世界はここだけじゃない
「ユウト!乗って!」
ジェット機の扉から黒髪ウェーブにモデル体型の女性が言う。
「リエ!」
「でかした!入れ墨女!!」
ユウトとマサシはすぐにリエに気付いた。
「お前らも乗れ!!早く!!」
ユウトが巨漢の男に言った。
巨漢の男は頷き、相棒と一緒に乗り込んだ。
「全員乗ったわね!サトミ出して!」
「はい!」
リエの合図にサトミが返事をする。
機体が浮上し始める。
とてつもないスピードであっという間に空まで飛ぶ。
隕石が近づいてくる。
機体が大きく揺れる。
「おいおい!宇宙にでも行く気か!?」
マサシが一番後ろの座席に捕まりながら叫ぶ。
「いいえ!だけど一か八かよ!!」
すると機体は進路を隕石が墜落してきた経路に進路を変えた。
「リエ、どうする気だ」
ユウトがリエに聞く。
「私たちは世界がここだけだと思っていた!だけど違う!世界はここ意外にも存在するの!」
「今、お前の研究結果を発表する時じゃねぇよ!」
マサシは相変わらずパニックになっていた。
巨漢の男は眼を閉じ心を無にしていた。
「ユウト、手握っていい?」
リエはユウトの手を握った。
「どんな状況になっても本当にユウトのままなんだね」
震えていた手が徐々に収まってきた。
「世界がここ以外にも存在するという事は必ず入り口が存在するの」
リエはユウトに言う。
操縦をしていたサトミは失神寸前である。
「どんな結果であろうとも俺はリエを信じるに決まってるだろ」
ユウトは死ぬ確率の方が高いのにもかかわらず、なぜか笑っていた。
「ありがとう、毎回本当に安心させてくれるのね」
「気の強いリエはどこ言った?本当の未来は誰にも予測できない、だろ?」
リエはユウトの言葉に涙目で微笑んだ。
「サトミ頼むわよ!!」
リエはユウトと一緒に操縦席に行く。
キーボードをカタカタと叩き、enter keyを押した瞬間、ボタンが現れた。
「ユ、ユウトさ〜ん、も、もし生きる事が出来たらまたご飯た、食べさせてくれます?」
涙声でサトミはユウトは言う。
「もちろんだ!焼肉でもいいぞ!」
ユウトは相変わらず笑っていた。
「おい!ユウト!必ず生きてお前を飲みに連れて行かせるからなー!!」
後部座席でパニックになっているマサシが叫ぶ。
「ユウト、なぜお前はこの状況を恐れない?」
巨漢の男が目を覚ました相棒のシュウとこちらにやってきた。
「そういや、名前聞いていなかったな」
「ジンだ」
「ジン、最初に言っただろ?俺は臆病なんだ」
ジンは不思議そうにユウトを見ていた。
「兄ちゃん、あんたは最初見た時から変わり者だと思っていたよ〜」
シュウがユウトに言う。
「お前らに言われたくねぇよ」
ユウトは微笑んだ。
「よし、今よ!!」
機体と隕石がぶつかり合う寸前でボタンを押した。
機体から電磁波みたいな光線を放ち隕石と機体の間に大きな穴が現れた。
その先は光輝いていた。
機体はその穴に飛び込もうとすると同時に隕石もこちらに突っ込む。
神々しい光が全員を包み込む。
辺りは真っ白になった。
音もしない。
周りを見渡すが誰一人いない。
(恐れずに聞いて…)
どこからか声が聞こえる。
(私たちは今あなたの心の中に話しかけています…)
(今、各世界ではある人物達によって支配されようとしています…その者達の目的は全宇宙を支配すること…)
(全宇宙を支配するためにある女性を追われています…)
(我々が身動きできない今、彼女はずっと一人で逃げ続けています…)
(どうか…各世界の謎を解き彼女を助けてあげてください…)
何もない白い空間から神々しい光がユウトを包み込む。
無限に広がる草原が目の前に現れた。
後ろには大きなリンゴの樹がなっている。
リンゴの樹の下には文字が刻まれた碑が置かれていた。
見たこともない文字でユウトには読めない。
リンゴの樹をよく見ると落書きなのか、誰かの似顔絵が描かれていて、隣に数字の1が刻まれていた。
優しい風が吹く。
(我々はあなたが各世界の謎を解き、彼女を救い、再会し、私たちのところまで辿り着くその時を待っています…)
神々しい光がユウトを包み込む。
目を開けるとリエが顔を覗かせていた。
「えっ?」
リエは顔を真っ赤にして砂浜に顔を埋め込み遠く走り出した。
「おい!」
呼び止めるが止まることはなかったり
身体を起こすと目の前には海が広がっていた。
「生きている…」
ユウトは水平線を眺めた。
生きている実感が湧いてこなかったのだ。
周りを見渡すと山や森林が広がっており、ユウトにとっては初めて見るものばかりだった。
「良かった、気がついたようだな」
「ジン、みんな無事なのか?」
「シュウとサトミという操縦をしていた子はまだ気を失っている」
壊れた機体の入り口に腕を組み腰をかけていたジンに訊ねると口角をあげてユウトの質問に答えた。
「そっか、あれ?マサシは?」
「あー、あの者はぁ…」
「まさか、ヤバイのか!?」
「いやいや、一番元気だったぞ」
ジンが頭をかきながら答えた。
「ん?そっか、なら大丈夫だな」
「ユウト、本当に良かった」
戻ってきたリエが嬉しそうにユウトに駆け寄る。
「リエ、すごいな、 本当に別の世界ってあったんだな」
「ユウトが信じてくれてたから」
リエは微笑んだ。
奥からマサシが歩いてこちらに駆け寄ってきた。
「ユウトー!たく心配したんだぞー!このヤロー!」
「マサシ、良かった、無事だったんだな」
「当たり前だろ!お前が飲みについてきてくれるまでは死ねねぇつうの!」
マサシはいつも通りユウトの肩に腕を乗せ、楽しそうに話してきた。
「そっか、でもマサシ」
「お?」
「どうしたんだ?その顔」
誰かに顔を思い切り叩かれたかのようにパンパンに腫れ上がっていた。
「ああ!これはなぁ、ある怪物…いや機体にいる時に顔をぶつけまくったんだよ」
マサシはリエの殺気を感じ本当の事は言わなかった。
でも全員無事で良かった。
サトミとシュウも目を覚まし機体に集まり会議を行うことにした。
「みんな、とりあえずいきなりの出来事で情報が整理できていないわ、あの時あった事を全て話し合いましょう」
リエが言うと全員頷いた。
「ジンとシュウも特に」
「分かった、全て隠す事なく話そう」
「命の恩人だからね、当たり前だよ」
ジンとシュウも納得していた。
「ユウトの人口呼吸の件もか?」
「マサシあんた!ホンマにしばくわよ!」
「?」
マサシの言葉にリエは顔を赤くして怒った。
ユウト、シュウ、サトミは何のことか理解していなかった。
「よし、まずは俺たちから話そう」
ジンが話し出し、全員ジンに耳を傾けた。
「俺たちはある科学組織のキメラと神と契約した人間だ」
「は??」
ここから自分たちの各世界で起きていた出来事を知る事となる。
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