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鋼の異世界(世紀末)と自衛隊奮闘録【第3部・多元世界編・完結】  作者: MrR
外伝・アフターストーリー(*不定期更新)
115/199

大規模模擬戦

 Side 自衛隊のとある高官


 今回の模擬戦は多くの軍事関係者が詰めかけていた。

 霞が関の先生方も足を運んできている。

 

 模擬戦の内容は簡単に言ってしまえば現代兵器VS未来兵器。


 あの世紀末の世界で得た戦闘兵器、パワーローダーの比較試験だ。


 しかも未来兵器を扱う側はエース部隊も混じっている。

 

 第4小隊。


 第7偵察隊。


 そして第13偵察隊。


 今では世界を救った部隊と言われている。


 彼達の噂を聞きつけたのか米軍までも観戦に駆け付けている。


 戦いはドローンを活用した映像が大型スクリーンに映し出される形だ。

 


 Side 自衛隊 通常兵器部隊サイド


 戦車や戦闘ヘリまで出しての大規模な模擬戦。

 相手は未来兵器で身を包んで実戦経験が豊富な部隊だと言う。

 

 なんでも世界を救ったとか何だとかそう言うエリート中のエリート部隊だとか。

 世界を救ったと言われる部隊の話は有名であるが、自衛隊の人手不足を解消するための広報戦略と言う見方もある。


 そう言うのは創作物だけの話で誇張が過ぎると。


 かく言う自分や周りもそんな感じだった。



 模擬戦がスタート。


 まず最初は日本で編成された通常部隊。


 10人の分隊規模の新米部隊である。


 こちらは戦車や戦闘ヘリを含めた中隊規模(約200名)だ。


 脅威ではあるが、動きがギコちない。


 まだパワーローダーと言う兵器に慣れていないのだろう。


 分隊規模とは言え、中退規模の自分達相手に被害は出ている 

 

 これだけでも驚異的な戦果とも言える。


 だが同時に期待外れ感があった。


 いくら未来兵器でも現実はこんなもんかと。

 

 そんな認識は崩れ去った。



 あの荒廃した世界所属の第四小隊。


 世界を救った部隊の一つ。


 選抜メンバー十人からの相手だった。


 漆黒のドランと呼ばれる機種のカスタムタイプのパワーローダーを身に着けている。


 いざ模擬戦が始まってみると、最初に戦った部隊が別次元とも思える程の戦闘力だった。


 とにかく早く、的確に敵を見つけ出し、瞬く間に撃破判定を出していく。


 まるでタイムアタック状態だった。


 

 Side 自衛隊 新米パワーローダー部隊。


 我々はパワーローダーと言う兵器の認識を改める必要があると感じた。


 今眼前で行われている訓練はそれ程の内容だった。


 地上を猛スピードで滑走し、次々とアグレッサー相手に撃破判定を与える姿。


 エースと呼ばれる姿に相応しい。


 同時に自分達の未熟さを痛感する事実であった。


 この日のために厳しい選考や訓練を受けて乗り切ってきた。


 だと言うのに自分達の結果は何なのだ。


 ようするに自分達は天狗になっていたと言う事を思い知らされた・。



 次の第7偵察隊はよりチームとしての完成度が高かった。


 使っている機種もバラつきがあるが、高度な連係プレイであっと言う間にアグレッサー部隊を撃破していく。


 最後の第13偵察隊はまるで第7偵察隊のスコアに挑むような撃破スピードだった。


 第4小隊の選抜部隊も凄かったが、第7と第13偵察隊は噂通りの別格だった。


 同時に思った。


 自分達もこの領域に至りたいと思った。


 あんな風にパワーローダーを動かしたくてたまらないと。


 戻ったら早速訓練だと思った。



 Side 緋田 キンジ 一尉


 正直言うと別の意味で実践より緊張した。


 お偉方の前で、こんな大舞台で実践での成果を披露するなんて――境界駐屯地で自衛官やっていたあの頃からは考えられなかった。


 出世したと言うことだろうか。


 第7偵察隊のスコアをどうにか抜けたし、今日はもうこれで終わりかな~などと思っていたら――


「なんだ、もう帰る気でいたのか」


 そこで佐伯 麗子。

 今は昇進して三佐になってる――が現れた。



『まさかこんな大舞台で第七偵察隊と模擬戦するとはな』

 

 俺もキョウスケと同じ気持ちだった。

 相手はやる気満々なようだった。


『しゃあない。リオから発破かけられたからな』


 そう言ってやる気を奮い立たせる。


『俺もパメラから言われたし、頑張るとしますか』


 キョウスケも俺と同じような理由でこの模擬戦に勝つ気でいるようだ。

 他の隊員からは「張り切りすぎてミスしないでくださいよ」と茶化されたので「お前らも相手みつけろ」と返しておいた。



 Side 自衛隊 新米パワーローダー部隊。


 第7偵察隊と第13偵察隊との模擬戦。

 

 それは世界最高峰の戦いだった。


 地上と空中を自由に行き交い、激しく位置取りして相手に食らいつく。


 まるで人型の戦闘機同士のような激しい戦いだ。

 

 その光景に圧倒されたのか、誰もが黙って戦いの行く末を見守っている。


 もしもこれが模擬銃ではなく実銃だったらもっと激しくなっていただろう。


 思わず手に汗握って魅入ってしまう。


 興奮してしまう。


 同時に悔しい。


 この戦いに交じれない事が。


 まるで高度な戦闘機同士の曲芸飛行。


 実戦で磨かれた粗削りだが高度なテクニック。


 それが戦いの中でより鋭く、より高度に昇華されていく。


 だがこれが戦いである以上、勝敗は決してしまう。


 最後は隊長機同士の一騎打ち。


 互いに死を恐れていないかのような接近戦での荒々しい激突。


 僅差で緋田 キンジ率いる第13偵察隊の勝利で終わった。


  

 後にこの訓練は日本や世界におけるパワーローダーの訓練に大きな影響を与え、伝説となる。


 同時に第4小隊、第7、第13の肩書きに偽りなしと世に知らしめる結果となった。 

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