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完全上位互換

 最初は『疑惑』にすら満たない僅かな違和感程度の感覚だった。


 けれど戦っている内に、【魔法】の応酬を続けている内に……徐々に膨らんでいった違和感は揺るがぬ疑惑へと変わり、明確な確信へと変わっていった。



「――【灰塵魔術】……」


「……ッ! 【火炎魔術】ッッ! 」



 女王を助けに遥か上空から下界へ降り立ったこのホルダーが行使する『火の魔法』が……明らかに俺が持っている【火炎魔術】の完全上位互換(・・・・・・)であることを。



「『焦熱裂刃(ショウネツレツジン)』」


「『獄炎』!! 」



 【水冷魔術】【岩石魔術】【突風魔術】【火炎魔術】……いわゆる【属性魔法】と呼ばれる四つの【魔法】が地域・国・世界を問わず広く普及している中で、この新手(・・・・)の使う【魔法】は何万人ものホルダーのステータスをこの目で見てきたはずの俺が一度も見たことも、聞いたことも無い代物だった。


『火』『水』『土』『風』の四つの属性を司ることまでは同じだが、それ以外は何もかもが違い……『魔法構築速度』『魔力変換効率』『現実世界に与える影響度』『属性への親和性』に至っては笑ってしまうほどの差が生まれてしまっている。


 そう、だからつまり『完全上位互換』。俺が1000の[魔力]を込めた【火炎魔術】に相手は100の[魔力]を込めた【魔法】で対応・相殺することが出来るってこと。加えて無効の【魔法】は俺の炎を吸収(・・)とまではいかないが、ぶつかって混ざり合わせることで威力を緩和することが出来るらしい……とまあ現状を大体分析するとこんなところになるだろう。



「『反転放出』! 」


「『赤熱境圏(セキネツキョウケン)』」



 確かに、ただの【火炎魔術】しか使える手段が無かったのなら魔法の打ち合いで勝てなかったかもしれない……だけど俺には『龍王の炎』がある。


 途轍もない魔力を消費してしまうが、それ相応の圧倒的高火力を実現する『蒼炎』をもってすれば『笑ってしまうほどの差』もどうにか出来るかもしれない。


 それだけの信頼と期待を俺は『龍王の炎』に込めていた。



「【流霜魔術(リュウソウマジュツ)】」


「なに!? 」



 だけどこの時の俺は真に分かってはいなかった。


『完全上位互換』とは一体どういうことなのかを。

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