Rules
「お前も、そうなのか」
「あなたも分かってるみたい」
「何故私を殺す?」
「夜とあなたの為」
「意味が分からない」
「説明が必要?」
「一応聞いておく」
「夜には血がお似合いで、あなたは疲れてるから」
「理解出来ない」
「じゃあ別にいい。ところで」
「なんだ」
「あなたはどうして殺されるの?」
「何?」
「どうして、あなたは何度も殺されるの?」
「それはお前が――」
「違う」
「?」
「あなた、受け入れてる」
「――」
「一回目はいい。二回目もまだ分かる。でも、その後は気付いてたはず」
「……」
「抵抗も、回避も出来たはず。どうして?」
「……あなたは疲れてる」
「え?」
「……お前の言う通りだ。今納得した」
「良かった」
「夜に血が似合うはよく分からないが」
「忘れて。私の趣味だから」
「洒落た趣味だな」
「ありがと」
「嫌味だよ」
「それでも」
「どうやったら夜が終わる?」
「さあ」
「まだ私は殺され足りない?」
「私は殺し足りない」
「殺される辛さも知らないで」
「死ねば楽になる」
「死ねてない」
「ごめん」
「お前のせいでもないだろう」
「そうかな」
「知らないが」
「終わりたい?」
「出来る事なら」
「でも終われない」
「そうだな。困った事に」
「こんな夜も嫌いじゃないけど」
「……いや、待て」
「何?」
「終われるじゃないか」
「どうやって?」
「殺さなければいい」
「……ああ」
「私が殺されず、そのまま家に帰ればいい。そうすれば夜は終わり」
「夜が終わったら、朝が来ちゃう」
「また夜を待て」
「それに殺すの、我慢できないかも」
「明日殺せばいい」
「――え?」
「この夜じゃなくて、次の夜に」
「……」
「何かの縁だ。終わらせてくれ、次はちゃんと」
「疲れてるんだね。ほんとに」
「疲れきったよ」
「分かった」
「またここに来る。同じ時間に」
「明日が来るか、まだ分からないよ」
「明日が来たらでいい」
「痛くないようにする」
「助かるね」
「死ぬのに助かるは変」
「余計な揚げ足だ」
「間違ってはない」
「そろそろ帰っていいか?」
「うん」
「最後の一日。ゆっくりさせてもらうか」
「楽しんで。疲れすぎて見てらんないから」
「余計なお世話だ」