第八十四話「プレラーティ博士」
Side 緋田 キンジ
俺達――キョウスケやパンサー、リオ、パメラは公安の女、Xにバスに乗せて連れられてとある場所に案内された。
そこは町外れにある大きな研究所のようだ。
他にも第13偵察隊、第7偵察隊の面々なども集められている。
警備は厳重で内部も世紀末世界でしか運用されてないドローンなどが普通に稼働していた。
パワーローダーの姿もある。
普通の施設ではないことは確かだ。
「やあ、君達と出会うのを心待ちにしていたよ」
施設の最奥。
モニターが並んだ部屋。
そこに白衣を着た長い金髪の生意気そうにませて居る金髪の美少女がいた。
背格好は世紀末世界で出会ったアネットに似ているが別人だとハッキリと分かる。
傍にはヴァネッサやアーティス、佐伯 麗子までいる。
だがそれよりも――
「不思議と初めて会ったようには思えないな」
「私も――そんな感じ」
俺とリオは彼女に対して奇妙な感覚に囚われた。
まるで初めて会ったような感覚が感じられない。
昔から知っているような感じなのだ。
キョウスケとパメラ、パンサーも同じような事を呟いていた。
「たぶん私は色んな並行世界を渡り歩き、並行世界をあるいは他の世界の自分自身に憑依したり――転生とも言うのかな? その影響が君達に出ているのだろう」
「いきなりとんでもない爆弾発言が飛び出したな」
並行世界を渡り歩いている?
他の世界の自分に憑依したり転生したりしている?
ヴァネッサの例(もう一つの並行世界の地球の存在)やら並行世界跨いだ侵略者やら自衛隊の境界駐屯地に世紀末の世界へと繋がるゲートとかあるのだ。
今更かもしれない。
「並行世界の研究、並行世界へと通じるゲートの研究などと言う物に手を出した罰があたったんだろうな。人には早過ぎる領域だったと反省しているよ」
「懺悔は後で聞こう。これだけの面々を集めてパーティーでもしようってことじゃないんだろう?」
俺は代表して話しかけた。
「君はどの世界でもそんな感じだな。まあ安心したよ――本題に入る前に種明かしをしておこう」
「種明かし?」
キョウスケが当然の疑問を呟いた。
「境界駐屯地に開いたゲートについてだ」
彼女が言うには境界駐屯地のゲートは彼女が作った物らしい。
より正確に言えば並行世界に存在するプレラーティ博士の誰かだ。
製造場所は今は自衛隊が使っているあの基地。
それが何らかの要因か、それとも偶然か――作動してあの場所――境界駐屯地に開いたようだ。
「境界駐屯地にゲートが出現する可能性は高かった」
「前にヴァネッサから聞いたがゲートが開き易い場所だったんだろ?」
日本でフォボスと初めて戦った終わりにヴァネッサから聞いた話を思い出しながら俺は言った。
「まあな――ここからが本題だ。君達はフォボスを倒す前にリビルドアーミーと決着を付けなければならない状況だ」
そしてモニターに様々なデーターが表示される。
「そのためには早々にリビルドアーミーに退場して貰わなければならない。そのためにレジスタンスが一斉蜂起し、そして敵の中枢に突入――真の黒幕にさっさと退場願おう」
「真の黒幕――確かアーティスの嬢ちゃんが言うにはフォボスとは違う支配者がいるんだっけか」
キョウスケの説明を引き継ぐようにアーティスが言う。
「その通りじゃ。色々とあの手この手で調べたが何かがいるのは確かじゃ――人かどうかも分からん。実はコンピューターとか言うオチでも驚かんぞ」
と、アーティスが言う。
それを聞いてキョウスケが「笑えない冗談だ……」と言う。
「ともかくこうして集まって貰ったのは他でもない――ある作戦のためだ」
そして最後に佐伯 麗子が説明する。




