2kill
夜は好き。
静かで暗くて、儚くて。
終わりって感じがして。すごく好き。
好きなんだけど、なんだか違う。
なんだろ。
でもともかく。
この夜に血を。
綺麗だからね。似合うからね。
でも、なんだか今日は変だ。
暗い夜に、遠くに人影。
とぼとぼ、とぼとぼ。
重くゆったりした足取り。
どう生きてきたらあんなに疲れるの。
かわいそうで仕方がない。
いい。あの人がいい。
今日であなたの疲れは終わり。
ゆっくりしていいよ。
さ、さ、さ、さ、さ、さ。
私はあなたに近付く。
ふいにあなたは足を止める。
危ない。
さっと電柱の裏に。
あなたは振り向いた。
夜と同じぐらい暗い私が電柱の裏。
わかりっこない。
ほら、あなたは首をひねるだけ。
さ、さ、さ、さ、さ、さ。
一気に私は近付く。
けど急に、あなたはまた振り向いた。
ちょっとだけ、私は驚く。
でも構わず私はあなたのお腹を貫く。
ずぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ。
そして、ずぽっ。
おめでとう。これでもう終わり。
綺麗。綺麗だね。赤。
でも、そういえば。
あなたが振り向いた時。
私は何故か思った。
さっきは振り向かなった。
さっきって何?
分からない。
変なの。
でもいい。
夜が綺麗だから。
私は満たされたから。