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一人。
一人。
夜に一人。
気のせいかと思った答え。
それはどうやら、正しいらしい。
私は繰り返している。この夜道を。
何度も何度も、歩いている。
時計の針は深夜二時。
何度も続けば体が覚える。
後ろに気配。妙な気配。
知っている。分かっている。
お前が誰か分かっている。
私はもう歩かない。足を止め、すぐに振り向く。
いた。
夜道の真ん中。黒が一人。
お前だ。やっぱりお前だ。
知っているよ。お前が何をするか。
何故お前がそこにいるか。
私はまた、お前に殺される。
理不尽な夜だ。
何故お前は私を殺す。
何故私はお前に殺される。
私は黒に近付く。
黒は動かない。
じっと。そのまま。
躊躇の無い歩幅。
黒が、目の前。
黒いフード。黒いスキニーパンツ。
夜になりたいのか。
夜が好きなのか。
だからそんなに黒いのか。
だがそれよりも。
私はお前に聞きたい。
私は口を開いた。
「夜が終わらないね」
口を開いたのは黒が先だった。