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あんたなんて大っ嫌い!

暴力的な行動が入ってます

 


「……これは……中々酷いですねぇ」

「……ですよねぇ」


 盛大に引き攣った顔で神官様はリーゼロッテを見る。

 夢見の中身の確認の為だが、あの男が死ぬところまででもやはりそれほど酷いのか。

 やっぱり誰がどう見ても酷いのだろう。

 客観的に言われるとグサリとくる。


「前前世と言うのが気がかりですが、やってみましょう」

「お願いします」

「夢紡ぎ、縁切り!ダーセル・トラムことゴルド・トーラム!クリスティナ・ブリューセルこと、リゼルロッテ・エフェル縁破!」


 神官様の頭上に輝くグレーの渦。

 稲光が光る。


「きゃっ」

「ダメですね。完全に縁切り出来てません。稲光が落ちないと完全では無いんです。なんとか前世の名前わかりませんか?」

「そんな……顔は分かるんです!その人に殺されましたから」

「は?殺された?」

「どうして私とわかったからわかりませんが、老人と子どもだったからでしょうか?車という馬車で轢き殺されました。あれは間違いなくゴルドです」


 思い出してその恐怖に身を縮こまらせる。

 今はっきり分かる。あれはゴルドだ。


「……できるかわかりませんが名無しで前世縁紡ぎだけでもしてみますか?どこかに名前のヒントが……「その必要は無い、リゼルロッテと私はこれから婚姻するのだから」

「ひっ!」


 教会の入口がバタンと乱暴に開かれニヤニヤとしたゴルドが立ち塞がっている。


「そうだよなリゼルロッテ?お前の叔母さんも歓迎してくれているよ?さあ、リゼルロッテ、この紙にお前の名前を書くのだ」

「わ、私は、み、未成年です!」

「違うな今年、成人だ、なあ、リッセル?」

「あの子は未成年です!痛っ!」

「違うだろ!」


 ちらりとゴルドの後ろにリッセルが逃げる事ができないように、手を後ろ手にねじりあげられているのだろう。

 リゼルロッテの年齢を告げた瞬間真後ろにいたゴルドの手下が力を込めたのがわかった。


「叔母様!なんて酷い……」

「なあ、リゼルロッテ、お前は成人だよな?叔母さんにそう言えと言われただけだよな?」

「リーゼ!私の事はいいから!ちゃんと否定うぐっ」

「叔母様!!」

「リゼルロッテ!お前は聞き分けのいい子だろう?」

「……酷い……」


 私が叔母様を見るとこれ見よがしにその手を捻りあげているのだろう、叔母様の顔が苦痛で歪む。

 でも必死にダメだと口パクで伝えてくる。

 悔しい……あと少しだったのに……一縷の望みは不受理届けが受理されていること。

 あんたなんて大っ嫌い!ゴルド!


「聞き分けのない子はお仕置きだな」

「ぐっ……」

「叔母様!!」

「逃げようとしちゃだめだよなぁ。おっとお?手が滑った」


 ニヤニヤと笑うゴルドの手下の腕がリッセルの喉にまわる。

 そのままグイッと締め上げる。

 リッセルの喉が締まる。

 息が出来ないようで顔色が変わっていく。

 事故だと言って絞め殺すのも厭わないのだろう。

 私さえ、我慢すれば……


「最後の身内に祝福されて結婚したいよなあ?」


 ヘラリと笑う顔を見ればそれがただの脅しではないということがわかる。

 殺される……嫌だそんなの!叔母様だけでも……生きていて欲しい。

 涙ひとつ地面に吸い込まれる。

 悔しい……悔しい……でも決断しなければ。

 大っ嫌い!大っ嫌い!

 でも……


「わかり……「その必要は無い」



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