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天眼の宝飾師  作者: 広大
第二部 天界の禁忌と更なる禁忌
16/25

女神の思い

 村からかなり離れた場所に飛んだので周囲はかなり静かであったが警戒は怠らない、全員茂みに隠れ身じろぎすらしない、ホメロが禁忌も何も無いなと思いながら龍体に念話を飛ばす。


『それでどうする予定なんだ?第一世代おいぼれ達は気にしなくて良いからな禁忌など無いと思って良いぞ。』


『瑠璃石の波動を辿り持って居る賊が女で一人になった時にその賊から一気に悪の思念を廃人になる寸前まで抜き取る、隠蔽に羽衣を使って居るので天女と入れ替わる、その際私の力で思念と共に賊の情報を抜き取り天女に強制記憶と体形を変形させる、また思念は世界樹を通して浄化して魔素を天女の力と合成し魔力とする予定ですが、世界樹がヒト種の攻撃で死滅寸前ですのでホメロ様に回復をお願いします、天女は後で戻せるようにするため少し時間がいる、それから今アンジュとかいう騎士団長が未だに魔術師から操る為の術波が送られているので、割り込んで抜き取った情報によると魔術師達はテントがバラバラだが騎士団は二つに分かれているようだ、巡回は魔術師に操られて警戒させられているようだ。』


 サスガだなといつの間にか頼りにしている龍体との念話にホメロは疑問を投げかける。


『ひとつ聞きたい、他の騎士団員も未だに操られて居るのか?だとすると入れ替わる魔術師が操っている者が自由になってしまうのでは?それと術者を廃人寸前まで思念を抜いては使用後の瑠璃石を何事も無かったように戻すのは困難では?』


『それが何故か彼女一人だけが術を掛けられたままなのです、何か良からぬ事でもしようとしてるのでしょう、それから入れ替わった天女には引き続き潜入して貰う予定です。』


『そうかなれば堂々と事を起こせるんだな、よし天女への説明及び準備を任せるぞ、我は世界樹の幼樹を回復させようその後はまぁ予備の燃料樽扱いでも良いぞそれくらいしか私に出来る事も無いだろうしな。』


 ホメロは笑い顔で念話を終え石の波動と世界樹の位置を探りながら結界術を少しづつ広げ始める。


『ホメロ様、天女の選出が終了しました、つきましては潜入する天女から願いが御座いましてこちらには居りませんがアステリア様から名付けを頂きたいとの事、彼女には奪う思念や情報を私が直接押し込みます、それで彼女は光の力を魔力に変化させます、でなければヒト種とごまかせ無くなる、魔力持ちは天界に戻れませんので彼女はこの地に降りる事になります、ここで名前が無いのでは色々と困る事になりますので。』


 ホメロは少し考えて『なれば自身でアステリアに頼め。』と返し、天女は頷いて念話を飛ばす。


『アステリア様にお願いが御座いますので少々宜しいでしょうか、私は今回の事件を起こした賊どもの中に潜入するため身の内に魔力を受け入れる事を覚悟致しました、つきましては天に戻る事は最早叶いませんのでこの地に降りるにあたり名前が必要になります、私への名付けをアステリア様にお願い申し上げたく思います。』


『名付け・・・そうなのね・・・御免なさいねなんて言ってはいけないのでしょうね、あなたが地上したに降りるのならあなたを生み出した私が名前を付けるのが当たり前よね、分かりましたあなたの名前はエクシアよ、エクシアが良いわ最初にあなたの名前を呼ぶのは私ね、ねぇエクシアあなたには、いえ皆には話しておかなければいけない事があるの少しだけ待ってて。』


 そう言ってから一旦念話を切りホメロに念話を送る。


『ホメロ様話は聞きました、私は今エクシアと名付けた天女そのこだけでなく自分が生み出した全ての側近に伝えなければならない事が御座います、私の全てを皆に話す事をお許し願えませんか?』


 ホメロは暫し黙考してからそうなるだろうと予想していたが為返事を送る。


『君を女神にしたのは私だ、あの時君が女神になる事と引き換えに望んだ約束を私は・・・何一つ・・・良いよ君の今迄と思い全て話して聞かせてあげなさい。』


『エクシア待たせて御免なさいね、そしてこれからの話を他の皆にも聞かせる事を許してね。』


 大丈夫だとエクシアから返事が来た。


『エクシア御免ねそして皆にも謝るわそしてこれから話す事を覚えて居て欲しいの、普通の女神達は創造神様が器と魂を新たに創るの、でも私は真っ新な女神では無いの、私の魂はホメロ様に天界へと救い上げて頂いた魂なのよ、女神に転生する前私はヒト種異世界では人間として生きた魂だったの・・・昔々遠い昔私はこことは違う異世界の中では一般的な家庭で母一人子一人所謂母子家庭、そして時々父親らしい人が来て皆で遊びに行く程度の慎ましやかな生活を送りながら育ったわ、父親らしき人は私が中学に入った頃から家には来なくなっていたのだけれど母とは時々逢っては居たようだった、母は必死に仕事をしてお金を作り私を十八歳になるまで学校に行かせてくれたわ、学校を卒業した私は母が苦労ながらに私を育ててくれた恩に報いる為に仕事を探し職に就いたの、そして私がお給金を貰う日に母と二人で食事処に行きチョッとだけ豪勢な食事をする事が倹しい暮らしの中の小さな喜びで幸せを感じる瞬間だったわ、私が給金を貰うようになってもうすぐ一年となった時私は事故にあう、走ってはいけない時に走って来た鉄の馬車に轢かれて大怪我を負い病院ちりょういんに運ばれた、私が気付いた時目の前には泣き顔で手を握る母と、握られている手の感覚が無い事に悲観したの、そんな時私の前に現れた人が笑顔でこう言ったわ。


「ちゃんと機能回復訓練をすれば動くようになりますよ。」と。


 それからの私は右側の手足の機能回復訓練に打ち込んだわ私の訓練を手伝ってくれる人から。


「今度の花見は一緒に歩いて見に行きましょうね、肩ぐらい貸しますから。」


 そう言われていたから、私は頑張ってその人と一緒に花見に歩いて行ったわ、その時には私はその人を好きになっていたのよだからこそ機能回復訓練を頑張れたのだと思うわ、そして退院したのすっかり歩けるようになり仕事にも復帰できたの、退院してからも訓練を手伝ってくれた人とは一緒に遊びに行ったり食事をしたりして楽しく過ごして二度目の花見の時にその人は。


「来年の花見が出来るように成る頃、僕と結婚してくれませんか?」


 そう言って指輪をくれたの、その後暫くしてからの検診で私の内臓の一部が病気だという事が分かったのよ|(まさかこの世界で輸血やC型肝炎とか肝硬変とか言えないしね)こっちの世界と違って魔術や魔法が無い世界では人の手による手術が主流なの、それで病気の発覚と共に二度目の入院で私は深い悲しみに支配され見舞いに来たあの人にこう言ったの。


「私の病気はそう簡単に治るものではありません、ですからあなたとの結婚は無理のようです。」


 涙を見せぬように笑顔で言った私にあの人の返事は忘れ得ぬものだった。


「ねぇ君はこんな言葉を知っていますか?『夢見草』と『儚くも夢のように美しく愛おしい』僕にとっての夢見草はあなたなんです、愛していますよ・・・初めて一緒に花見に行った時を思い出してください、努力は報われたじゃないですか、君と行った二度目の花見もとても夢のようで幸せだった、僕にとっての花は君なんです、だから『徒名草』になどさせませんよ、先生説明をお願いします。」


 突然目まぐるしく変わる状況に言葉を失って居る私の側に主治医の先生がやって来て。


「彼からの願いで手術をしたいと思います、あなたなら絶対受けてくれると彼が言うものでね、臓器提供者を彼とした生体肝移植ないぞういしょくを行います、幸いあなたの体格に対し彼は中々の体型だから彼の負担はとても軽い、あなたにはこの手術に対しての承諾と受領印をお願いします。」


 手術を承諾してからの私は準備のために大忙しとなった、そして手術の日。


「元気になって退院できて落ち着いたら花が咲く頃に結婚しようね。」


 そう言ってくてたあの人の大きな愛に満たされながら私は眠りについたの・・・。』


 アステリアは空になったティーカップに水を注ぎ口にした、喉を潤してから続きを話し出す。


『その後私はホメロ様に魂を召喚され覚醒して、少し混乱したけれどホメロ様の言葉できちんと理解したわ、私は死んでしまったのだと・・・そして私は悲しみに満ちて来て沈み出した時にホメロ様がこう言ったの。


「私はホメロ悲しむのはおやめなさい初めて見たのですよ、とても幸せそうで嬉しそうに輝いていたあなたの魂を召喚した意味が無くなってしまう、全てを受け入れなさい肉体を離れ魂だけの存在になったあなたにはこれからの新たな生き方が選べるのですよ、まぁ私はあなたに新たに創った星の看視者である女神になって欲しいのですが強制はできません、私はあなたがどんな転生を望むのか興味がありますしね、さぁどんな転生を求めますか?」


 私は悲しむ事をも許さぬような言葉に思考が固まったわ『転生』?突然の選択肢ですもの、中には『女神』も選択できるとか意味が分からないので言葉に詰まってしまったの。


「むぅ説明を端折り過ぎたかな、あなたの魂に感じ入り過ぎて冷静では無かったな、私は転生神のホメロまずは選択肢の説明からか・・・大まかな選択肢としてはまず『女神』と『ヒト種』かな、女神は前世の記憶を持ったそのままで女神に転生してもらう、でないと転生神と時空神に無理を言ってこちらに召喚した意味が無くなってしまう、ヒト種はまぁあなたの方には人間と言った方が良いだろうこちらは前世の記憶は消してから転生させる、こちらは転生してからの運とか体力とか色々他の者より優遇される、ゆっくり考えて良いからまずはこの二択を選んで貰いたい。」


「女神でお願いします、この思い出全て残して頂けるなら女神が良い。」


 即答したわ、あの夢のような日々を愛に満たされた思い出を忘れるなんて選択は有り得なかったの。


「女神を選んでくれて有難うあなたを欲した事の説明をしよう、ここは私達神々が住まう場所『天界』と呼ばれる場所、ここには色んな神が住まうのだが皆が皆行う事には『絶対』があるんだ、私達神は『善』が絶対だから行いの中心は『善』それでは駄目なんだよ、先達は私達を創る時感情のふり幅を大きくしたがどうしても善が先に来るものだから、『ヒト種』あぁあなたには『人間』ですね、その人間の考えが分からないからあなたを召喚して女神にしようと思ったのです、あなたなら『善』に縛られない、それでいてとても幸福そうに輝く魂だった、あなたには女神である為の制約以外は自由にしてほしい納得頂けましたか、納得してもらえたようだね、では転生術を掛けさせて貰おう。」


 私は光に包まれ女神へと転生してその瞬間女神としての知識が頭の中に入り込んできたの、それに対して驚いて居るとホメロ様が話しはじめたの。


「さぁ女神となったあなたに名前を授けよう『アステリア』という名にしようあなたは今から『女神アステリア』だ、一人では何かと大変だろうしまずは側近かな、天使と天女を三人づつ創ろうか、それとアステリアが住まう家と側近達の仕事場と・・・。」


 ホメロ様が言葉にしながら次々と創り上げて行く中、私は一つだけ御願いをしてみたの。


「ホメロ様に御願いしたい事が、前世の私が暮らした星に『サクラ』という木が有ります、その木をホメロ様が造った私の家の前に植えて貰えませんか?もし出来るのなら二本御願いします、私にとってサクラは愛し合った人との思い出なんです。」


 その後ホメロ様は皆が知っている通り庭にサクラを植えてくれたわ、天界に植えられたサクラは満開の花を咲かせて散る事が無いけれど、地に植えられると一年のとても短い間だけ咲くのよ、その短い間咲く花を私と共に愛でる事が私の愛した人の一番の楽しみであり、幸せを感じる瞬間だったの、だから私は庭のサクラを見るたびに枯れる事の無い自分の中の『愛と幸せ』を噛み締めていたのよ、そんな私だから皆に他の女神と違い『愛』を教えてしまった、私の語る愛を求めて天女達の多くが地に降り天界とのえにしを切りヒト種と結婚して自分の寿命と引きかえに子を成した『天眼族』の発現に私は喜んだわ、だって私も元はヒト種前世では好きな人との間に子を成したかったの、私は思ったわ。

『私の娘達が私の代わりに愛を育みその愛の結晶が天眼族という優しくて強い輝ける種族を発現させたのだ』と。

 その後も私は側近の皆に愛を説きながら自分も愛に寄り添って星を見つめて来たの、そして天女達も愛を求めて次々と地に降りて行ったそして為天眼族は増え集落を作りしだいに村となって行ったわ、私も羽衣をローブ状に変形させて村の片隅に降りて彼らの幸せそうな姿を何度も見、その度に私は心が温かくなる思いを与えてくれる天女むすめ達と優しくなれる自分に幸せを感じていたわ、そんな時ヒト種の作った国々が小競り合いから戦争を起こし戦乱の時代にしてしまったの、ヒト種は野を焼き地を荒れさせ他の生き物を根絶やしにせんと追い立てるようにして戦火を広げる、この星を護る為に私も龍神も大忙しになったわ禁忌や制約に縛られながらも何とか星を護り続けたの、そして疲れ切った時あの村を思い出し隠れて見に行ったそしてそこで見た光景が私の心を抉ったわ。

『何これ、どうして?どういう事、龍神お願いここに来て全てを調べて。』

 私が降り立って見たのは朽ち果てた廃村だったの、私はすぐに上空に上がり彼らの石の波動を探したわそして村からかなり離れた森の中に反応が有ったのですぐに近くに飛んで様子を窺ったの、そこには天眼族が中心になって集落を作り昔見た光景と同じに優しい時間が流れていたわ、私の疲弊していた心が温かい思いで癒させたのよ、そこに龍神から念話が来た。


『アステリア様こちらの情報収集は殆ど終わりました、どうやらヒト種が村を襲撃したようです、後は天眼族の生き残りの確認だけなのですが・・・』


『それは大丈夫よこちらで確認が取れたわ。』


『いや、しかし・・・』


『良いのよ、こちらで見た限り何とか穏やかに過ごせる場所を見つけて安定した生活をしているの。』


 愚かな私がその自分の愚かさに気付きもしなかった初めての愚かな行為の発露、転生前の私の世界にも悪いヒト種は居たわ詐欺師や盗賊、何も悪い事をしていない民族を虐殺して土地を奪いながら自分が正義だと謳う簒奪者、自分が気に入らないからと戦争を惹き起こす利己主義者、そして強力な武力や火器まほうで敵地を焼け野原にする者達、ヒト種の悪意に曝された事の無かった私がその悪意など全てを知っているつもりだったわ、ホメロ様に『ヒト種の気持ちが分かる女神』として期待され元々ヒト種だった私だからとの自負という自惚れに気付きもしないで、それから天眼族は輪廻のようにヒト種に見つかるたび何度も襲われる事となったのよ、何十回も襲われて私も傍観者を止めて守るように襲われる度に次の隠里を手伝うようになっていったの、そして何故か襲われるのが二百年~二百十年間隔という周期がある事に気付いたわ、それが前回襲われた時なの、その事を龍神に聞いたら龍神は驚いた顔で言ったわ。


『全てを知っておいでで止めたのでは無かったのですか?』


『何?何を言っているの?全てってどういう事?』


『私は最初に村が襲われた時何があったのか全て調べ上げました、その事を報告しようとした時途中でアステリア様に止められたのですが、私はアステリア様も全てを知っていて私の話を止めたものとばかり思っていたのですが、それではあの時止めてしまった話の続きをお聞きください・・・

 初めて襲撃を受けた時の村の状況ですが食料自給率がどうしようもない程低下していました、それを解決したのが村に行商人が現れた事でした行商人とは食料や塩を持ち込み換わりに魔物から出た魔石や素材の物々交換を行いながら徐々に行商人が増え食料問題を改善できた事を感謝した、そんな時子が産まれ開眼の儀を執り行ったのですが初めて見た行商人が驚いて村民に色々聞いたようです、聞かれた村民も食料の窮地を救ってくれた行商人達が楽しそうに聞いてくれるので天眼族に纏わる話を事細かに話したようです。

 儀式を行ってから五十日が過ぎた頃賊による村への襲撃が起きました、実行犯の多くが村に来ていた行商人達だったのです彼らは天眼族の話を聞いて宝石眼を狙ったのです、その後生き延びた天眼族を探した時反応が二か所に分かれていて片方がアステリア様も発見なされた方です、そしてもう片方の者の記憶を私が覗き全てを知りましたアステリア様が見つけなかった方はヒト種に捕まった者達でした。

 私はそこに自分の分身を潜り込ませヒト種の行いを見てきました、行商人達は天眼族の情報をその当時あった一つの国に売ったのです、まずは宝石の分析から始まり捕らえた天眼族の者を実験そして解体・・・

 早い段階で宝石同士が引き合う事を知り天眼族の居場所など簡単に見つけ出し密偵に密命を与えて放ちました、捕らえられた方は研究が進み星の力を浴びせなければ石の力の回復が出来ず逃げられる事が無いと解りかなり深い地下牢に入れました。

 そして捕らえた国は他国へ自国の姫などを嫁に出す時など天眼族の情報も流し友好を結び五つの国が順番に狩る事を決めました。』


 意味が分からない私は話の途中で龍神に聞いたの『もう少し分かりやすく説明して御願い。』そう頼んだのよ。


『家畜ですよ、石を取る為のね・・・五つの国が持ち回りで狩りをするという約定を交わし子々孫々続けるとして同じような地下牢を造り天眼族に子を産ませるんです、天眼族の女性は子のために力を分け与えます、普通力の回復は星との道を開き星から力を貰うのですが地下牢では星の力を貰えませんので自分の生命力で補いますので寿命が発生します、凡そ千年前後で力が弱くなり過ぎて石を持たない子が産まれるようになるので母体補充の為に狩りをします、なので二百年~二百十年間隔という周期になります、また開眼の儀を行いませんので石を固める為子供は殺されます、また捕らえられなかった天眼族に送られた密偵は天女を言い包めて子を産ませるのが仕事でした。』


 龍神の話は私の心を凍らせヒト種の悪意と業に言葉を失ったわ、私は天女に愛を語りながら子を産ませる為の生贄を送り出していたのよ、私は気が狂いそうになりながら叫ぶようにホメロ様に連絡して相談、その後彼らを護る為に場所を探してヒト種を龍神に締め出して貰い天眼族と天女だけを転移させホメロ様に頼んで世界樹を植えて貰い龍神によって世界樹から広範囲に天眼族の石の波動を止める為の結界を張って貰ったのよ、そのおかげで長らくヒト種も襲撃も無かったそしてその間に捕らえられていた天眼族は絶滅して利用していた国々も無くなったのよ、もうヒト種に襲われる事は無いと思って居た私が浅墓だったのね。

 皆には本当に苦労を掛ける事になるわね、もう自分が愛だ友愛だと説き続ける事はしない、そんな思いと共に育てられた彼女らは私が元々ヒト種だった残滓を賊に感じてしまい戦う事をしなかったようですし、女神としては全てを明かして居ればもっと違った未来がと思ってはいけないのでしょうけど、ヒト主の悪意に底がない事はようく解ったのアステリオには優しく強く育って欲しいの、勇者のように伝説的に、英雄のように人々から畏敬される・・・とまでは言わないけれど小さな不幸でも見つけたなら救い上げるような優しさと、大いなる理不尽には揺るぎない意志で戦う勇猛さを持った天眼族に育って欲しいのよ、この子の将来は皆の努力に掛かってしまう私の傲慢さを許して欲しいの、エクシアも御免なさいねそして頑張ってね、こんな話を聞かされて皆には済まなさで一杯なのよ私は禁忌を犯したし看視役は降ろされるでしょうから、最後の我儘だから愚かな私を許して欲しい・・・付いて来てくれて有難うそして御免なさいね、エクシア吉報をアステリオと共に待っています。』


 そうしてアステリアは念話を一方的に切ったのだった。

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