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再会…?

「縺斐縺ゅ≠縺励※繧薙□縺ゅ≠縺ヲ繧√∞縺ェ縺ォ!!!!! 」



 怒声を上げてつかつかとうずくまる女の子に歩み寄るゲシュペル。片手を掴んで宙に持ち上げた。余りにも自然な動き。手慣れ(・・・)過ぎている。



「谿コ繝。繧ケ縺吶ぎ繧ュ縺橸シ?シ?シ!!!! 」


「ゴメンナサイ! 繧ゅ≧螟ア謨励莠悟コヲ邨カ莠ュ! ゴメンナサイ! 縺ォ譛ェ譚・豌ク蜉ォ縺ィ縺励縺帙? 」



 ゲシュペルが腕を持った手を揺らす度にカチャカチャと音が鳴る。発生源は女の子の首元。よく見れば分かる、鎖付きの金属の首輪がついている。



「繝舌Λ豈崎ヲェ縺ョ讒倥↓繝舌Λ縺ォ縺励※繧??? 」


「……! 縺?▲繧峨@繧?ゴメンナサイ……『タスケテ』……」



 ……さっき俺は道を歩いている時に何か違和感のある音を聞いた。その時は気のせいだと思っていた。なぜなら異世界でまさか『日本語』が聞こえてくるはずがないと思っていたから。


 だけど今、異世界の言葉も段々と聞こえるようになるということが分かった『今』なら分かる。あれは聞き間違いじゃない。間違いなくどこかから聞こえた。『助けて』という声が。目の前の女の子と同じように。


 1秒にも満たない思考。正面を見据えた俺。怒りに打ち震えるゲシュペルはこっちに全く意識が向いていない。


『異世界では普通、人に向かって断りもなくスキルを使うのはマナー違反』。そう聞いたっけ? 


 俺はゲシュペルの腕をつかんだ。女の子を掴み上げるその太く浅黒い腕を。



「險?縺?◆縺?!? 」



 驚いて女の子を取り落とすゲシュペル。そしてキャッチする俺。それと同時に使用した。ついさっき、やっと再使用が可能になった。『偽装看破』を。



『Lv.35 ゲシュペル 58歳


  職業:【奴隷商人】

 スキル:【奴隷作成 Lv.19】【詐術 Lv.18】【薬草術(毒) Lv.17】 

  称号:無


   力: 89

  敏捷:401

  器用:254

 持久力:219

  耐久: 98

  魔力:299                        』



『偽装の腕輪(金):

 装備者が公開するステータスを自由な数値、情報に偽装できる』



 俺は今までで2種類の異世界人と迷宮の中で出会った。一つは高潔で仲間想いな騎士団。そしてもう一つは……『殺人鬼』達。


 知っていたはずなのに。いきなり初対面で武器を向けてくる奴らに『碌なのはいない』と。どこかで無意識に期待していた。『異世界人』の良心というものに。



「縺薙??!! 」



 女の子を片手に抱えて無言で立ち尽くす俺にゲシュペル……このクズは掴みかかってきた。どうやら勘違いしているらしい。ステータスを隠す俺がコイツと同じだと。同じ自分の弱さを偽っている存在だと。


 ならその勘違いはへし折ってやる。その伸ばしてきた腕と一緒に!



「ぎゃあああああああああ!! 」



 片手で少し弾くとゲシュペルの肘から先は粘土のように簡単に捩じ曲がった。痛みで絶叫するゲシュペルに片手の女の子を床にそっと置きながら近づく。その無駄に高そうな服の首元をむんずとつかんでゲシュペルの身体ごと持ち上げた。



「縺イ縺?>縺?>縺?>縺?>!!! 」


「なあゲシュペルさんよ……もう分ってんだぞ。さっきの酒に低レベルの【鑑定】スキルじゃ見抜けない『毒』を入れただろ」


「・繧峨↑縺?シ√??菫! コ縺ッ遏・繧峨↑縺?シ! 」


「とぼけても無駄なんだよ。俺の『偽装看破』の前じゃ」


「謔ェ縺倶ソコ縺ッ繧上k縺??縺九≠縺ゅ▲縺溘?……タスケテ……タスケテ……」


「お前が言うのかよ……そのセリフを! 」



 握った服をさらに捩じり上げるとゲシュペルはとうとう泣き出して何かを叫んだ。



「∴縺医∴縺医∴縺医※縺! ∴縺医※縺?縺槭♀縺!! 」



 すると呼応して動いたのは宴会に参加していた男達。それぞれがナイフを持って給仕の少女たちの首に突きつける。何重もの悲鳴がテント内にこだました。


 それと同時に再使用が可能になった【索敵】スキルは俺に教えてくれた。テントの外で数十人の武装した男たちが様々な場所で奴隷の身分の老若男女に武器を突き付けていることを。


 なるほど。この街の実態も気づかずにのこのこ入り込んできた『馬鹿』が妙な正義感を振りかざし始めたらこんな風に対応するのか。マニュアルって奴が出来上がっている。



「隕九?√??螂ウ繧抵シ√??繝翫う繝輔!! 」



 相変わらず謎の言語だ。けれどその時だけは不思議と何をしゃべったのかがよく分かった。『動くな』それか『大人しく投降しろ』ってところか。



「【念動魔術】!! 」



 舐めるなよ。50人や100人くらいの人間の身体を1mmたりとも動かせなくすることくらい訳ない。


 だがその時俺の全くの予想外の出来事が起きた。【念動魔術】で確かに俺は武器を持つ男たちの動きを止めた。男たちのステータスの耐久力を遥かに上回る『出力』で。


 途端に泡を吹いて苦しみだす武装集団。しかし意地か何かは分からないが腕を捻じ曲げようとしても武器は取り落とさないし、抱える奴隷たちも離そうとしない。


 クッソ! 黒騎士の時に魔法を使い過ぎた! 魔力は回復しているけど……細かい操作が効くほど本調子じゃない! このままだと……人質を救えない!


 どうする? 


 この状況は俺が『何』をすれば……解決できる?


 小狡く、あさましく、迷ったふりをした。もうすでに『答え』は自分の中にあったというのに。




 単純な話だ。そのまま()してしまえばいい。


 今は無力化するために念動力で全ての関節を最小限の力で固定している状態。そんな面倒なことをしているから魔力を無駄に消費しているんだ。なら辞めてしまえばいい。魔力の対象を首の関節部だけに変えてしまえばいい。後は簡単。奴らが持つ武器が誰かを傷つける前に全力で捻じ曲げるだけ。本来は首が回転しない領域まで。


 頸椎損傷。


 恐らくは俺が今出来る一番簡単な殺し方。だが出来るのか? 人を殺したことも、覚悟も無い俺に。


 人語を喋るモンスターを殺した後に夢に出てきたことが何度かある。もれなくそれは寝覚めが最悪の悪夢になった。そんな時はいつも自分に言い聞かせた。アレはモンスターだ。人間じゃないと。16歳の脆い精神をそうやって慰めてきた。


 今、俺は岐路に立っている。殺せば救える。逆に言えば殺さないと救えない。


 横眼で床にへたりこむ女の子の顔を見た。梨沙によく似たその子の目じりには涙が溜まり俺を見上げていた。まるで懇願するかのように。どうか『私たちを救ってください』と。


 ……ッッ!!


 そうだ。殺すしかない。


 いや俺が殺す!


 この下種共を。一人残らずッッ!!


 目がチカチカする。頭の血管がブチ切れそうだ。だけどもう加減を気にする必要は無い。そして俺はゆっくりと力を込め始めた。奴隷たちに刃が当たらない様に細心の注意を払いながら。武器を持つ人間だけの首をもっと……もっと捻じ曲げろ!

 

 やれ! 止まるな! 今まで何体モンスターを殺してきた!?

 

 同じだろ! 人間の1人や10人や100人も!


 殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!



「うわあああああああああ!! 」



 その時、



 その瞬間、



 俺の魔法が命をつなぐ首の骨を砕く――――その直前、



 指にはめた指輪が熱を持った。


 入手してから付け続けていた『奇縁の指輪』。アイツ(・・・)との友情の証が。


 刹那の間も経たず俺の【索敵】スキルの網に一瞬で100近くの人間が出現。さらに目の前に現れたのは……白銀の鎧(・・・・)をまとった一人の騎士だった。



「『動くな』……ゲシュペルとその一味」



 身体が少し震えた。すぐにわかった。彼女(・・)が言い放った言葉には巨大な魔力が込められている。恐らくは言霊とかその類のスキル……自分よりも低レベルの存在に『命令』を効かせることが出来るのだろう。



「アナタたちには帝国基本法第1条と第4条と第18条を重大に違反したという疑いと証言が存在します。さらに強要罪の現行犯を確認しました。帝国陸軍13騎士団団長の名をもって逮捕します。その前にまずは……『跪け』」



 一瞬だった。一瞬で俺が苦心した状況を制圧して見せた白銀の騎士。


 もう分かっている。俺が異世界人と言葉が通じないのは俺と異世界人の世界のズレが大きすぎるということ。逆に言えば俺との世界のズレが少ない異世界人だったら言葉が通じる可能性が大きいということ! 


 普通、異世界の知り合いなんていない。だけど俺は唯一、一人だけ知っている。死闘を共に戦った白銀の女騎士。俺とさほど変わらない歳で団長を務める女の子。そして俺が初めて出来た異世界の友人。



リューカ(・・・・)!! 」



 叫んだ。兜を脱いで髪を振る見覚えのある女の子に向かって。彼女の名前を。リューカは振り向いた。声のする方、俺に向かって。そのウサギの様な真っ赤な光彩を持つ瞳を疑念(・・)で一杯にして彼女はつぶやいた。




「あの……失礼ですけどどちら様ですか? 」


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 最初の犬だけはSFというかエイリアンぽかったけど、それ以外は完全に魔王軍もモンスターもダンジョンもファンタジーやな。
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