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第二十三話「小休止その2」

 Side 狭山 ヒロト


 僕はシズク達と一緒に駐屯地内を見て回っていた。

 アイシャは気の合う女友達が出来たらしく、お話に夢中になっていた。 


 シズクのほかにバレッタやジェーン、マリアなどもついてきた。


 日本橋臨時駐屯地は一気に人が増えたせいでちょっとしたお祭り状態である。

 

 もっとも先の戦いの自衛官の殉職者の事を考えると素直に喜べないが。

 アレは采配ミスと言うより運が悪かったとしか言いようがない。

 

「なに浮かない顔をしてんだ?」


 と、バレッタが言ってきた。


「ああうん、実は――」


 本音を打ち明ける事にした。


「せめて祈りましょう――」


 と、マリアが黙祷する。

 ジェーンやバレッタも、僕にそれに倣う。


「さて――まあ辛気臭いのはここまでにして、アタイらは今後どうすんだ?」

  

「それなんだけど――」


 そう言って自分の考えを述べた。


 自分の考えはこうだ。

 

「出来れば手助けしたい。特に緋田さん達に協力したい」


 と。


 敵は確かに強大だ。

 だがこう言う時こそ助け合わなければならないと思う。

 理想論と一笑されるかもしれないが僕はだからこそ現実にしたいと考えている。


「ですが現状を考えた場合、あまり長く町を放置するのは得策ではないかと」


「そうだよね――」


 と、シズクにダメだしされた。


「そこで代替え案として私達が通って来たゲートを防衛するなどすれば自衛隊側も負担は減ると思います。さらにはディメイションクロスや自衛隊にもパイプが出来て儲け話にもなるかと」


「なるほど、そう言う手もあるのね」


 シズクの出した案にジェーンは乗り気だった。

 自分もいい案だと思った。。 


「最終的に決めるのは狭山様です」


「いや、僕もそれでいいと思う。それにまだ他にもいい案があるかも知れないから皆と相談したいと思ってる。フィア皇子や緋田さん達、Aliceの皆やディメンションクロスの人達にも呼びかけて」


「分かりました」



 Side 緋田 キンジ


 大阪日本橋の臨時駐屯地の仮設本部(天幕内)。


 狭山 ヒロトの呼びかけで自衛隊を半ば置いてけぼりにしながら会議が始まった。

 具体的に言えばゲートの防衛チームと自由に動ける攻撃チームとで分ける感じだ。

 

 そして攻撃チームに各チームからメンバーを選出すると言う形をとる。


 また母艦はレギンレイヴを使う事が決定した。


「いや~協力し合うって素晴らしい事だね」


「谷村君も来るの?」


「まあね」 


 谷村君も参加するようだ。

 

「どの道、ディアボロスをどうにかしない限りは事態の収拾は図れないからね。遅かれ早かれどこかの世界が焼け野原になる。それはこの世界かも知れないし、他の世界かもしれない。だけど何処の世界だろうと関係は無い」


 そして谷村君は天幕の中で熱心に会議をしている皆をみる。


「僕にも手伝わせて欲しい。この世界と、皆の大切な物を守るために――」


「ああ――」


 俺にはそんな決定権はない。

 だが言わんとしている事はなんとなく分かる。

 皮肉なもんだ。

 不良自衛官がまた世界を救うために立ち上がるなんてさ。

 

「正直言うと僕はこの国に――この世界に絶望していたところがある――だけど希望がこうして残っているのなら、それに懸けてみたい」


「谷村君――そうだな、まだ希望はあるさ」


 それは不確かなものだ。

 だけど何時だって意外と近くにある。

 普段はただ見え辛いだけで。

 そう思わずにはいられなかった。

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