許嫁なんていらない
『アキト ハ アイカワラズ オネボウサン ダネ』
アキト? 誰だそれは。
『ボク ハ イツマデモ キミ ヲ マモル ヨ』
……
目が覚めると俺はベッドの上に寝ていた。
『ナビゲーションシステムを起動します』
え、今まで起動してなかったってこと?
『はい、干渉を受けていたので起動することができませんでした』
干渉? 誰に?
『祝福 精霊龍の魂です』
もしかして未開放の祝福?
『はい、そうです、ボロスとの戦いの中、私は強制終了されました、今の今まで起動することすらできませんでした』
俺も記憶がないんだけど、生きてるってことは、勝ったって事だよな?
『ありえません、あのときマスターは原因不明の要因によりMP0LP0のイデアブレイクを起こしました』
イデアブレイクとはMP、LPを両方とも使い切った時に起きる現象で、思考することができなくなり、三日間昏睡状態になる。
精霊龍の魂にアクセスできないのか?
『私より上位の存在のためアクセスできません、詳細も不明です』
ナビさんが干渉できない存在か、まあ、どちらにしろ助けてくれたんだ感謝しよう。
あの時、俺は確実に死んだ。
それを、どうやってか知らないが覆した、ドラさんマジ感謝。
母さんの話によると、やっぱり、丸三日寝てたらしい。
そして、驚いたことにクリスティアは連合王国の108の王国の直系の貴族の子弟で、聖女で、俺のいとこでもあるらしい。
と言うか、父さんと母さんが元貴族とか言うのもビックリなんですけど。
父さんと母さんの実家はお互いライバル同士で犬猿の仲で、恋仲だった父と母は二人で家を抜け出した、当然追っ手を差し向けられたが、父さんはA級冒険者で母さんは聖女、二人は息ぴったりで追手のS級冒険者すら撃退したそうだ。
母さんの家は、代々聖女を排出する家で、母さんも回復魔法の使い手で聖女に選ばれたのだが、選ばれたら勇者と行動を共にしなければならず、当然夜の相手を無理やり、やらされたりもする。
当然そのようなことを許せるはずもない二人は出奔した。
なるほど、商家だと中流?とか思ってたんですけど、こうなると中流階級と言われればうなずけるわ、ウィリアス様疑ってごめんなさい。
父さんと母さんは、予定時刻になっても現れないクリスティアを向かえに出てたので、家に居なかったそうだ。
で、ここからが本題、クリスティアが家に来た理由はお婿さんを見に来たらしい。
はい、僕じゃありませんよ、次男のヴィルスが候補だったらしいです。
だけど、ヴィルスを断って俺と婚約したいとか言い出したらしい。
やっちまった……
なんで波風たてるのかなクリスティアさん。
そして俺は恐怖に震えた。
師匠忘れてた……
俺は、急いで釣竿をもって出かけた。
母さんが、止めようとしたが、行かせてくださいお母様、僕には、やらなきゃいけない、ことがあるんです。
と鬼気迫る表情で、言ったら行かせてくれた。
俺は釣りには行かずに、そのまま師匠の元へ向かった。
「師匠、すみません賊に襲われて、三日間意識不明になっていまして」
「ん。」
「それで今日からまた、一からお願いしたいのですが」
「ん。」
「師匠?」
「ん。」
「なんで無口キャラになってるんですか?」
「女子、三日会わねば寡黙してるし」
「いや、ちょっと、なに言ってるか分からないです」
「別に、三日間放置されて、怒ってる訳じゃないんだからね!」
師匠吸収早いな……
「まずはSE・I・ZA☆ミ」
俺は今までのことを全部話した。
でも、正座のままだった。
「師匠、普通に座らせてもらえないでしょうか?」
「あ"?」
師匠めちゃ怒ってるんですけど。
マップに敵属性って出てますけど……
あれ、そう言えば、師匠の戦闘力出てないけど、なんで?
『測れません』
え、どういうこと。
『9999までしか測れません』
つまり一万以上ってこと……
うん、ここは、DO・GE・ZAだね☆ミ
一生懸命土下座して謝ってなんんとか許してもらえた。
「しかし、あんたら男は、とりあえず謝ればいいと思ってるんだから、何がダメかも分からず、謝ってるしょ!」
「ヒッ、はい、すみません」
「て、言うか自分より強い敵なら逃げなさいよ、十歳前の子供が逃げたって誰もとがめないわよ」
「そこで逃げたら、カッコ悪いじゃないですか」
「たくっこれだから男は……」
そう言いつつも顔を赤らめてる。
気がする 、骸骨だから分からんけど
おれのハーレム一号は師匠だったんですね。
「で、今LVと槍術の熟練度いくつなんだい」
俺はステータスを見た……
「LV56 槍術089,9です」
「あんた基礎体力あげるまえにそんなにレベルあげたらもう体力強化できないだろ」
「え、なんでですか」
「本当バカ弟子なんだから」
そう言うと、側にある大岩を持ち上げて、俺に持つように指示した
「いや、さすがに師匠死んじゃいますよこんな大岩」
「私に殺されるのと大岩に殺されるのどっちが良い?」
「頑張ります」
そう言うと大岩を持ち上げた。
あれ、なんで持てるんだこんな大岩
「分かったかい」
あ、そうかこんな大岩楽に持てるようになったら、基礎体力あげるの大変になるわ
「あと槍術それ多分熟練度の壁まであげてるわ」
熟練度の壁とは行き詰まる、スランプ状態のことらしい、師匠も必ずLV9の技が撃てず行き詰まっていたそうなので、必ず通過する道らしい、あとは実践あるのみの段階だ。
「そんな状態だからお前にどんな称号つくか分からんぞ」
「そんなー」
「自業自得だ、まあ、槍の称号、一騎当千なら同じくらい使えるしな、もう、そっち行った方が良いんじゃないかな」
師匠は、草の上をごろごろ頃がって、ヤル気ないポーズをしている。
骸骨かわいい
「師匠……」
「まあ、良いけどね」
そう言うと立ち上がり、草を落とすと真剣な表情になった。
骸骨だから分からんけど。
「問題はその新祝福 精霊龍の魂だね」
「この世で精霊龍と名の付く存在は二匹しかいないウィリアス・ノアとウィリアス・ノヴァの光の精霊龍と闇の精霊龍だ」
つまり、この二匹の龍の加護を受けてる可能性が、あると言うことらしい。
「あんたが会った神はどっちの神だい、ノアかい、ノヴァかい?」
「いいえ、ただウィリアスとだけ言ってました」
「おかしいね、あいつら名前が似てるから、絶対にフルネームで自己主張するんだよ、それが、名前を言わないなんてこと無いんだけど」
このとき俺は師匠の出す殺意の波動に気付けなかった……