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異世界で英雄目指します。  作者: サブマリン一世
第一章
8/12

08

 目を開けるとそこは・・・


「知らない空だ」

 壁に切り取られた、すごく青々とした空が目に映った。


 金色の稲穂が風に靡いてる。


 頭もなぜか幸せな心地・・・?


 ここは確か修練場で地面は踏み固められていた土だったはず。


「起きましたか?カナデさん」


 上の方から覗き込む様な姿勢で話しかけてくるアイリさん。


 少しずつ顔が近づいて来て・・・むっ胸があたっ・・・らなかった。


「っ!アイリさん・・・なんで俺はアイリさんの膝枕ので寝ているのですか?」


 慌てて脱出し、直立不動になる。


「アレイダがこの方が早く回復するると言っていたので・・・なにか間違っていましたか?」


 そう言いながら、ロングスカートの埃を払いながら立ち上がる。


(俺?まぁそういう一人称を使う娘もいますが・・・この娘、回復が早いわね。やはり大量の魔力を内包しているのね)


「やり方は間違ってないですが、やるタイミングを間違えてます。」


(どっちも間違えてないけど、こういうのは二人っきりのとk・・・元居(もとい) )


「でもこのタイミングがベストだと」


(って言うのは嘘、私が自分の意思でした事だもの。・・・彼女のステータスを読み取ろうしたけど、魔力以外はわからないわ。)


「その〜付き合っている男性がいる目の前でこんな、こっこっこ恋人みたいな真似」


(鶏か!俺は!!)


「付き合っている?誰と誰がですか?」


「アイリさんとアレイダさんが・・・」


 やべーぇ顔真っ赤だろうな・・・


「・・・はぁ〜心外ですね。アレイダとはここで働くまで一緒にパーティーを組んでいたので、他の人よりは仲が良いですが、あいつとは絶対にないです。断じて」


(アレイダはあれで結婚しているので、浮気はしないですよ。家庭内殺戮が起きます。)


「あっそうなんですか!てっきり・・・」


 一瞬アイリさんの眼光が鋭くなったので尻込みしてしまう。


「ええ、そういう事なので。話が逸れてしまいました。判定の結果が出たので測定室で説明いたします。よろしいですね?」


(あんなのに合わせてのとばっちりは勘弁願いたいです。)


「ああはい、わかりました。」


 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・


 (アイリ)はカナデちゃんが伸びている間にアレイダの方へ向う。


「どうでした?アレイダ」


「正直な方と意地悪な方どっちがいい〜?」


「では意地悪な方がからで、手短に」


「結局両方話すのか〜面倒だよ〜・・・あの若さであのスキルを駆使した戦闘はすごいけど、有る程度実戦に見に置いていた者なら勝てる程度だね。それで正直な方は・・・」


 一拍おいて


「化け物だね。」


 この顔は・・・冗談では無さそうだ。


「どう言う意味でですかアレイダ?」


「カナデには躊躇いが無かった。それに全身に魔術回路を開けているねあれは。魔術有りの戦闘なら・・・ゾッとするね。あれで冒険者じゃなかったんだからね。もしかしたら、直系かもしれない。」


(あの年で魔術回路を開放?ありえない!魔術が安全に使える歳は14〜15歳、回路を開ける修行だけしていても最低でも2年はかかる。それに加えてスキルを使っての戦闘、手抜きのアレイダとは言え、三合までうち合える実力・・・直系を旅に出せる程の自信。一体どこの家の麒麟児?)


「そうですか。アレイダがサボりすぎて弱くなっただけの話ですね。わかります。」


 アレイダの本音は聞けたので良しとする



 私は去り際に


「あとですね、つけの踏み倒しの事は局長知ってましたよ。」


「なっ!!」


 私はそう言ってあの娘の方へ向かった。


 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・


 測定室に入るなりアイリさんが拍手してきた。


「おめでとうございます。カナデさん。G級とF級をスキップしてE級の冒険者として認定されました。」


「あっ、ありがとうございます。それで、E級と言うのは?」


 ちょっとびっくりしたが、普通な受け答えが出来たと思う。


「E級からは討伐や狩猟と言った、魔獣や魔物も依頼に入ってきますので初心者を卒業したって所ですね。収入が素材や「魔核」にシフトしてきて、大きく上がりますね。個人で取引してもいいですが、「魔核」や素材の買取はギルドでも行っていますので是非お越しください。」


 そこでアイリさんが二種類のカードを持ってきた。


「それとステータスカードのタイプが「信用性が高い全記載タイプ」と「秘匿性が高い、任意記載タイプ」どちらにいたしますか?」


 信用が高いと社会的に有利だろうけど、秘匿性が高いって言うのはわからない。


「秘匿性が高いと何かメリットがあるのですか?」


「秘匿性が高いと、「人同士」で何かあった際にステータスの全てを見られてないのでその分優位です。ですが、依頼人が人選決めるタイプ・・・護衛などの依頼を向こうから拒否される可能性が高いです。やましい事があるかも知れないので。」


「人同士って・・・例えば?」


 どの世界でも人って変わらないな。少し安心してしまった。元居


「珍しいスキルを持っていても厄介を受けることがないです。あと、組織的盗賊の目標から外れるかも知れないです・・・どちらにしても、カード自体は任意で見せ無い様にも出来るので、行き着く先はどれだけ自分が「気を付ける」かにかかっています。」


「・・・師匠に聞いてきても?」


「はい、構いませんよ。師匠様が見えてるのですか?是非私もお会いになりたいです。よろしいですか?」


 少し嬉しそうだアイリさん


「多分大丈夫ですよ。団欒スペースにいるはずです。行きましょう、アイリさん」



 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・


「師匠〜登録の事で・・・」


「なんだ遅かった、な・・・」


「あっ!!!あなた様はS級冒険者四つ首執行人(スクエア・エクスキューショナー)のマスミ様!この街に訪れていたのですか!パレードが来ます。是非尽力お願いしたいです。」


「いや人違いd・・・」


「師匠の名前はなんというのですか?カナデさん?」


 ・・・


 すみません師匠。俺負けちゃいました。殺されちゃいます。


「師匠の名前はま、ますみです。アイリさん」


 アイリさん、笑顔が眩しいよ。


「はぁ〜、如何にも私が、ますみである。」


 あっ、師匠諦めた!


「その黒色のローブはミスリル銀糸と地底炎蛾の繭の糸を惜しみなく使った外套の最上級品。帝国を救った際の献上の品ですよね?髪は輝くような金髪、流し目が似合う切れ目にあどけなさを醸し出す八重歯。手に収まる程の美乳、・・・この条件に収まるのはあなたしかおりません。例え魔法で目の色を変えていても。」


((アイリさん(こやつ)、変態だ・・・))


「だが、その期待には答えられぬ。金髪碧眼で何か思い当たらぬか・・・」


(金髪碧眼?・・・あっ!!)


「っ!!失礼いたしました。「八」のマスミ様。では領軍の方で行かれるのですね。ご武運を・・・はっ!!カナデさんは八切家に連なる方ですか!!しつr・・・」


(道理で最近活動が聞こえてこ無い訳よ。あの、ますみ様が「八切」だなんて。でもあの強さの伝説は納得出来たわ。)



「いやカナデは違う。あの黒髪黒目本来の容姿だ。それと森で拾ってきた。」


「グワンナス樹海で?だからあの魔力量・・・」


「かもしれぬ。ともあれカナデの事、そして「私」のこと・・・頼みぞ。」


「かしこまりました。」


「それでカナデ、何か聞きたい事があるって来たのでは?」


「実は・・・」



 俺はステータスカードのタイプについて聞いた。


 師匠は思巡せ、考える様な顔をしながら


「ふむ。確か七護武家用の特殊カードがあったろ。あれを出してもらえ。「七」ではないがそれに準じているであろう「八」」


「ええ「八」でも発行された記録がありますので。」



「では、私の「本名」を出して構わない。近いうちに前線に出る私の「上の名前」もバレるであろうからな。アイリと言ったな?頼めるか?」


「承りました。それでは発行させていただきます。カナデさん行きましょう。」


「師匠失礼します。」


「うむ、終わったらまたここに来い。」


 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・


 さっきの喧騒が嘘のような「職員室」を横目に測定室に入る


「ではこちらが武家専用のステータスカードです。」


 青銅色の名刺サイズのカードを渡された。表には俺の名前「カナデ」のみが刻印されていた。

 後ろには「ブーフォマール支部 支部長 ファランド・ウリス が保証する」と刻印されている。


「このカードは、全ての項目が隠蔽可能です。設定は魔力を流しつつ「我の現し身、我が意を示せ」です。またこれは社会的に保証されている身分・・・「七家」に連なるものとして使えます。ですが、「七家」の厄介ごとは助けれない・・・助けないのでお気をつけください。」


「わかりました。」


「通常の者は紛失の際は100マグスいただきますが、そちらは特別製でして500マグスと証人が必要になります。」


「師匠じゃなきゃだめですか?」


「いえ、証人は「七家」の方なら誰でも構わないです。他に聞きたい事はありますか?」


「カードが特別製っと言うのは?」


「非常時に最寄りの支部と連絡できます。但し、必ず壊れます。非常時は無償で発行しますが、非常以外では500マグスいただきます。」


 無表情怖いです。アイリさん


「わかりました。ありがとうございます。」


 俺はアイリさんにお礼を言い、団欒スペースに向かった。


(もしかしてあの娘・・・いや気の所為だわ。)


 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・


「師匠ー!発行してきました。」


「うむ、では宿に戻るか」


 団欒スペースから出ると何やら向かいの掲示板が騒がしい。


 聞く耳を立てるが訳の分からない声が飛び交っているので良く分からない


 辛うじて聞き取れた事は

「魔物の魔核で大儲け」と

「物量に潰される・・・」

「よくわかりません。」に分かれているみたいだ。




「ふむ、やっと漸減作成が発布されたようじゃな。」


「あーそう言う訳ですね。」


「私らは、宿に帰り明日に備えるぞ。どうせ最初は偵察だしな。カナデでは役に立たないだろう。」


「はっ、はっきり言わないで下さい。俺にもプライドと言う・・・」


 そう言い合いながら師匠と二人「ヤドリギ亭」に帰っていった。


 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・


 妙齢の女性が出てきた。


「おかえりなさいませ。夜の食事の時間はあと半刻程ですのでお急ぎくださいませ。」


「そうか。急ぐとしようか、カナデ」


「はい師匠、お腹ペコペコですよ」


「こちらでございます。」


 師匠は宿泊者ではないが、長期の宿泊費を一括で支払いしたおかげか、タダで食べる事ができた。


 ちなみに内容は、鳥肉ぽい何かのステーキに、スティックサラダ(ドレッシングの類はない。)それと白パン(おかわり自由だ)だった。飲み物はワインか果実水を選べ、これもおかわり自由だった。


 師匠はご飯を食べた後


「私はこれから領軍宿舎で行動するので、明日からは漸減作戦に参加しつつ、レベルを上げておけ」


 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・


「清身」を使い、見出しなみを整えた俺は、異世界(バッファエ・ルンド)で初めて依頼(クエスト)を受けるんだと思うと感慨深くなる。


 昨日はまったく買い出しに行かなかったので今日は買い物してからギルドに向かう。


 必要なものは公式依頼なので大方揃えてくれるらしいが、剥ぎ取り用のナイフや、体と非常用品を固定する装備などは持参しなくてはいけない。


 一階に降りて、朝食を食べに行く。

 みな、冒険者なのか食べるのが非常に早い。

 ちなみに俺はゆっくり味わいたい派である。


 朝食はナン見たいなパンに肉とサラダに甘口のソースをかけたもので、ブーフォマールの名物らしい。シェフ曰く、このソースが家庭によって事なるらしい。


 朝食を済ましたら、部屋に戻り一式を装備した(メッセンジャーバックと山刀のみだが)


 目指すは一番表通り


 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・


 一番表通りでは様々な店が出ており、ブーフォマールの朝市は名物の一つだ。


 実は昨日師匠から

「これで装備を整えておけ。出世払いだ」と言わた


 宿で売った魔核の代金の一部5000マグスを借り受けた。



 まず最初に向かったのは、武器屋である。


 山刀が近くに無い、弾かれてしまったなどの不測の場合に備えてのためだ。


 武器屋の名前は「クスノキ武器店」である。


(なんで、木の名前が多いんだろう?)


 ここでは、低ランクのものは作り売りで、高ランクのものはオーダーメイドといった販売形式を採用している。


 店主は裏にいるみたいだ。


 展示されてる槍や大剣を見ている、値段はだいたい1万マグス〜2万マグスでそれ以上はオーダーメイド品になるみたいだ。


(いつか俺も「旦那いつもの形で」とか言えるのかな)


 と妄想していたら突然!!


「へいらっしゃい!何をお求めかい!!?」


 声でかいよ!もう


 びっくりして見てた剣に突っ込みそうになった。


「非常の武器をと・・・」


「だったらこれだよ、これ!!「投げナイフ」うちの工房には、魔法使いの鍛治師・・・いわゆる錬金術師がいてな。そいつが鍛えた鍛造品の一品だ。一本250マグスだ」


「錬金術師?」


「今回のパレードに釣られて田舎から出て来たのか?錬金術師ってのわな、物に魔力を馴染ませたりするのが仕事の連中だ。」


「はぁー」


 胡散臭いなまったく。鋼の義肢がないと信用しないぞ。


「そいつらが鍛え上げると、よく切れたり、錆びなかったりするんだ。でだ、このナイフには魔力を通し安くなる特性と錆びない特性がついてるんだ。非常用に持ってこいの一品だ!!なにせ錆びないからな!!」


 俺が買うか買わないか考えていると・・・


「それじゃあ、今なら6本まとめ買うと腰か太ももにつけるホルダーをおまけしてやる。・・・じゃあもう2本つけてやる!どうだ買わないか?」


 ここまで押し売りが過ぎると怪しいな


「どうしてそこまでしてくれるんです?」


 この受け答えで様子を見ることにした。


「そりゃ〜冒険者さまに頑張ってもらって街を守って欲しいからだよ、お嬢ちゃん。いくらカイセイ様でも一人では街を守れないからな。ひと1がやれることには限界があるってもんよ。」


 探りをいれたが逆に、感銘を受けてしまった。


(異世界に来てから俺どうしちゃったんだろう?)


「わかったよ。おっちゃんには負けたよ。ホルダーは太ももで頼むよ!それと俺は「男」だ!!間違えるなよ」



「わぁはっは。済まねーなお嬢ちゃん。ほれ採寸すっからこっち来な。」


「今のは絶対わざとだろう!!」


「わぁはっは・・・」


 こうして俺は「投げナイフ」を装備した!


 ちなみにおっちゃんの名前は

「エドワ・クスノキ」だ。

 また来よう。


 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・


 その後、俺は防具として


 肘から手の甲までを表を硬革覆い、裏地には鉄が縫いこまれている左手用プロテクター(1200マグス)


 脛までを守る硬革のブーツ(600マグス)


 心臓を守るためのプロテクターを買った。(700マグス)


 もちろん、太ももにはナイフが4本ずつ装備されている。


 着替え(下着等)や非常食、剥ぎ取り用のナイフを揃え、ギルドへと向かった。


 残高600マグスなり・・・


 ・・・

 ・・・・・

 ・・・・・・・・


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