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予感適中

【上級ダンジョン】に関して俺はずっと勘違いしていたことがある。『【魔王の鍵】を使わないと【上級ダンジョン】への道は開かれない』と誤解し続けていたんだ。


 そんな俺の思い違いに気付かせてくれたのは、事情通のマサヒラだった。



『【上級ダンジョン】? ああ、俺も一回だけ行ったことがあるぜ? 』


『え……? こ、この【鍵】を使って? 』


『ん? なんだそりゃ? 俺は普通にダンジョンの占有権を買い取ったGCAの攻略にくっついていっただけだぜ? 確かあの時の攻略には俺と同じような傭兵(・・)が100人はいたって話だ』


『”車に乗っていたら急に飛ばされた”ことも一度だけあったけど……普通に発生するものなんだ……【上級ダンジョン】って』


『もしかしてそれってタクマが言ってた奴か? そうだぜ、剣太郎。【上級ダンジョン】は自然発生する。出現確率(・・・・)は恐ろしく低いみたいだけどな。たしか100万のダンジョンの中で1つ見つけられたら豪運って話だったかな? そんだけ希少な分……攻略できた時のリターンは信じられない程デカいし、リスクもその分目茶苦茶デカいってわけだな。まあ、俺はしばらくは行かなくてもいいと思ってるぜ。あの時、下手に大活躍しちゃったのがGCA(奴ら)からしつこく勧誘されるようになったキッカケでもあるしな! 』


『…………』


『お、おーい? 剣太郎? 聞こえてるか? 城本くーん? ココは突っ込んでくんないと俺がハズかしいんだけど……おい、お前等こっち見てんじゃねぇ! 笑うな! 』



 ここまでが野良犬連合の一階のカウンターであった一幕。


 今でも鮮明に思い出せる記憶の一つだった。


 そして他の客とじゃれ始めた赤髪の侍を横目に、俺はこの時こう思った。


”『もしも運悪く【上級ダンジョン】を連続して引いてしまったり何てしたら? 』それはとんでもない不幸だな”――と。






 人一人いない駅構内を歩いていると、自分が現実ではなくダンジョンにいるような錯覚を覚えることがある。


 電気の供給が絶たれた薄暗い天井。あたりに散乱したペットボトルや缶。もはや何者も拒むことも無く、ホコリが積もった改札。音も光もなく、ガランとした無人のホーム。


 太陽の光が届かないこの大空間は見れば見るほどにダンジョンのように見える。頭上の案内を見れば乗り換え(・・・・)に迷うことはそうそうないものの、複雑に通路が絡み合った東京の地下鉄はまさに“迷宮”といったところか。


 折角ならちゃんと交通機関として機能していた内に利用したかったというのが上京してきたばかりの俺の掛け値なしの本音だった。



「まあ……モンスターが出ないだけマシなのか? 」



 思わず独り言として口に出してしまうほど、モンスターの気配は相も変わらず感じ取れない。あえて【偽装】を使って隠れているのか。はたまた本当にいないのかは分からないけど。


 まあ、良いさ。


 いずれこの地下鉄にあるダンジョンを端から全て攻略さえしてしまえば良いんだから。



「【索敵】――……よし、何も無いな」



 常に周囲への警戒は続けつつ、次の路線へと向かう。


 通路を駆け抜け、動かないエスカレーターを一飛び。


 階段を二つ経由しつつ深い暗闇の奥底へ。



「なんだ……これ? ……[魔力]がどっかから漏れてるのか? 」



 エスカレーターの最後の一段を降りた瞬間、何か妙な胸騒ぎを感じた。


 その正体を探るべく【鑑定】を周囲に使った直後――。



「これは……!? 」



 ――当たらないでほしかった俺の予感(・・)は見事、適中してしまったことを知る。



「こんな真似も出来るのかよ……今度の『敵』は……! 」



 この時、目に入って来たのは”夥しい数(・・・・)の『開』の文字”。そのどれもがバチバチと帯電し光を放っている。


 考えずとも、思い出さずとも、俺にはこの現状が理解できた。


 目の前に0.0001%未満の確率でしか出現しない筈の【上級ダンジョン】が無数に出現したということを。

 

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