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第十話「新たな戦力」

Side 緋田 キンジ


 俺達はシップタウンに向けて移動を開始――する前に装備を整える。


 現地の武器で装備を切り替えなど、地球でやったら間違いなく怒られるがここは異世界で相応の許可を上から貰っている。


 アサルトライフルも対物ライフルもこの世界のものに切り替えている。


 パワーローダーもドランだけでなく、フェンサーやギャリアンなどの新しいモデルを購入できた。


 性能的にはリオの"ゲイル"やパンサーが使う"ジェネ"などの機種に負けない奴らしい。


 フェンサーは万能型。

 丸っこいヘリみたいな頭部が特徴だ。


 ギャリアンは防御力とパワーに優れたタイプらしい。

 こっちは車のフロントガラス(車の正面に位置するガラス)みたいな目をしていて口元にエアダクトがある。


 両方とも緑色であり、ガタイが良いシルエットで昭和のロボットアニメとかで出てきそうなシルエットだ。


 問題は誰が乗るかだ。


 第13偵察隊だけじゃなく、第7偵察隊の面々もいる。


 ジャンケンに決めるワケにもいかないので隊長同士で顔をつきあわせて相談することにした。


 第七偵察隊の隊長、宮野一尉。

 

 人当たりの良さそうな人物で階級は上だがそう言うの気にしないタイプらしく、此方の意見にも耳を傾けてくれた。 


「正直に言うと、今の状況で完熟訓練は難しい。慣れてない人間が使うのは止めといた方が無難だ」


「ウチの隊だと俺かキョウスケになりますね」


「自分の隊だと僕か三木になるな」


 てことは四人か。

 

「キョウスケには最低でもドランを回す。ジャンクは流石にな・・・・・・」


「ああ確かに」


 懐事情の問題があったとは言え、流石にジャンク品との継ぎ接ぎなパワーローダーを乗せるのはかわいそうだ。


「欲を言えばフェンサーかギャリアンを貰いたい」

 

「じゃあ自分はフェンサーで」


「わかった。じゃあ自分がギャリアンを使おう。操縦訓練も念入りにしとこう」


「ですね」

 

 新型機は各隊の隊長機が使用する感じになった。



 少し離れた場所の平野で操縦訓練をする。

 

 手にはパワーローダー用のアサルトライフルを手にしていた。

 これは念のためだ。

 

(ドランよりも動きが軽いな・・・・・・)


 そう心の中で評価して他の面々を見る。

 パンサーやリオもパワーローダーを身につけて監督役をしてくれていた。

 

 キョウスケはドランを。

 第7偵察隊の三木 ケイイチと言う人もドランを身に纏っていた。

  

 ウチの隊(第13偵察隊)や第7偵察隊からどうしても志願者が出て空きが出たパワーローダーに搭乗して訓練している。


 一日潰す覚悟で操縦訓練をする事になった。


『敵が接近!! 数は戦闘車両、パワーローダー含めて10!! ――野盗連中よ!!』


 トレーラーにいたパメラから通信が入る。

 おえつら向きに敵が来たようだ。

 

 パワーローダーは継ぎ接ぎのパワーローダーやドランが精々。

 機動性がある戦闘車両の方が恐いかもしれない。


『パワーローダーをつけてない隊員は一旦退避! 三木は自分と一緒に左翼から、緋田君たちは右翼から攻めてくれ! リオさん達は皆の後退支援を頼む!』


 と、第7偵察隊の宮野一尉が指示を飛ばす。


『隊長がサマになってますね。了解、いけるかキョウスケ?』


『ジャンクであそこまでやれたんだ。いけるさ』 

  

 俺は『そうかい』と返して右翼。

 敵から見て左側から攻める。

 敵は攻撃してくるが攻撃対象が広がり、攻撃がばらけてリオたちに討ち取られる。

 

『バカ正直に突っ込むだけで連携もクソもないな』


『まあ野盗だしな』


 左右から挟み込むようにして突っ込んで来た戦闘車両を難なく破壊。

 後は出遅れたパワーローダーを残すのみ。


 後方からの援護射撃がはじまり、敵が怯んだところを宮野一尉たちと一緒にトドメを刺す。

 具体的にはパワーローダー用のアサルトライフルで蜂の巣にする。


『とんだ訓練になったな』


『まあ、相手が弱くて助かったよ』


 キョウスケの言い分にそう返した。

 ウチの隊員や第7偵察隊の面々も同じ気持ちだろう。

 

 まあそれはともかく。


『夜も近いし、一度キャラバンやトレーダー達の元に戻って夜営するか?』


『私も賛成。夜の移動は危険』


 俺の提案にリオの賛同もあり、宮野一尉も同意して引き上げることになった。



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