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=幕間:トレダーのアネットその2=

Side アネット


 リオと別れて黒髪で活発な作業着姿のニッパがヒョコッと顔を出してきた。


「リオっち、もっとゆっくりしてきゃいいのに」


「まあリオさんにはリオさんの都合があるでしょうし、私達もグレイヴフィールドのジエイタイに会いにいきますわよ」

 

 と、これからの方針を伝えた。


 ニッパは特に驚いた様子は見せず、


「そう言うと思ってました。もうトレーダーやキャラバン、賞金稼ぎ連中の間でも噂になってるようですよ。遠目からジエイタイの人達見てきましたけど、身嗜みが整って装備も綺麗でしたね」


 そう羨ましそうに言ってました。


「私も見ましたわ。リオさん身体も身嗜みも綺麗になってましたし。男女別のお風呂に入ったとかトイレが綺麗だったとか、空調が効いて涼しかったとか、料理が美味しかったとか・・・・・・」


 正直私もとても羨ましい。

 なにその天国みたいな場所!?

 本当にそんなところあっていいの!?


「情報量の対価で水配っていく連中ですもんね。リビルドアーミーこんな事しませんし騎士団の連中もここまで気前よくありませんよ」


「と、とにかくレースは始まっていますわ――ジエイタイと接触して見極める必要がありますわね」


「お、やる気ですね、姉さん」


「当然ですわ――」


 ジエイタイと言う謎の勢力の出現。

 この停滞した一帯を引っ繰り返すかもしれない。


 だがこの時代、お人好しは損をしやすいのが暗黙の了解。

 子供向けのお伽話のような存在が実在いたとしたら間違いなくリビルドアーミーが絡んでくる。


 あいつらはこの荒廃した世界の復興を謳いながら実態は野盗連中と変わらない。

 選ばれた人間による優れた統治などと抜かして搾取、弾圧するのだ。


 大半の兵士も見てくれだけの腑抜け連中が多い。

 装備はいいだけ。


(ジエイタイはどうかしら。少なくとも見込みはあるようだけど――)


 リオの様子や話を聞く限りでは信用してもいいかもしれないなどと思う反面。

 支配者気取りのリビルドアーミーがどう絡んでくるかが心配だった。


(ここで心配しても仕方ありませんわね)「ニッパ、出発準備。各員には戦闘態勢を取らせなさい」


「分かりました姉さん」


「さて、吉と出るか凶と出るか・・・・・・」


 私は不思議と今のこの状況を楽しんでいた。


 同時に嵐の予感を感じていた。



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