ナビさんはナビしてくれない
晩御飯は豪勢だった。
魚のフライや塩焼きがおいしかった。
ただし、フライは良いんだけど、塩焼きでパンはきつかったな、まあ地球ではパン派だったから全然問題ないんだが。
「あのヴィクトルがこんなに大量の魚釣って来るとはな、釣り師の才能があるのかもしれないな」
父がフライをパクつきながら俺の頭を撫でる。
「最初ビックリしましたよあのヴィクトルが釣りにいくとか言うんですから」
母は給仕しながらにこやかに笑う。
どうやら父さんはこのブラックバスみたいな魚が大好物のようだ、見た目ブラックバスなのだが味が豚肉である、名前もブタバスである、というか肉質も豚肉である、なにこれ怖い……
ニジマスのようなものは本当にニジマスだった、アユとかもいるかもしれないな。
ところで、ナビさんお米ってあるの?
『地球産ほど美味しくありませんがお米ありますよ』
まじか!
『マジです』
どこにあるの?
『魔大陸の鬼族が支配するガシマ地方にあります』
ちょ、魔大陸ってなんだよ
『魔族が支配する大陸ですね』
ちょっと君とは一度ちゃんと話あった方が良いと思うんだ。
「ごちそうさまでした」
俺はそう言うと食器を流し台に置き自室に戻った。
後ろの方で父親がまた頼むぞって言ってる、俺は親指をグッと持ち上げサムズアップした。
父さんの癖を真似したのである。
父親は子供が自分の
真似をすると喜ぶのである。
部屋は小さいが一人一部屋なのでかなり贅沢なほうだ。
まずは、ナビさん
『はい、なんでしょう』
君、事後報告多すぎませんかね。
『ナビゲーションと言ってますが現在ナビ機能は機能してません』
どう言うこと?
『ナビゲーション機能は戦闘時に発動するシステムです、現在はQ&Aモードになっているので事後報告のような形になります』
ナビさん戦闘システムだったんか
『はい、そうです主に敵の分析対処法などをマスターの思考に直接にお教えします』
分かった、なら知ってることを全部教えてくれ。
『全部の情報ですと、時間の関係でマスターの寿命ではちょっと無理ですね』
なんでさ
『私の知識は神の記憶領域の記録でありその知識開示は時間にして無限です』
なんで無限なの
『神は過去の存在も未来の存在も同一体なので全ての知識は無限なのです』
ああ、なるほど理解した。
『申し訳ありません』
で、魔大陸ってなに
『まずはこちらをご覧ください』
そう言うとマップが球体になり世界地図になった。
その地図は三色で別れており緑、黄、赤で別れていた。
『分かりやすく色分けさせいただきました、緑が人族、赤が魔族、黄色が無法地帯になっております』
中立じゃなくて無法なんだ。
『魔族には人間を襲うという潜在的な本能があります、高等な魔族は本能に抗うことができますが大抵は人間を見ると理性を失います、ですから中立はあり得ません』
魔王とか勇者はいるの?
『はい、います、正確にはそれぞれの勇者がいます、人族、魔族双方とも勇者召喚をおこない異世界召喚により呼び出された異世界人を勇者として敵地に送り出します』
そいつらも地球人なの?
『はい、そうです』
とすると、魔族って見た目人間なの?
『見た目は人と変わらないものもいますが、獣人や爬虫人などもいます』
ん、じゃあ、魔族と魔物は別物なの?
『はい別物です、魔物は瘴気が石などに吸収されて受肉し瘴気を吸収した石は魔石へと変化します』
なるほど、そうなると魔王って国王的なもので、一人じゃないよな。
『はい108人います、それぞれ煩悩を司っています』
うあ、それは倒すのめんどくさいな、俺、勇者じゃなくて良かったわ。
つまり、この世界は人族と魔族で半々で支配してるわけか。
魔族は経験値になるの?
『なります、人間も経験値になります、1ポイントは10cm以上30cm未満の野生生物だけですね
それ以下だとポイントは入りません
それより大きい生物はその経験値に応じたポイントが手に入ります』
人間て経験値高いの?
『高いです』
「まじか」
『マジです』
『一部貴族では奴隷を養殖して経験値にしている人もいます』
合法なの?
『はい、奴隷には人権がありませんから、基本奴隷は魔族と人のハーフです、人間を奴隷にすることは禁じられています』
奴隷ハーレムか
『ちなみに、奴隷を性的に使用すると人間として格下に見られますのでご注意下さい』
まじか
『マジです』
俺ラノベ主人公並みの鈍感なのにハーレム作る自信なくなって来たわ
『この世界はカッコウ良さより強さが異性にモテる要因ですので強くなればモテモテですね、一夫多妻制ですしね』
一夫多妻か、お父さん頑張っちゃうぞ!
まだ、結婚もしてないし予定もないけどね。
さすがに今日は疲れたのか、急に眠気が襲ってきた。
今日はもうねるわおやすみ
『おやすみなさいマスター』
そして夜は更けていった……