表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/10

第2回〜異世界生活は甘くないと気付かされた件について〜

絶望しかない……。

異世界転生して開始15分。

俺は世界の理という強大な壁へとぶち当たり、既に心が折れそうになっていた。

というか、半分折れてます。


そんな絶望的な雰囲気を少しでも紛らわそうと俺は近くにあったベンチに腰掛け、悠々と街行く人々を眺めていた。


「……さて、これからどうしよう」


なぜ最強魔法が発動しなかったかというと、その答えは俺の手に握られている一冊の手帳が教えてくれた。

冒険者手帳。

俺が異世界に来て初めて入手したアイテムだ。

ちなみにさっき助けた? お嬢さんに、「い、一応助けて頂いたのでお礼にどうぞ」と言われながら頂いたものだ。

正直、泣きたくなってきた。


そんなことはさておき、この冒険者手帳には特殊な魔法がかけられているとかで所持する者のステータスを自動的に記載してくれる代物らしい。

そんなわけで俺も自分のステータスを表示してもらう。


名前:伊月ゆう

レベル:1

職業:なし

攻撃力:10

防御力:9

俊敏性:7

テクニック:9

運の良さ:8

最大魔力:小

習得スキル:20

習得魔法:20


これらの情報からわかる通り、きちんと俺は最強スキル・魔法をマスターしている。

だが、この世界ではスキルや魔法を完璧に扱うためにはテクニックや魔力が必要であり、その値が低いともちろん低レベルのものしか扱えない。


つまりなにが言いたいのかというと……。

現在の貧弱ステータスでは最強スキルや魔法を全く扱えないということだ⁉︎

それって宝の持ち腐れじゃねぇかよ!


くそっ、まさか俺の完璧なシナリオにこんな綻びが生じるなんて……。


「いや、待てよ逆に考えれば最初から最強魔法やスキルは習得しているわけなんだから……俺がレベルアップすれば最強になれるってことじゃないか⁉︎」


よしっ、こうなりゃやるしかない!

俺の目指す完璧なるファンタジーライフを目指して!

そうと決まれば一直線だ!

俺はすぐさまレベリングをするべく、街を飛び出した。

道中、錆びついて使えなくなった剣を譲り受け、モンスターが溢れるフィールドを駆ける。


その日以来、俺はモンスターの討伐に明け暮れた。


命辛々錆びついた剣を振り回し、必死にモンスターを討伐し、経験値を得る。

レベルという概念がある時点で経験値は得られるだろう、それを信じてひたすらモンスターと戦う。


幸いこの周辺には弱いモンスターしか出現しないらしく、錆びついた剣でもなんとか倒せる。


とにかく倒す!

片っ端から出現したモンスターを倒す!

そして、異世界転生から3日が経とうという日に、ついに俺は覚醒した!


『スキルを習得しました』


「おっしゃああぁぁぁぁぁぁっ⁉︎」


冒険者手帳に書き込まれる無機質な文字。

しかし、その文字を読むだけで俺は歓喜に震え上がった!

文字にここまで興奮を覚えたことはかつてなかっただろう。

あまりの嬉しさに飛び跳ねてしまう。

もちろんここ3日で上がるレベルなんてたかが知れており、習得したスキルも初歩的なものだが、それでもこれは俺の最強伝説の第一歩になる!

そう信じて、早速習得したスキルを確認する。


『習得できるスキル要領が超えているため、破棄するスキルを選んでください』


「んな馬鹿なあぁぁぁぁぁっ⁉︎」


人が一度に覚えられるものに限界があるように、スキルにも限界があるらしい。

つまり俺は初歩スキルを習得するために最強スキルを忘れなければならないらしい。


意味ないじゃん!

異世界転生、二度目の挫折を味わったのだった……。

現実そう甘くはない。

そう思い知らされた事態だった。

1回目同様、感想や評価などなどお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ