Sと信者
「Sと群像」シリーズ #12
「俺は通報なんてしてねえし!!第一、俺は……俺はこの女と付き合ってた事もねえ!!その通報は俺じゃねえんだよ!!」
机をばん、と叩く。2人の刑事は顔を見合わせて不可解そうにこちらを見た。
「でもねぇ、通報記録の番号も君の携帯、伝えられた住所にも君しかいないし、そもそも普通、死体と一緒にしばらくの間居られるはずがないんだよ。ここまで証拠が揃っていて、否認するっていうのもかなり馬鹿な話だよ?」
「だって俺は!!あの部屋にいろって言われただけで……!!」
「誰に?」
「…………俺の……」
誠都は言葉に詰まり、俯いた。
言っていいのだろうか。自分には、三頭の考えが分からない。それは俺の頭が悪いということに加えて、三頭が俺に彼女の考えを全てを明かしてくれないことが理由だった。そこで俺はふと嫌な考えがよぎった。
三頭は俺を信頼していなかったのか?
違うーー!!俺は三頭に愛されていた。それが今、何番目であったとしても俺を愛していたから罪を被ったのだ。
もしかすると、通報したのは三頭かもしれない。というより、その可能性が極めて高い。それなら理由があるはずだ。考えろ。思いつくまでは、喋るな、語るな。
「ねえ。その証言によっては、君の容疑が晴れることがなくはない。留まるように言ったのは君の……何?」
俺は刑事の目をじっと見た。実直そうで、誠実なのが滲み出ている目だった。息を吸い、そして言い放った。
「……俺の…………神だ。」