第二話
毎日更新!(5話まで)
さぁさぁ見てらっしゃいよってらっしゃい!
『主人公視点』
いやー本能に任せてみたらびっくり、なんとあの青年さんを食べちゃいましたよ。
罪悪感があるかと言われたら無いんですよね。
これも多分バケモノに転生したせいでしょう。
だって、自分を殺そうとしてたんだから殺されても文句は言えないよね。
以上。
そして、自分はなんとニンゲンに変身しました。
これ、どうやら{改造模倣}という能力らしくて
食べたものを改造して実体化できるというチートらしいです。
その能力を使い、屈強な肉体に変身して落ちていたガスマスクをつけました。
「うん、これであの煙を防げるかな?」
しばらくすると、煙が収まってきて視界が晴れてきた。
そして、落ちていた服を纏いポケットにあった鍵を取り出しこの部屋から抜け出した。
そして、現在に至る。
「さて、それじゃあ交渉しようか。」
自分はなるべく、人を殺す気はないとさりげなくアピールする。
「な、何が目的だ、、!」
1人の研究者が訪ねてきた。
「決まってますよ。」
自分は再び人の姿を取り戻し、こう答えた。
「自分に自由を与えること。
そして、安全を保証すること。」
「、、、、、それは受け入れられない。」
おっと?
「どうしてです?」
「君を開発した理由は戦争で活躍してもらうためだ。
活躍してもらわなくてはこれまでに死んでいった犠牲者たちが
哀れすぎるだろう。」
なるほど、、、。
「で?それが自分に何か関係があるんですか?」
「何?」
全くわかってないじゃないかこの人。
「あのですねー勝手に作られたのはこっちで、今君たちがどうなろうが知ったこっちゃないんですよ。」
「、、、」
「確かに、君が言う事も間違いない。」
と、口を挟んできたものがいた。
「バカール公爵様!」
「公爵?」
公爵ってのは確か、、、
「ユラア帝国のバカール・スレキタンである。
一応公爵という立場にあり、軍事の全権を皇帝陛下から任してもらっている。」
「、、、へー。」
「今、君が言ったことにも道理はある。しかし、君は今出て行ってこれからどうするのかね?」
「そりゃ、働いてのんびり暮らして」
「ユラア帝国では個人の出生を証明するものがないと職にはつけんぞ。」
「、、、なら他の国に行って」
「無論他のほとんどの国も同様だ。」
「、、、、獣でも狩って自足自給で」
「この世界は全てが戦地だ。たとえ森だろうが砂漠だろうがな。」
あ、詰んだ。
「そこで提案がある。」
「、、、聞くだけ聞く。」
「お主、私の子にならんか?」
「それは、、、養子にするってことですか?」
「その通りだ、
それならば出生も保証され、この国で泣くに過ごせるぞ。」
「、、、あんたが望む条件は?」
こんな自分にばかり都合のいい提案は何か企んでないとしないだろう。
「うむ、多くは求めん。
ただ、この国が滅びそうになった時力を貸してほしい。」
「、、、、、」
自分は悩んだすえに結論を出した。
「分かりました。
お世話になるとします。」
「うむ、こちらこそよろしく頼む。」
こうして自分はバカール公爵のもとでお世話になることになった。
『バカール公爵視点』
「よろしかったのですか?」
研究者の1人が不安そうに尋ねて来た。
「うむ、現段階ではこうするのが1番の得策であった。」
このまま何もせず、野垂れ死ぬのを放っておくという選択肢もあっただろう。
しかし私は何かしらの偶然が起こり、他の国に属されるという最悪の事態を想定し、
この国にとどめた。
「私も、魔術師の端くれだ。
ひと目見ただけで相手の力量が分かる程度の力はある。」
バカール公爵は謙遜していうが、決して弱くなどは無い。
むしろこの国で上から数えたほうが早い実力を持つ魔術師である。
「それを踏まえてだが、、、」
「ゴクリ、、、」
「あいつの力量がわからなかった。」
「は?」
「うむ、、、こんなことは初めてだ。」
「え、、、弱すぎて力量も測れなかったとかでは、、、?」
「いや、弱い奴でも最低限のオーラは感じることができるのだ。
しかし、奴は、、、、、魔力量が多すぎてどの程度の力を持っているのか
わからん。」
「そ、そんな、、、。」
研究者は改めて自分たちはバケモノを作ったのだと認識した。
それがこちらに牙を剥いて来ない事それを祈るしかなかった。