表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sと群像  作者: ぱすこ
16/18

Sと自供

「Sと群像」シリーズ #18

「芹沢が…………死んだ」

誠都はその刑事の言葉に驚いたように向き直った。

「自殺に見せかけた他殺かと思ったが、防犯カメラの映像で自殺と分かった。」

「どうして…………」

「現場は、…………山上公園。喉を裂いたのち、首を吊っている」

嘘だ。

それは、まるでーーー

「そうよ、誠都。」

振り返ると、そこにはいるはずもない彼女がいた。

「さ、三頭…………?」

「あの事件そっくりでしょ?」

「あぁ、よかった…………よかった!!俺、三頭が居なかったら…………!!」

「何を言ってるんだ?」

肩を叩かれ振り返ると、取調室の灰色の椅子に座った刑事がいた。

「い、いま…………」

「何にもなかったぞ、気のせいじゃないのか?」

「!ほ、ほら……後ろだよ!!」

三頭はナイフを目の前の刑事に振り下ろそうとしていた。

後ろ、と言われて刑事が振り返った瞬間、俺の腕はもう1人の刑事にがっしりと掴まれた。

「何をやってる!!」

「え……」

掴まれた右手には、刑事がメモするために机に置かれていたボールペンが握られていた。

「何で、俺が」

「何でも何もないだろう!!お前、…………これは殺人未遂だぞ!!」

「俺は、止めようとして、」

「待て、話を聞こう」

怒りに震えている片方をたしなめるように座っている刑事が言った。

「そこに、三頭が居て……ナイフを振り上げてて、何で、止めなかったんだよ、て、だから、言った、のに」

誠都は正気を失ったようにぽつ、ぽつと言葉を繋ごうとしたが、それは上手く伝わるわけもなく、2人は顔をしかめていた。

しばらくしてようやく落ち着くと、刑事は言った。それは全てを終わらせるにはあまりにも短い問いかけだった。


「境、お前は何を知ってるんだ」


「俺は…………俺は、何も知らなかったんだ…………今も、知らないんだ!俺は一番の当事者だっていうのに………………」

「…………」

刑事は黙って誠都の顔をじっと見た。

「三頭は生きてる……?」

「ああ、生きてるよ。傷は多いが、命に別状はない。骨折してるから歩けないが、治らないものではないらしい」

「そうか、…………そうか。」


「言うよ、俺は…………」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ