アパート
毎日深夜未明になると、ベランダの窓を開けては閉めるを繰り返すゴミブス女が
いた。
思い切り窓を閉めることで、隣人に迷惑をかけていることに喜びを見出している
クズであった。ベランダには大量のペットボトルが捨てられており、ゴミブスが常
軌を逸していることが見て取れた。
何年も、何十年もゴミブスはその行為を繰り返した。
隣人が変わっても、繰り返し続けた。
ある日、ゴミブスのベランダのペットボトルが突然発火した。原因は不明だ。
アパートの住人達は、発火した時間帯は全員いなかった。外から放火された形跡
もなく、謎であった。
結局、居づらくなったゴミブスは何処かへと姿を消した。
しばらくして、アパート1階の共用部分の壁に、ラミネート加工された紙が貼ら
れていた。
紙には以下の詩が書かれていた。
隣人 いね 隣人 いね
壁を一発殴るたび お前の頭蓋よ砕け散れ
窓を強く閉めるたび お前の骨よ砕け散れ
隣人 いね 隣人 いね
窓を強く閉める ゴミブス
ベランダには 大量のペットボトルが山積み
ゴミブスが ペットボトルを見つめてた
人生に悲観していった
誰かが思いきりドアを閉める
ゴミクズがキレて喚く
郵便受けを閉めたら爺が大声でうるさいと叫んだ
朝 ゴミクズが もうええわ と叫んだ
管理会社が何度紙をはがしても、その紙は貼られ続けた。
防犯カメラを設置すると、カメラの死角の天井に貼られ続けた。
引越希望の人が内見に来ると、紙は目に見える場所に必ず、落ちていた。
当然、入居は拒否された。
そのせいか、アパートに新しい入居者は現れなくなった。
今までの住人もいなくなった。
まるで、アパートがもう誰にも住んで欲しくないかのようだった。