓦そばを注文し、お茶で乾杯をした。

「さっき本部長に事件は解決すると言っていたけれど、どうなのだ」

「順番に事件を整理するね。

まず川田焼死事件。

川田は致命傷にならない程度に頭の傷があった。死因は焼死。

川田をボンテージテープで動けないようにしてバスタブにいれて、引火する液体をふりかけて、スマホで遠隔操作により着火したと思われる。

現場には桂馬の駒があった。」

「そのとおりだ」


「次に大内と林田中毒死事件。夾竹桃の毒を食べ物に混ぜて動けなくしてそのあと夾竹桃を暖炉で燃やし、夾竹桃の煙を発生させて殺した。

別荘内はドアが閉まっていて鍵が別荘内にあったので、密室殺人。

現場には桂馬の駒があった。」

吉川も頷いた。


「それから塚本墜死事件。高嶺城山頂に柵を外れやすくして誘い込み、頭部に石で打撲を与え、山頂から墜死。

現場ではなく塚本が宿泊している旅館の部屋に桂馬の駒があった」


「動機から迫ったほうがいいのか、トリックやアリバイで絞っていったほうがいいのかわからないな。

共通するのは桂馬の駒だ」

「被害者の過去を調べることで動機がわかってきて犯人が特定できるかもしれないわ。やっぱり桂馬の意味を解くのが必要よ」

「殺人事件以外で関連ありそうなのも整理する必要があるな。

まず、赤龍戦の対局で不正な盗聴で将棋の優勝賞金を林田と大内が搾取したことだ。五千万円の賞金も忽然と消えている」

「それも気になるわ」


「次に川田が2017年に性犯罪で逮捕されていることだ。被害者の一人の父が今回殺人事件の参考人である桂編成部長。それ以外にも被害者がいそうだ。川田の当時のスマホには、顔は見えないがセーラ服の人や拘束された人の写真があった。

大内と川田の過去を調べていくと、桂美京という人物が大内と川田とで共通して関わっていることがわかる。それに川田は赤龍戦のホテルで塚本に桂美京はどこだと聞いている。南場景子が桂美京の可能性がある」


吉川は続けた。

「川田と林田は神戸のスナックで知り合っている可能性が高い。拘束好きだという性癖もマッチしている。ただ金の問題で別れたと思われる。

川田と夏山は不動産を通じて知り合いで、大内と夏山は将棋を通じて知り合いである。夏山が川田と大内の何か過去を知っている可能性がある。大内は下関で年上の女性と知り合って桂美京の保証人や死亡届人になっている」


美都留の瞳が輝いている。

「そして昨夜山水園亭の庭園の滝近くで君が頭を石で傷つけられた。

犯人は近くで目撃されていない。

これくらいかな」


「そうね。塚本さんと私の石による頭の打撲は、直前に羽音のようなものが聞こえているの」


その後も吉川が推理を話すが美都留は笑っているだけだった。

食事も終わり、美都留と山口リゾートホテルに戻ってきた。

吉川が駐車場にレクサスNXを置いてロビーに戻ってくると美都留がフロントと何か話している。ルームキーもちゃっかりと受け取っている。


さあ、どうしたらいい。



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