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第九話「情報収拾」

 Side 緋田 キンジ


 俺はリオ達と一緒にトレーラーが集まるこの場所を案内してもらう事になった。


 ここにはグレイヴヤードなどを含めた周辺の探索ポイントで金稼ぎをしている人々が集まっているようだ。


 その人達相手に商売を持ち掛けている人達もいるらしい。


「皆、トレーラーとか保有してるんだな」


「単独行動は基本、近くへ行くぐらいでしかいけないから。どうしてもトレーラーが必要になるし、複数人で行動している」


「でも君らたったの三人なんだな?」


「仲間募集中。出来れば女性がいいんだけどね。男性を入れると色々と問題が起きるからってパメラが」


「あ~女性三人に男一人は色々と問題は起きるな」


 確かに女性三人のところに男性一人は色々と問題があるだろう。

 ただの男ならともかく、この神も仏もいない世紀末世界の男だ。

 軟弱な高校生男子をメンバーに入れるのとはワケが違う。

 

「アマゾネスって言うグループみたいに女性だけで構成された有名なグループがいるんだけどその人達が羨ましい」


「そう言う人達もいるのね」


 アニメや漫画みたいに美女軍団ではなく、おっかないゴリラのような女性だらけなのを想像した。

 まあこの三人みたいにひょっとしたら~なんて事も考えたが。

  

「そういやパメラは?」


「ジエイタイから貰った報酬を元手に色々と取引してると思う。ここにはキャラバンの人達も大勢いるし、たぶんジエイタイの噂はあっと言う間に広まると思う。ジエイタイと接触したい、関わりを持ちたいと言う人達は増える」


「大丈夫かな――」


 とか言いつつ内心では(まあ、なるようになるか)などと思った。

 それにマトモな人との交流が増えればある程度は人の安全も確保出来るだろう。


 通信で伝えといた方がいいかもしれない。



 Side  宗像 キョウスケ


 パメラの付き添いで買い物をする。

 基本はコインと呼ばれる硬貨か、物々交換でのやり取りらしい。

 武器、弾薬、食料など、記録にとっていく。

 驚いたのはパワーローダーまで扱っているところだ。


 そして物の価値観。


 やはり水と食料は貴重品らしく、纏まった数さえあれば武器弾薬やパワーローダーとも交換が可能なようだ。


 価格破壊もいいところだ。

 

 逆に罪悪感のような物が湧いてくる。


 パメラはそんな事知ったことかと、カートを引いて羽振り良く買い物していく。


「どうしたの?」


 と、パメラが不思議そうに尋ねてくる。


「いや、この世界の食糧事情について考えてた」

  

「私から言わせてもらえばアナタ達がおかしいんだからね? こんな気前よくしてると野盗やヴァイパーズだけじゃなく、そのうちリビルドアーミーとかにも目をつけられるわよ」


「リビルドアーミー・・・・・・この世界で一番ケンカを売っちゃいけない連中のことだろ」


「そうよ」


 評判は悪いが先日、激戦を繰り広げたヴァイパーズとは比べものにならないぐらいに装備が整った武装集団らしいとは聞いている。


 ヴァイパーズでもアレだったのだ。


 正直戦う事は考えたくない。


「それにしてもアレだな・・・・・・なんか周囲からの視線が――」


 周りからチラチラと目をやる。

 羽振り良くパメラが買い物しているからだと思ったがどうやら違うようだ。


「そりゃ当たり前よ。アナタ達ジエイタイは目立つから」


「そんなにか?」


「軍服着てるのにそんな綺麗な恰好して物珍しそうな態度してたら誰だって珍しく思うわよ」


 遠回しに田舎もの呼ばわりしているようだが、彼女の意見が正しいのだろう。 


「まあとにかく、アナタ達は情報提供する代わりに町までの護衛も兼ねてるんだし、パワーローダーや武器も最低限ここで仕入れてくわよ」


「そいつはどうも」


 至れり尽くせりだ。

 言い方はキツイが照れ隠しなのか顔は真っ赤だ。

 あえてそこに言及しないでおくのがマナーだろう。

 


 Side 緋田 キンジ


 リオの同業者達と顔を合わせる。


 リオやパンサーは名が知れた人間らしい。


 対照的に自分は珍しげに見られるか、警戒されるが。


 紹介された同業者は男性もいるが女性の同業者が多い。


 農業やりながらトレジャーハントしてますと言う人や、一攫千金夢見てやってるなど事情は様々だ。


 情報についてだが冷えた飲料水を渡すと気前よく色々と喋ってくれる。


 上手く行きすぎて(大丈夫かこれ?)と不安になってしまう。


 ・・・・・・まあ目標は達成できてるから別にいいか。


 

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