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第10回〜山賊退治は想像以上に大変な件について〜

人生2度目の馬車に揺られながらフォンベルグ王国から東へ進むこと約半日。

クエストの依頼主がいるというリーダス村へと到着する。


「おぉ、待っておったぞ。ワシが依頼主でありこの村の村長じゃ」


村人に依頼の件を話すと村長の家へと案内され、早速依頼の話を切り出された。


「依頼の内容は、東の山に拠点を構える山賊『シロアリ団』の撃退」


『シロアリ団』? 随分と間抜けな名前だな。

弱そう……。


「そして、この村の巫女の救出じゃ」


「ちょっ、ちょっと待って! なんか依頼の内容が増えてないか⁉︎」


「実は、クエストをギルドに申請したあとに山賊がまたワシらの村に押しかけてきて、村の巫女を攫っていったのじゃ」


「そんな、酷い」


若干顔色を青ざめ、本気で同情するリーエル。

箱入りのお姫様にはこういった誘拐という事件とは無縁なのだろう。

城の警備が強ければ尚更だ。


「無論、クエスト内容の追加に伴いそれなりの報酬は支払うつもりじゃ」


ほ、報酬増加だ、と⁉︎

そんな魅惑的な響きに誘われるように、俺はこっそりと村長に耳打ちする。


「ち、ちなみにその報酬とはどういったものですか?」


「それはもう、村の秘宝だけでなくワシのとっておきをやろう」


「おしっ、俺たちに任せろ! 絶対山賊から村の巫女さんを取り戻してやるぜ⁉︎」



そんなわけで早速装備を整え東の山へ。

街で貰った相棒は変態兄に破壊されてしまったため村で一番マシな剣を購入し、武器は確保した。


「本当にそのような剣で良かったのですか? 城の者に頼めばもっと良い品を用意させましたのに」


「いいの、いいの。問題は技術であって武器の精度じゃないんだから」


こっちには勇者の剣だってあるんだがら、山賊くらい楽勝に倒せるだろ。

さぁ、山賊どもよ出てこい!

さっさとこの依頼を完遂させて俺専用の最強装備を手に入れるんだから!


「ちょっと止まってもらおうかお二人さん」


いっている側から早速お出ましか。

『シロアリ団』のアジトへと続く道を歩いている途中、茂みの中から人が飛び出してきた。

さて、お相手はどんな山賊さんかな?


「俺は『シロアリ団』の先鋭を務めるバグズだぁ!」


登場したのは山賊がよく持つ刀身の曲がった刀を装備した中年男性。

声は勇ましく、ややズタボロな衣装を着た典型的なRPGの敵キャラそのままだ。


「おまえたち、ここが俺たちの縄張りだってわかっているのか? ここを通る者がどうなるか、この俺が教えてやるよ」


刀を構えてすぐさま臨戦態勢。

これは、本気のガチバトルになりそうな予感。


「わたくしたちはあなたたちが攫った巫女様を助けるために参りました。邪魔をするなら切り倒していきます」


スッ、と勇者の剣を抜くリーエル。

おぉ、カッコいい!


そういえばお姫様なリーエルだけど、どのくらい戦闘能力があるんだろうか?

ステータスは低いけど勇者の剣の力でそんなのはカバーできるはず。

あとは持ち前の実力次第だが……。


「参ります!」


威勢よく地面を蹴るリーエル。

そのまま山賊を正面から捉えると、一気に剣を振るった。

カキン、と金属同士がぶつかる音が静寂な森に響く。


「がくっ」


「って、よわっ⁉︎」


一撃を加えられただけで地に伏せるリーエル。

これは、もしかしなくても、雑魚勇者パターンなのか⁉︎

おいおいおい、俺もモンスターとは戦っていたけど人間とのチャンバラなんて未経験だぞ!

期待していた勇者が呆気なくやられてしまったため、あたふたする。


「おら、次はおまえの番だ」


こうなったらやるしかない!


「ふっ……俺は世界最強の男、伊月ゆう。こんな雑魚相手に負けるか!」


俺は剣を構えて突進する。

まぁ、結果は御察しの通り。

リーエルの申し出を素直に受け取っておけば良かったと後々後悔するのであった。

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