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プロローグ:新しい異世界への扉

 Side 第7偵察隊隊長 宮野 ヒデト 一尉


 フォボスとの戦いが終わり、少しばかりの時間が経過した。


 あの荒廃した世界は復興に向けて動き出し、自衛隊も治安維持活動などで忙しく動き回っている。

 

 元の世界はフォボスの大規模世界侵攻で混乱しているが徐々に混乱は収束しつつある。


 そんなご時世の中で大事件が発生した。


 自衛隊の駐屯地の一つ、狭間駐屯地の消失である。


 それが飛ばされた世界に行かなければならない。

 

 あの荒廃した世界の自衛隊基地ならともかく地球の自衛隊駐屯地の通常戦力では相手によっては全滅もありえるからだ。


 本当は第四小隊や第13偵察隊の力も借りたかった。


 だが第4小隊は忙しいし、第13偵察隊も忙しい。


 手が空いてるのは自分達、第7偵察隊含めた他の部隊と言うことであった。


 不幸中の幸いでプレラーティ博士の尽力により、すぐに転移場所やゲートの生成は出来た。


 パワーローダーを身に纏い、出来うる限りの重武装で急遽編成された一個大隊と一緒にゲートを潜る。



 昼間の狭間駐屯地に辿り着くと既に戦闘に入っていた。

 

 戦闘は謎のパワーローダー同士……いやパワーローダーに似たファンタジー系な造形の見たこともないパワードスーツが地上や空中で戦っていた。


 仲間割れか?


 それとも自分達を助けてくれているのだろうか?


 それはそうとこれではどちらが敵でどちらが味方かは分からない。


 それにあの未知のパワードスーツは接近戦を主体に戦うようだ。


(まずいな……)


 パワーローダーの火器は(物によるが)戦車すら破壊できる。

万が一味方だった場合、当てるワケにはいかない。


『こっちに襲い掛かって来た!!』


 同じ第7偵察隊の隊員、日高 ヨウコが攻撃を避ける。

 敵は銃のような外観の兵器から未知の光線兵器を搭載しているらしい。


 僕は(やるしかない!!)と腹を括る。


『第7偵察隊は敵の迎撃に当たる!! 味方の被害を最優先に抑えるために追い払う事だけを考えるんだ!!』


 そう言ってパワーローダーギャリアンからパワーローダー用のライフルを発射する。

  


 どうにか追い払う事に成功した。

あのファンタジー系のパワードスーツ集団は恐ろしい事にパワーローダーに匹敵する戦闘能力を持っていた。


 自衛隊側も被害は出ているが、状況を考えれば不幸中の幸いだろう。

 

 現在ゲートから続々と新たな部隊が到着して負傷者の手当てや基地のインフラの確認、防衛陣地の構築を行っている。

 

 ひとまず状況は落ち着いたが一体何が起きているのだろうか?

 

 そして残ったパワードスーツ部隊、その先頭にはドラゴンような翼を持ち、尻尾がある金色の一本角を持つ白いパワードスーツ。

 ファンタジー物に出てくる騎士のようなデザインのようであり、どこか生物的な要素を感じられる。。

 それが武器を捨てゆっくりと僕達の眼前で立っている。

 全高は2mあるかないかぐらいか。

 そして装甲が開き、中から現れたのは――


『え!?』


 白髪の中性的な顔立ちの優しそうな少年、いや少女?

 パイロットスーツのようなピッチリとした黒と白のボディスーツに身を包んでいる。

 年齢はまだ十代半ば。

 立ち振る舞いも粗野な感じはしない。

 体つきは線が細くて分からないが鍛えられているように見受けられる。

 

 何故だかあの荒廃した世界で出会った騎士団の少女を思い出す。


「僕はバハムス帝国の皇子、フィア――僕に敵意はありません。それで貴方達は何者なんでしょうか?」


 それが第二の異世界との物語のはじまりだった。


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