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いざ!不受理届け!

 


 リッセルの宿屋で同じく働いているモーラからの目配せでリーゼロッテは裏口へと慎重にまわり、裏木戸から身を滑らせるように裏通りに出る。

 少しだけ様子を伺ったあと、一気に走り出した。

 早く、急いで教会へ!

 神官様に書類を!



「……か、さ…るい……を!」

「リーゼロッテ?どうしました?」

「神官様!書類を!不受理……と、ぜーぇはー、縁切りの書類を!」

「え?まあ、座り…「そんな暇はないのです!早く」

「え?ああ、不受理と縁切りですね」


 凄い勢いで駆け込んで来たリーゼロッテに目を白黒させながら縁切りの符を取り出す。


「それでリーゼロッテ、不受理は離婚ですか?婚姻ですか?誰と切るんです?」

「まだ結婚してません!!!婚姻に決まってるです!!」

「ですよね」


 のほほんと笑って神官様は書類を引っ張り出す。

 顔がいいだけに実に残念な神官様だ。


「ではこちらにサインを」

「リーゼロッテと」

「はい、受け取りました。奉納!」


 書類がほの青く光るとふわりと浮く……良かったこれで……ひとまずは。ホッと息を吐いた瞬間書類が落ちた。え?落ちた!?


「おや?リーゼロッテ、綴りとか間違ってませんか?」

「え……間違ってなんて」


 急いで再度書類に目を走らせる。

 合ってる!合ってるのになぜ!



「稀にあるのが、名前の間違いですねぇ。呼ばれ慣れてると言う理由でフルネームじゃなかったり「それだ!」

「え?」

「ペン貸してください!」


 書類の上に殴り書くように訂正線とフルネームを書く。

『リゼルロッテ ・エフェル』

 そう、これが私の本当の名前。

 男爵で伯爵領の代官をしていたお父様とお母様から頂いたただ一つの物。


「では、奉納」


 再び書類がほの青く光るとシュンと白く光って消えた。


「受理されましたね。次は夢見の縁切りですね」


 ほわんと神官様が笑う。

 ああ……とりあえず、第1目標はクリア。

 縁切りがどうぞ前前世で出来ますように。


「用紙はこちらですね。ここに名前を記入してください」

「えーと現世の名前はダーセル・トラム!過去名がゴルド・トーラム」

「私の過去名がクリスティナ・ブリュセールとこれでどうかしら?」

「はい、やってみましょう。夢見前前世縁紡ぎ」


 神官様が手を合わせるとボワンと緑色に額の飾りが輝きそのまま神官様を包み込む。

 どうぞ縁切り出来ますように。

 神様何卒!

 祈りながら時を待つ。ほんの数分、されど長く感じる。早く、早く。

 トラムが気付いてこちらに来る前に。

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