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第二章 湖の精霊

こんちゃー^^執筆者のあたっちめんとっ!です。

通常の更新の速度より遅くなってしまいましたが、もう一作の執筆開始によって少々投稿が遅くなってしまいました。これからもがんばっていきますので、「幸せを奏でるバイオリニスト」「剣聖と呼ばれたBladeworker」ともに応援をよろしくお願いします。

フォンとシャロンはラス山の山中をゆっくりと歩いていた。

昨日は盗賊団を辺境の警備隊に引き渡し、とりあえずその小屋を宿がわりにして眠ったのだ。

引き渡した23人の盗賊は、お尋ね者として懸賞金が賭けられていた。

俺達は、懸賞金であった金貨25枚を受け取ったうえに、辺境の警備隊に許可を得て小屋で泊まる事も出来るのだ。

旅をしていてもこんなについている日はなかなか珍しい、とフォンは精霊に感謝しつつ、その日はそこで眠ったのであった。


ラス山はフラグド山脈の一つで、緩やかな山である。

フォンが何故この山脈を抜けようと考えたのかというと、山の周りは深い森で囲まれていたのだった。

なので、山を避けるには森をも避けなければならない。

山と森を避けてそちら側から大きく回り道をすれば、最低でもラス村から街まで10日はゆうにかかるだろう。

フォンは決して旅を急いでいるわけではないのだが、回り道をすれば村をも避けることになってしまい、旅の楽しみを減らすことになるため、ゆったりとした気分で山脈を抜けるのだった。


この山とその先の森を越えると、このフラグド山脈で唯一、鉱物資源を有するロッテ山が姿をあらわすだろう。

森を抜け、ロッテ山まで行くと、次のロッテ村まではそう遠くないはずだ。


「あの〜、フォンさん・・・?」とおそるおそるシャロンが問い掛ける。

「さんは、いらないよ。フォンでいい。」とフォンが答えた。

「では・・・フォン。ロッテ村につくころには、もう夕方になるでしょうか・・・」

「う〜ん・・・どうだろう、夕方でも宿が取れればそれでいいんだけどね。」

「そうですか・・・。そういえば・・・・。」

「うん?なんだい?」

「フォンさんは演奏で魔法を使っていましたけど・・・。私の踊りでも、そのようなことはできるのでしょうか?」

「多分できるんじゃないかな?俺のバイオリンも、"精霊神曲"という種類の曲で魔法を奏でてるんだけど、たぶん神曲を踊るということで魔法が使えるんじゃないかな。」

フォンはそういうと、荷物入れの中から楽譜を多数取り出して、シャロンに手渡した。

「これは・・・でも、昨日は楽譜を見ていらっしゃいませんでしたよね。」シャロンは不思議がった。

「もちろんその中の大抵の曲は、覚えているよ。いつでも、楽しんで引けるようにね。」

と楽譜をシャロンから受け取って、荷物入れの中に戻した。

「でも、あれだけの譜面を・・・。」シャロンはやはり不思議そうに訪ねた。

「興味があることは、すぐに覚えてしまうものだよ。」とフォンは言った。

「大きな街に出るのは多分ロッテ村の次くらいだから、街の魔法使いに踊り子の奏でる魔法について聞いてみよう。」フォンは微笑んでシャロンに言った。


フォンとシャロンは、森の入り口についた。

フラグド山脈の森は、そこを行き交う商人たちが普段使う道があるため迷うことはないだろうと、二人は森に足を踏み入れた。


フラグド山脈の森には、人工的に掘られたものではない、自然の湖があるという。

フォンは、その近くで野宿をする予定であった。

しかし、フォンはこの森にどんな動物がいるのか、食料になるものはあるのか、ということもあまり知らなかったうえに、そのような知識は持ち合わせていなかった。

しかし、シャロンはというと・・・。

「これは、レビンの実ですね。これは食べることができます。栄養価が高くて、とても甘いんですよ。あっ、こっちはクリルの実です。これは葉の方は食べられますが、実を食べると痺れて二時間は痺れが解けませんよ。」と、かなり木の実や山菜に詳しいようだ。

フォンはそれを活かし、集めた木の実や山菜と、ラス村で調達した干し肉、卵などを使って今夜の食事を作ることにした。

しかし、それではフォンもメンツが立たない。旅人経験の少ないシャロンに食料調達を任せてしまっては旅人であるフォンも満足できないだろう。

「へぇ・・・詳しいんだね。山菜とか。」

「いえ、私も村人でしたから、山に入って木の実や山菜を採ったりしていたんです。」

「ふぅん。じゃ、俺は湖に着いたら魚を調達するとしようかな。」

「ふふっ・・・期待していますよ。がんばって下さい。」とシャロンが微笑んだ。


夕暮れ時、フォンとシャロンは川の近くまで進んだ。

「では、この先の湖で今日は野宿にしよう。」とすぐそこに見える湖の方を指差した。

「分かりました、では私は薪になる枯れ木を探してきますね。」シャロンはそういうと、森の中へ進んでいった。

フォンは、昼間の汚名を返上すべく多くの魚を釣るぞ、と意気込んでかかった。

フォンは釣竿を取り出し、糸を川面に垂らした。その時シャロンは、薪に使う木の枝を集めていた。フォンはゆっくりと魚が当たるのを待った。それは、森の中の夕暮れの出来事である。


「これは・・・・・・?」フォンは、何かに気付いたようだ。

シャロンは、まだ薪を集めに森の中を散策していた。

釣り竿を岩に引っ掛け、フォンは湖がある方向を見つめた。

水面が、揺れている。それも魚が跳ねた後のような波紋ではなく、小刻みに震えているようだ。

不思議に思い、フォンは湖の方向へ近づいていった。


その頃、シャロンは森の中で薪を拾っていたわけだが・・・・

どういうわけか、道に迷ってしまっていた。

いや・・・正確に言えば、道に迷ったのではなくもとの場所に戻れないままでいた。

フォンとシャロンが野宿をするために選んだ湖の近くには、薪になる枯れた木の枝が落ちていなかったため、シャロンは遠くまで拾いに言ったのである。

シャロンも方向音痴な訳ではない。もとの場所に戻るために同じ方向にしか歩かず、道に足跡をつけて歩いていたため、戻ることは容易なはずだった。しかし、彼女は森の中を迷ってしまっている。

シャロンは、森の中で右往左往していた。

「この道に来るのは・・・4回目ね・・・、おかしい・・・。」と不思議がりながら、道に枯れ木を刺した。そこには4本の枯れ木が刺さっていた。


一方、フォンは湖の方まで来ていた。すると、湖の奥底が蒼く光っている。

「まさか・・・・!?湖の精霊か!」フォンは悟り、シャロンが心配になった。

「シャロンが、遠くまで薪を拾いに行ってなければいいが・・・。」


そして、時が過ぎ・・・。夕暮れから夜になった。

しだいにあたりが暗くなり始める。フォンの不安は的中した。

フォンは、バイオリンの取り出した。そして、彼は不思議な音色を奏で始めた。

その音色は、小刻みに震える水面に合わせてリズムを取っていた。

その音色はまるでオルゴールのような規則的なリズムであった。

妖精の妖しい部分を表すかのような・・・。


すると、湖の底から光の正体が浮かび上がって来た。

その蒼き光の正体は、湖の水面から上がって来た湖の精霊だった。

「ヌシか?呼び声を奏でたのは・・・。ふむ、まだ若いな。その若さで"呼び声"を奏でられるとは・・・なかなかのやり手じゃな。」精霊は言った。

「やはり精霊が住む湖だったのか・・・。」フォンは確信したように頷く。

「呼び声に応じて来てみたが、この湖の周りには人払いの結界を張っていたはずだったのだが、どうして入って来ることができたのだ?」精霊はフォンに訊ねた。

「やはり、結界を張っていたか。ということは、シャロンは一人では戻って来られない。」フォンは言った後こう答えた。

「答えても良いが、私の連れがこの結界の罠にかかったようなので、助けてくれないか?」

精霊は深く悩んだ末、答えた。

「ふむ・・・なかなかのキレ者のようだの。よかろう、ヌシの連れの者をここに導こうかの・・・。」

精霊は呪文を唱え始めた。すると蒼い光が、フォンの隣に魔法陣が生成された。


フォンの隣に描かれた魔方陣は、"召還"のモノだったらしい。

シャロンが、その魔方陣の中から現れたのだ。

「湖に戻るにはどっちに行けばいいんでしょう・・・。あれ?ここは一体・・・?」シャロンは、何が起こったのか分かっていない様だ。

「さて、質問じゃ。どうして、ここへ来ることが出来たのかの?」精霊はフォンに再度訊ねた。

「これのおかげさ。」フォンはそういうと、自分のつけていた指輪を精霊に見せた。

フォンが見せた指輪は、宝石が埋め込まれていて豪華なものであった。だが、そこまで特異なものでも無いように見える。

「この指輪は、大精霊の加護が宿った指輪だ。まさにこの世に数少ない大変貴重な宝具だよ。」

そう言ってフォンは指輪を精霊に手渡した。すると、埋め込まれている宝石が蒼く光り始めた。

「精霊玉という高密度の玉から創られた宝石は持ち主を選ぶが、持ち主を守るというので有名だ。そこで"精霊の涙"とも呼ばれている。この石が結界から俺たちを守ったということだ。」

フォンは、精霊から指輪を戻してもらい、再び指に着けた。

「大精霊の加護に認められる者に出会えるとは、ワシはなかなかの果報者じゃな。」

精霊は笑いながら言う。

「大精霊の加護を受けている程の者を追い返すのも悪いからの。今夜だけはここに泊まることを許そう。」

フォンはゆっくりと礼を交わし、バイオリンを弾いた。


精霊をフォンの得意な楽曲で満足させたフォンは、再び一礼を交わし、寝床の準備を始めた。

シャロンは、彼女と一緒に召喚された薪を燃やして明かりを作った。

フォンは精霊と出会う前に引っ掛けた釣竿にかかった魚を、焼いていた。


出来上がった料理を食べた後、フォンは自分の寝袋と予備の寝袋を用意した。

シャロンは湖側、フォンは森の側に寝袋を配置して眠ったのである。

そうして彼らは、その日を終えたのであった。

毎話書いておりますが・・・誤植がありましたら、申し訳御座いません。

なにぶん学生なものですので・・・

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