表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天眼の宝飾師  作者: 広大
第一章 過去 第一部 家族
6/25

魔力と魔石と天眼石

「さて天眼石の話をする前に婿殿、御婆おばば様と同じように椅子など全て舞台中央に用意して貰いたい。」


「はぁ?何で俺ばっかり!」とは思ったが口に出す事も無く渋々動き出すアダマンソル、さすがに上下関係をしっかり理解している、アーレスへの準備が終わり文句を言いながら御婆の分の茶と菓子まで追加しに舞台袖に向かったのはご愛敬。


「では御婆様から話を引き継ごうか、では初めにヒト種から発現した『魔』について話そう、今現在この世界に有る魔力の大半がどうして出来たのかそれが何と云われているのか。」


『自分達の領土を勝手に広げ、やがて龍の生息域まで手を出し龍の逆鱗に触れた、怒りに任せ暴れ回った龍がヒト種全てが許せぬと命と共に肉体すら残さぬと殺し尽くした後魔力に変えられた。』


「と、かなり間違いが多いのだがヒト種の伝承ではそのように語り継がれている。未だに『魔』が増え続けているんだが、自分達の『思念』が『力』として取り出せるなどと誰が思いつくものか、この世には命持つ者とそうでない者に分類される、まぁ命を持つ者とは『死』という命の終焉を運命付けられた者達ではあるが意志を持たぬ植物などはその範疇に非ず、何故なら体内に『心の臓』を持たぬから魔の発現はあり得ない、獣達も同じで『本能』が強くて『思念』が薄いし、他種族もそれ程多くの『魔』を放出していない、元来思念とは思いの力であり強欲なヒト種からの『魔』の放出が他の追随を許さぬという状況は成るべくして成ったものだと言える、それに思念と言っても『善』と『悪』に分類され悪意の無い思念は純粋な力として持ち主元来の思念に合わせ返還される、悪意に染められた思念は『魔』として分類され思念の強さにより持ち主から引き剥がされ龍脈に送られる事は御婆様も言っていたわね、ここまでが神様方と龍神の決断による事象です、その後世界に魔力が満ちて数千年後には新たな事象が発現しはじめました、大きな変革は獣の進化です、龍脈の通り道付近では魔力濃度が濃くなる傾向にあり、そして魔力濃度が濃い場所には魔素も集まって来る事が確認されている、その環境で進化を繰り返した獣達は二種類の進化を遂げた、一つは魔素の影響を色濃く受けた獣達、これらは魔素を体内に取り込み自分の生命力と融合させて魔力に変換させる力を得て自己の心臓部を魔力で覆う事で心臓部周辺に『魔力層』として蓄積する事が出来るように進化し、肉体も魔力を循環させる事で強化され自分の魔力を外部に使う為に魔法を発現させ魔法を使うにはそれを理解する知性が関係し知能も飛躍的に上がり最終進化形態としてヒト種に似た『獣人族』となった。」


 アーレスは一気に語り深呼吸して御茶を口に含みゆっくり嚥下した、時間を掛けて同じ行動を二回、そしてまた深呼吸しゆっくり口を開く


「ふぅ・・・このまま一気に話すから聞き漏らしの無いようにね、獣の進化の二つ目こちらは魔力を色濃く浴びせられ続け進化した者達、まず獣人族と成った者達との違いは魔素を自分で完全に自分側に適応させた魔力で進化した獣人族とは全く違い最初から出来上がっている魔力で強制的に順応させられた者達はその魔力を心臓の下に魔力を溜めこむ『魔力袋』を発現させた、魔力袋は良く出来ていて魔力を圧縮して溜めて置けるように進化して行った、またそれと共に魔力循環をも覚え身体強化と共に魔力の影響で肉体が変化して強靭になり最終形態として『魔獣』になった、魔獣の強さは魔力袋の機能と直結し、魔力袋の大きさや圧縮力の高さに依存していて知能もそれなりに高いまぁあくまで獣寄りではあるが、なお魔力袋内の魔力は生前は流動的であるが死亡後は魔力袋事魔力が固まり『魔石』となる。」


 アーレスは少しだけ考え込んでから。


「ヒト種の悪行をあまり晒したくは無いのだが、ヒト種も獣人族発現後に自分達も魔法を使いたい一心で魔素を取り込む事を覚え、遺伝として徐々に進化し魔法が使える者、所謂『魔術師』と呼ばれる者達が現れた、ここまでならばまだ良かったのだが・・・欲に駆られた者達がこの魔術師と呼ばれた者達に肉体的実験を繰り返し、魔力袋を持ったヒト種を開発・・・後に『魔族』と呼ばれる者達である。」


「は?あの強くておっかねぇ魔族がヒト種?」


 真剣に聞いていたアダマンソルが素っ頓狂な声を上げる


「何を驚いている、ここに居る皆もヒト種の子孫ではないか、お前達が持つ膨大な魔力の方が魔族などより余程恐ろしいぞ、まぁ片方の先祖が私達天女では心根が『善』過ぎて争う事を嫌うからこそ『誰も寄り付かぬ最果てでひっそり穏やかに集落暮らし』が一番なのだろう。」


「あ、なるほど、違ぇ無ぇや。」


 アダマンソルの馬鹿々々しい反応に周囲の者達からドッと笑いが起こり、声が上がる。


「お前ちゃんと話聞いてたか?」


「話の中身理解してる?」


「お前が親父じゃアステリオがなぁー。」


 等々、それを見ていたアーレスや御婆も声を上げて笑い、アーレスが笑いながらアダマンソルに向かって話し出した。


「身を削って場の空気を和ます天才だな婿殿は、向こうで私の娘が真っ赤な顔で縮こまっているぞ。」


 最前列で聞いて居たアダマンソルが「ち、違う違う、違うんだー」等々声に出しながらウラディナの居る方へ大慌てで駆け出したのを見て、皆が揃って更に大声で笑い出した。


「本当に面白い婿殿でウラディナも楽しそうだしアステリオの開眼の儀も控えているので、そろそろ『天眼族の発現と宝石眼と力の意味』を皆に話して聞かせるわね。」


「私のように数々の天女が『愛』を求めて地上に降り、ヒト種でも我らが視えるほど『善性』で魔力の高い者と愛を育み子を産んだら『魔力袋が魔宝石袋に変化したヒト種=天眼族』になったの、そしてその魔宝石を活かすため魔力で外側の袋を消し去り魔宝石自体を一度心臓から全身に行き渡らせる事で活性化させるとゆっくりと魔石袋が有った場所に集まり宝石となる、そしてその宝石は属性を持ち『第六の感覚』『心の目=宝石眼』となるのよ、属性は袋を消し去る時の星の位置が係わっていて『星占術』で『星読み』を繰り返しその者に合う最善を読み解くのよ、まぁ今までと違いザックリとした説明で御免なさいね、さっきまでの話は、知っててもそれに対して介入出来る訳でも無く、影響力は皆無に等しいでしょう、天眼族の話は・・・こっちは知ってると不味い事が多過ぎて禁則事項に抵触するんだよね・・・それにもうじき儀式を行う時間になるわ。」


 そう言ってアーレスは全ての説明を終わらせたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ