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女の子は助けるしかない

 夕飯はやっぱり俺の食事の量は多かった。

当然ヴィルスは俺をにらむ。

俺は居たたまれないので食事を書き込むとすぐに部屋に戻った。


 これ、本当に殴り合いしないとダメなのかな。

『それが一番最良だと思われます』


いや、ナビさん、なんでそんな暴力的なのよ、話し合いの提案とかないの?

『戦闘システムですから』


いや、そうだけどさ

『相手を見下している人間と言うのは、こちらの方が上だと分からせないと、いつまでもちょっかいかけてきます』


でも、それで恨まれても、嫌じゃんか。

『徹底的にやるんです、心を折るくらい』


怖いわ、ナビさん……

て言うか俺、強さ2なんだから勝てるわけないだろ。

『それなのですが、熟練度システムを元に新たに戦闘力を算出しましたところ現在の強さは槍装備時35無手10となりました』


はぁ! 強くなすすぎでしょ!

超理解力ハイパーアプリヘンションによる、槍術の底上げと基礎体力をあげる訓練に経験値倍増(ブースト)がかかって驚異のスピードで熟練度が上がりました』


だからって、殴れないだろ。

病弱な俺に、やさしくしてくれてたんだぜ。

『それは、自分より格下の者への優越感によるものです』


だとしても、優しくされてた事実は変わらないだろ。

『……』


強くなるって良いことばかりじゃないな。

『……』


なんか言ってくれよ。

『ヴィルスの強さは6です』


今、そんなこと聞いてないから。

『……』


俺は、考えながら眠ってしまった。




『警告 敵属性 LV1 ヴィルス』


 警告音に目を覚ました俺の目の前に

剣を持ったヴィルスがいた。

俺はとっさに宿業の因果剣(カースオブカルマ)を出した。

その剣でヴィルスの剣を叩き落とし切っ先を喉元に突きつける。


「ヴィルス兄さん、 これどう言うことだよ」


 切っ先を突きつけた姿勢のまま問いただす、足元に落ちてるのは木剣ではない刃引きしてない本物の剣だ。


ナビさんがいなきゃ死んでたな、ありがとうナビさん。

『いいえ、当然の事をしたまでです』


「お、お前こそ、なんなんだよ、その剣は……」


 とっさに胸から出した、剣にびびってる。

まあ、前の世界で胸から剣出すやつなんかいなし

当然この世界でも非常識なんだろうな。

『三人ほどいます』

今それどころじゃないですよね、ナビさん?


「ヴィルス兄さん、何でこんなことするんですか」

「おまえが! お前が!悪いんだろうが!」

「僕は、ただ食糧採集しただけじゃないですか」

「お前、この家狙ってるんだろう」

「え、なにいってるんです」


何言ってんだこの人は、こんな小さな商家、しかも三男で何で狙うって発想になるんだ。


「このお店を狙ってるんだろって言ってるんだ」


「ええと、兄さん、僕は冒険者になるつもりなので、この店に興味ないですよ」

「嘘だ!!」


 自由気ままな冒険者になるのが夢なのに、なんで商人なんかにならないといけないんだよ。


「十歳の誕生日に称号をもらったら出ていきますので、僕のことを嫌いでも構いませんので不干渉でいてくれませんか?」


ヴィルスは答えない、だが頭の中でどうするか迷っているようだ。


「出ていくまでは、兄弟仲よくしていたいんですよ、それが嫌なら僕の事は構わないでいてほしいんです」


かなり悩んでいるようだ、もう一押(ひとお)しかな。

「明日の夕飯にでも父さんに冒険者になる話をします、それで信じてもらえないでしょうか?」」


 ヴィルスは無言でうなずく、それを確認して武器を下ろすし宿業の因果剣(カースオブカルマ)を胸に納める。


「なんなんだよその剣」

「なんでしょうね? ああ、この剣の事は、内緒でお願いしますよ」

 俺にだって、わからないんだから説明のしようがない。


俺は、ヴィルスを部屋から追い出すと、ドアにつっかえ棒をして再びベットに入った。


 次の日、朝食でヴィルスは目も合わせない、どうやら無視する方向のようだ、残念だけどしょうがないか。


 朝食を食べ身支度を整えると釣竿をもって川へ向かう。


 昨日と同じように紐を木にくくりつけて釣りをした、次元倉庫ディメンションストレージは腐らないから、貯めとく分には問題ない。


 五匹ほどつったところ大物がかかった。

マップで詳細を見ると……

LV1 クリスティア・ブリジブク


人間だ!


詳細が出るってことはまだ生きてるのか。


俺は自動で巻き上げられる少女を川辺に引き上げるた、呼吸がない、人工呼吸だ。人工呼吸のやり方車の免許取得時に習ってる。


ひっひっふーひっひっふー


ってラマーズ法してどうすんだ!


落ち着け俺、口腔内になにも入ってないのを確認、顎を少しあげ鼻をつまみ口腔から空気をいれる。


 数回で水を吐いて蘇生した。

少女はゲホゲホ咳をしている。

俺がそばによると、慌てて逃げようとする。


「待ってその身体でどこ行くの」

その言葉で我にかえったのか、俺をじっと見てる。

「と、盗賊じゃないのよね?」

「違いますよ、こんな小さい盗賊いませんよ」

盗賊に襲われたのかよ、ここら辺ってそんなに物騒なの……

よく考えると子供盗賊とかいるかもしれんな。


 マップを広範囲に設定する。

いた2キロ先に三人敵属性だ。

「向こうから三人来ますね」

少女は一瞬ビクッとして身体をこわばらせた。

俺は釣竿をしまうと、少女の手を引いた。

「逃げましょう」

とりあえず、うちに逃げるか、師匠に怒られるなのでおんぶして家まで逃げた。


 敵属性はそのまま川を下っていったのでもう大丈夫だ。

良いところのお嬢様なのかな、結構良い衣服を着てる。


 とりあえず、父さんが帰ってくるまでここにいよう。

今日は、お店休みなのか珍しいな。


父さんが帰ってくるまでに彼女の素性を聞こうとしたのだが、話してくれない。

名前だけは教えてくれた、知ってるし!

むしろ家名も知ってるし!


困っているとマップに敵属性が三つ現れた、嘘だろ()いたはずなのに。

『多分、追跡持ちと思われます』


相手の強さは?

盗賊A:25、B:42、C:32です。

槍を持てばいけるか?

俺は奥の部屋に、立て掛けてある槍を持ち出した。

「なんで武器を?」

彼女が不思議がる。

「君を追いかけてきてる連中が、側まで来てる」

彼女はガタガタ震えだした、よっぽど怖い思いをしたのだろう。

「大丈夫、俺が守るから」

「無理よ死んじゃうよ……」

俺はサムズアップして外に出た。

目の前には180cm以上ある大男が3人いた。蛮族が3人いた。

小僧この家に小娘がいるだろうだしな。

インターフェイスに敵の技量や所持スキルが現れた。

そして動く部位が赤くなる。


なるほど、これがナビさんのナビか

俺は先手必勝とばかりに強さ25に向けて技を放った。

修技(しゅうぎ) 百舌鳥ノ速贄(オーメン)


槍を地面に突き刺すと盗賊A:25の足元から光の矛先が飛び出し串刺しになる。

「まずは、一人目」


まさかこんな子供が、スキルを使うとは思ってもいんかったんだろう、主導権はこちらにある。


続けざま、俺は槍を横に薙ぐ。

修技(しゅうぎ) 鎖蛇(サイドワインダー)


盗賊C:32の足を切り落としたが盗賊B:42には避けられた。


盗賊B:42の得物は槍で俺と同じだ。

槍術スキルはLV3だが俺より戦闘力が高いと言うことは身体能力で俺を上回ってると言うことだ、油断はできない。


だが、実戦経験の少なさかでた。


「危ない!」

クリスティアが叫ぶ

足を切り落とした盗賊C:32が投擲ナイフを投げてきた。

だがそのナイフは手前に刺さった。

何がしたかったんだ。


盗賊B:42が(ドチ)を撃ってきた、これなら避けるのも造作ない、しかし足が動かなかった、俺は(ドチ)をまともに食らってしまった。


「キャー」

倒れ、意識を失いそうになる俺の頭のなかに、クリスティアの叫び声だけが響き渡った。

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