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第六十六話「ガッツ軍曹」

 Side 緋田 キンジ


 パメラ所有と陸自所有の大型トレーラーを中心に車両の列が平野(荒野)を進む。


 何をするべきかは分かっているけど具体的にはどうするべきかは分からない。


 そんな状況下でも手探りで歩み続ける。


 現在地はグレイヴフィールドの東部。


 なにもない平野。


 廃墟が点々としている。


 思えばこうしてこの世界をほぼ自由気ままにうろつくのは初めてだ。


 世界が終わるかどうかの瀬戸際なのかも知れないのにこう言うのは不謹慎なのだろうが楽しい気持ちになる。


 あの佐伯 麗子の意見に従うのも癪だが今は東から北へと時計回りに動き回っている。


 各方面に偵察隊は出しているが、この世界に来てからと言うもの激戦続きで戦力の消耗が激しく、中々手が回らないと言うのが現状だ。


「東らへんは確かリビルドアーミーの空中戦艦が通った道だな」


 この世界で仕入れて導入したトレーラーの格納庫内部でキョウスケに話しかけるように言う。


「ああ。その作戦で確か自衛隊の連中――最初の攻撃部隊も立ち寄っていたし、そんなに詳しくは見なくてもいいだろう」(*第三十話参照)


 つまり偵察する必要はないと言う事だ。

 

「このままグレイヴフィールドを中心にグルっと回って北部に向かいたい」


「了解。なんか見つかるといいな」


 などとキョウスケも呑気だった。



 グレイヴフィールド北東部。

 

 元は軍事拠点の一つだったんだろう。

  

 兵器の残骸などが転がっている。


 問題なのはアサルトドローン。

 

 人にきわめて近い動作をする緑色の戦闘ロボット達が待ち構えていたことだ。


 一台や十台ではない。


 目に見える範囲で一個小隊分(五十体近く)ぐらいはいる。


『貴様達も略奪者か!?』


『えーとどう言えば良いんだこう言う時。邪魔なら立ち去るよ』


 と、俺はパワーローダーを身に纏いながら言った。


『私はガッツ軍曹。上官不在のため、私がここの指揮を執っている』


『あーすまないけど、俺達は君たちの上官じゃないんだ』


『すまない。メモリーが破損していて一部情報が欠落している。目覚めてから変な化け物やら話の通じない略奪者ばかりで混乱している。何が起きたか分かるか?』


『あ~俺達もよく分からないんだ』


『そうか――それで戦争はどうなった?』


『たぶん終わってると思う。しかも最悪な形で』


 世紀末物の導入部にありがちな核戦争エンドを思い浮かべながら言った。


『ならば話は早い。部隊を再編して戦後復興を行いたい』


『あーそれについてなんだが……』


『むう?』


 俺はこの世界の現状と俺達の身分などを詳しく話した。

 長話になってくれたがちゃんと聞いてくれて理解してくれた上でこう言った。


『なるほど。今はリビルドアーミーと君たちジエイタイが戦争していて、その裏でフォボスとか言う連中が暗躍しているのか』


『まあそんな感じだ』


『ことの真偽はともあれ、状況を見極めて行動したい。リビルドアーミーに関しては我々も何度か戦ったことがある』


 そう言ってスクラップにしたパワーローダーの方に目をやるガッツ軍曹。

 リビルドアーミーがよく使っている白と青のパワーローダーだ。

 中にはヴァイパーズのマークがついている奴やら野盗が使用していたと思わしきパワーローダーまであった。


『で? どうするんですか?』


『とにかく戦力の増強が必要だ。ここから北西に軍用工場があったはずだ――』


 一先ずパワーローダーを身に纏って戦闘態勢を整えている仲間達の元へと戻った。


『話は終わったか?』


 とキョウスケが言う。


『ここから北西に軍用工場があるとか言ってたが――ヴァネッサ?』


 俺はヴァネッサに尋ねた。


『はい。確かに軍用工場はありますね。今はリビルドアーミーの支配下に置かれている筈です』


 との事だった。

 厄介な事になったと思う。


『次の作戦は決まったようなものだね』


 リオが言う。


『とりあえず情報の共有と作戦について考えようか』


 俺は次の作戦についてガッツ軍曹に相談することにした。


お久しぶりです。

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