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効率的な『大量殺人』を行う方法

 ――羽田空港での戦いが終わった後、俺は蕪木に尋ねたことがある。


 あの戦いで初めて相対した『ダンジョンテロリスト』と呼ばれる存在についてのことを。



『城本剣太郎……まさかとは思うが【迷宮解放戦線メイキュウカイホウセンセン】のことを気にしているのか……? よした方が良い。そんなことをしても時間の無駄だ。君が気にかける必要なんてない。関わっても損しかない。下らん主張を繰り返す迷惑(・・)なだけの連中だ』


『“迷惑”……ですか? 』


『“鷲の腕章”を付けた奴らに限ればな。戦闘員のほとんどが非ホルダーで構成されたテロリストなんてダンジョンに巣食う凶悪なモンスターと比べれば脅威と呼ぶことさえバカバカしく感じる。本当に問題なのは、人知を超えた能力を持つホルダーが集まったテロリスト共だ』


『その口ぶりから察するに……居たんですね。ホルダーのテロリストで”有名”なのが』


『――いた。日本にも。それも“最悪”なのが。【第三次迷宮侵攻】直後の混乱しきった国を奴らは真の地獄へと突き落としかけた』


『……真の地獄』


『時に城本剣太郎……君は人間を最も効率的に大量に(・・・)殺せるのはどんな能力だと思う? 』


『急にぶっこんで来ましたね。うーん……『火の魔法』とかじゃないですか? 街とかに燃え広がると手が付けられないし』


『流石に“炎の使い手”なだけあって正確な分析だな。だけど人を大量に殺すという一点に限ってみればそうではない』


『正解はなんですか? 』


『生物兵器や化学兵器としても名高い“ウイルス”と“毒ガス”だ』


『なるほど。どっちも超広範囲に広がる特徴を持ってますね』


『その通り。人と人の間で感染し、風に巻き上げられることで超広範囲にひたすら広がり続けるこれらの能力の影響力は計り知れない。ウイルスは基本的には目で見えない上に、毒ガスは【突風魔術】などと組み合わせれば被害は無限大にまで膨れ上がる』


『そして“最悪のテロリスト”は……その能力を持っていた? 』


『実際、恐ろしかったよ。奴のスキル【ウイルスクリエイター】は。もしも迷宮庁の対処が少しでも遅れて居たら、今頃日本という国は殺人ウイルスの感染爆発(パンデミック)によって文字通り“消えていた”かもしれない』


『ウイルスと毒ガスか……』


『……そういえば。城本剣太郎。どうして急にテロリストのことを? 』


『あぁ、いや……ちょっと気になっただけです』


『そうか? まあ良い。この他にも気になったことは何でも聞いてくれ』


『ありがとうございます。ガチで助かります』



 その時、話はここで終わった。それからは一度もダンジョンテロリストについて誰かと話したことは無い。


 当時、蕪木には言わなかったけれど、結局テロリストのことが気になった理由は安否も分からなかった梨沙のことが気がかりだったからだ。活動場所も、攻撃目標も無差別な奴らの存在は居場所の分からない妹を心配する兄としてはモンスターと同等以上に危険なように思えたからだ。


 でも、あの時の俺は祈るしかなかった。どうか無事であってくれと。『ウイルス』も『毒ガス』も梨沙とは関係なくあってくれと、そう信じるしかなかった。



「ごほっ、ごほっごほごほ……がはッ! ぐはっ! 」



 そして、そんな風に思ってた俺は今。



「……――あ“ぁ”ぁ”……クッソォッッ!! 」



 毒ガスの威力をその身で受けることになっていた。



明日は二話投稿です

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