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第五十一話「再強襲」

もうすぐ休みも終わりです

 Side 緋田 キンジ


 俺達は以前貸し与えられた専用のガレージにトレーラーを入れる。

 パワーローダーの整備に入った。


 俺も手伝える範囲で手伝う。


「なんだかんだでこのパワーローダーとも長い付き合いになったな」


 と言うとキョウスケが


「シップタウンに初めて来る前に購入した奴だもんな」


 そう、思い出すように言う。


 パワーローダーフェンサー。

 随分長く身に纏ったような気がする。

 購入当時はまさかここまでの付き合いになるとは思わなかった。


「ヴァネッサの新型パワーローダーを待つのもいいが、また戦闘が起きるかもしれないし、準備はしておこう」


「了解――もういっそ、設計図もらって材料買って一から作った方が早い気もするがな」


「まあな」


 この世界の自衛隊が大量にパワーローダーを保有するに至った理由はこの世界のキャラバン、トレーダーの人々から大量購入したのもあるが、一から作って量産したのもある。


 この世界と日本とが繋がってるからこそ出来る荒技だ。


 と言うかこの世界、工作用マシンと設計図さえあれば幾らでもロボットやパワーローダーを製造出来る恐るべき世界でもあるのだ。


 噂ではこの技術を応用して新型の戦車や戦闘ヘリを作ろうという動きが自衛隊にあるのだとか・・・・・・


 正直恐いが、それぐらいやらないとフォボスやリビルドアーミーには太刀打ちできないだろうとも思っている。


「俺達もそうだがリオやパンサーのパワーローダーも限界だろう?」


「まあな。あの二人でも腕だけで切り抜けるのはな――」


 キョウスケが言わんとしている事もわかる。

 その辺も問題だろう。


「って、警報!?」


「敵の第二波か、クソ――!!」


 恐らくはヴァイパーズだろう。

 思ったよりも敵の襲撃感覚が早い。

  

 

 襲撃されている場所は北ゲート前だ。


 敵の数は先程よりも多くなっている。


 敵の戦車や戦闘車両、そしてクラーベと名乗った奴が乗る大型のカニ型マシンが先陣を切る。


 その周囲にはパワーローダーが飛び回り、後から無人のロボット兵器が続く。


 一気に乱戦に持ち込まれ、北ゲートは崩壊しようとしていた。


 そもそも北ゲートは前々回の戦いでヴァイパーズのゲテモノ戦車に破壊され、(第十五話「シップタウン防衛戦」参照)修復したはいいが急ごしらえの物で以前よりも防御力は格段に落ちている。


 突破の時間の問題だ。


『フハハハハハハ、シップタウンも終わりだな!』

 

 クラーベの勝ち誇った高笑いが周囲に響くが――


『勝手に終わらせんじゃねえ!!』


 俺はパワーローダー、フェンサーの専用ライフルを撃ち込む。

 しかし全く効いていない。


『どんな装甲してやがんだ』


『このキャンサーの前に散るが良い!!』


『誰が――!!』


 だがこのままじゃ不利だ。

 援軍が来ても生半可な数じゃそのまま押し切られる。

 などと思っていると敵のミサイルが飛んできた。

 それを高速でブーストを噴かして飛び回り、ミサイルを手に持ったライフルで迎撃する。


 しかしミサイルの近距離爆発の衝撃で地面に叩き付けられた。

 

『このまま散るが良い!!』


『ッ!!』


 ハサミを向けられる。

 ビームが発射される直前――


『俺達もいるぜ!!』


『私も!!』


 キョウスケとリオのコンビが接近してクラーベのキャンサーに仕掛ける。

 しかしクラーベは「チッ」と舌打ちしていったん距離を離して火砲を一斉者する。


『あのゲイル、バレル、ジェネ、フェンサーを狙え!! あいつらが守りの要だ!』


 不味いと思った瞬間。

 敵は攻撃を俺達四人に集中させてきた。

 猛烈な砲火でどうにか致命打を避けるがこれでは長くは保たないだろう。


 シップタウンの防衛隊や自衛隊の駐留組、他の第13偵察隊のメンバーも敵の物量に押されて此方の援護が出来ない様子だ。


(このままでは!!)


 何か打開策を考えなくては。

 そう思ってしまう。

 

『どうもヴァネッサでございます。緋田 キンジ様、物資が届きました!!』


 と、オープンチャンネルでヴァネッサの声が聞こえる。

 

 そして戦場のど真ん中にミサイル――いやカプセルが四つ落下する。

 

 同時に煙幕弾が撃ち込まれた。 

 

『今のウチです! カプセルの内部に新しいパワーローダーを用意しておきました! 宗像様やリオ様やパンサー様にも用意しております!』


 そしてパワーローダー内のディスプレイ画面に誘導シグナルが設置される。

 

 上空に航空機――マザーバードと呼ばれるリビルドアーミーが使う飛行機械が通り過ぎ、そこからピンク色のパワーローダーが落下してきたが今は構っている暇はない。


 俺はカプセルに向かって掛け出した。


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