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異世界で英雄目指します。  作者: サブマリン一世
第一章
4/12

04

 後片付けが終わって、手持ち無沙汰に部屋を眺めていると、ある本が目に入った。現代社会に生きていた自分には紙の質が悪く思ったが丁重は金細工?が施されているのかきらびやかで綺麗だ。



 名前は「O.R.G.Aの生態」著者は...クロスフォード・ケンセイ・シャイニング・イチジョウ

 ...

 ......

 ........

 ふぁ!!

 中二病全開だなおい、本の名前が結構堅い感じなのがまたさらに...

 でも異世界の本っていうのが気になるな

 ちらっとだけ...

 椅子に座って読むことにした。

 ...

 ......


O.R.G.A(オーガ)

 あの門からやってくる怪物なのは皆さんのご存知の通りだ。あいつらの皮フには槍も剣も弓も対してきかない。力は小型でも熊にも勝り、物量もまた恐ろしい武器だ。おまけに魔法も使いこなす。このままじゃ人類は滅亡する。絶望的な戦力差、絶対的な相手の有利...だがここで考えることを諦めてはいけない。考えることで人間は生き残ってきたのだから。そして私は諦めなかった。ゆえに活路を見出した。

 皆さんは不思議に思ったこともあるだろう、奴らは時に水を操り、火を操り、風、土、などなど、まるで御伽噺の魔法使いのようだと。私はそのカラクリを解き明かした。

 それを介すことで現象を引き起こすことができる、目に見えないが確実にそこにある物質を。その名を私は...


錬金(アルケニュウム)と名付けた。、、、ふむ古代文字を読めるのか。なかなか学があるな奏よ」


 !!

 びっくりしたな。二つの意味で


 顔ちかい!胸当たってる?って感じで密着してきたので鼻腔に女の子特有の匂いが...元居


 これって古代文字なんだ〜。言語チートすげぇ!



 師匠を見ると、インゴットを両手で持って、ニヤニヤしている

 インゴットは白っぽい青色で重さは5kg〜7kgぐらいだろう。


「さて、奏にはこいつをつかって金行を習得してもらう。金行は金属。。。具体的にはよくわからんが、ピカピカ光ってるものや刃物を指す。」


「はぁあ〜」

 適当だな異世界


「金行は戦闘中だけでなく生活につかうものなどにも使えて便利だ。それを今日中に習得してもらう。」


「はい、わかりしました。師匠」


「うむ、ではこのインゴットに手を当てて、心を静かに保て、そしたらなんとなく「流れ」がわかるはずだ、まずはそれを感じてもらう。」


 そういって両手で持っていたインゴットを前フリなしに投げてきた。

 !!

 受け止めるために両腕の肘を軽く曲げ受け止める。


 って軽!!!

 見た目5kgはありそうなのに、1kgぐらいしか感じない


「ミスリルだからな、鉄とか鋼だとさすがに投げない。なんだその顔は、っふっふ......」


 師匠が笑いを堪えてる。

 二つの意味で驚いてる自分の顔はさぞ面白いのであろう。



 これがかの有名なミスリル。。。作品によって扱いが違うが大抵、「軽い、魔法使いやすい、貴重」の三拍子である。


 内心緊張しながらインゴットに手をあてる


(オネーチャンイガイノニンゲンダー、オヒサー)

(ネーチョーダイーチョーダイ、ゴハンチョウダイ)


 例の声が聞こえてきた。子供特有の声で頭の中に響く。。。ふ〜収まった。


 今までのパターンだと...きた!


((五行:金 をマスターしました。ブースト(1)を習得しました。))



「師匠。習得しました。」


「!!そ、っそうかでは、それを...そうだなこのナイフに形を変えてみろ」


(はやいな...金行のギフト持ちか?)


 そういって腰背部から鞘ごとナイフを渡してきた。


 鞘は黒い皮製、柄は滑り止めに布が巻いてあるだけで飾り気がない


 ナイフ自体もソリがなく、諸刃のもので覚えやすい形であった。


 使い込んでる物の特有の味がでている。


「わかりました。師匠」


 師匠は椅子に座り、本を読み始めた。


 体に流れている「もの」を少し切り離しインゴットに注ぐ。注ぎながらさっきの形をイメージする。だいぶ整ってきたな...

 手を見ると柄は出来上がり、刀身を整形している段階で、グニグニ動いていて気持ち悪い...

 やがて収まり、ナイフの形そっくりになった。

 結構簡単だったな〜

 

(もう少し鋭く、もうすこし切れるものにしたいな)


 と思って「流れ」をナイフに流し続けると1,2分後紙のようなナイフができてしまった。


 鋒から見てみたら刃がほとんど見えない。代わりに異常に長い。


 師匠が異変に気付いたのか、読んでいた本から顔を上げた。


 師匠が驚いてる顔していたので慌てて、もう少し肉厚にするイメージで「流れ」を送り込んだ。


 しれっと言えば大丈夫だ...


「できました。師匠」


「奏でさっきのはなんだ!」


 ダメだった

 適当なことやって師匠怒らせてしまった。


「申し訳ありません。」

 90度礼で頭をさげた。

 日本人の秘技OZIGI

 ...

 ......


「奏よ。私は怒っているのでは無い。驚いているのだ。」


「あっ、そうなんですか?よかった〜」


 初日から怒られるって嫌だよな。相手も自分も


「うむ、一日で習得した上に、あの細さはすごいぞ。私は金行の適性はない魔術師だから詳しくはわからないがな。」


(あの薄さ、武具制作に長けていた六実家でもどうにか、というレベル...もしやダブルギフターか?ふっふふ、これは後継者にふさわしいかもしれない)


「ありがとうございます。師匠」


「これ以上教えらる金行の術は無いから次に行くぞ....と言いたいがもう夜も深い。今日は床に就け。では明日、日が出て一刻後に修練を開始する。」


 結構機嫌が良いみたいだ


(一刻って2時間だよな...8時前後ぐらいか)



 そういって師匠は手招きをして部屋から出て行った。

 山刀とバックを手に持ち師匠に続いた。

 食堂からでて廊下の奥の扉の方に行き



「物置だったが、少しは魔法で綺麗にしたのであそこで寝てくれ。」


 扉を開けると、窓は大きめなのが一つ、ところどころに色本、道具が(崩れない程度に)積まれ、端っこに年季の入ったベットが置いてあった。


 シーツはあったが、掛け布団がない。


「今日は私がやるが、明日以降は自分でやってもらう」


 といって、端っこにあった鍋のような金属製の箱に手をかざし


「灯れ、暖かな 整火」


 と唱えると少し師匠の手が光ったような気がした。


 少しするとほんのり暖かくなってきた。まるで春のようだ


「これは、アシストアイテムでな魔力と起動個音(キーワード)を言うと寝やすい温度にしてくれるものだ。」


「その〜...アシストアイテムとは??」


「済まぬ、記憶があまり無いのだったな。」



 マジックアイテムは意思や環境で勝手に起動し魔力は勝手に適量吸い上げてくれるが、すごい高価なものがおおい。そして魔導の品(アシストアイテム)は適切ま魔力と起動個音(キーワード)を唱えると発動するものだ。魔法の品と比べると安いが、庶民では手が届かなく、裕福のものの家長が扱うものだ。これ一つで家が買えることもある。



 だそうだ。


 つまり、魔法の品の劣化版か

 しかし持っていてもお金持ちで一つとかか...


「そんな高価なものを...」


「気にするな。お前に興味があって引き止めたのだ。」


 ではな、といって師匠は出て行った。


 インゴットの件で魔力を使ったのか、初見のことが多くて疲れたみたいで、横になると意識を失うようにすぐに寝れた。

 ...

 ......

 .........


 次の日、鳥が鳴いてきた声で起きると朝焼けと森の空気ですごい爽やかな感じだ

 それにほんのり部屋が暖かく魔導の品(アシストアイテム)ってすごく便利だなと思った。



(でもすごい高価なものっていいっていたし......いつか俺も自分も力で手に入れたい!)



 洗顔、できれば風呂に入りたいので師匠を探すと、師匠が外に見えたので家からでる。


「おはようございます。あの顔を洗いたいのですが...水場はどちらでしょうか?」


「おはよう奏、水場か?水場は遠いぞ。そもそも水行が使えるはずだから適当に外でやった方が早いぞ。私ほどになれば、「「清く雪げ、我が身を、清身」」と体の垢や汚れを一瞬で落とす事できる。水行はこういう事もできる。やってみろ、コツは薄く優しく水を纏い、回転させるのだぞ」


 師匠は昨日と違い、街娘のようなカジュアルなシャツとベストにロングスカートだった

 唱えた瞬間、風が吹いて(下着は見えなかった)師匠が綺麗に(別段汚いわけでないが)なった。


「はい師匠、やってみます」


 術のイメージは水は薄く纏ってジャイロ回転させ汚れをおとす。その水を火行で熱して蒸発させる。風は...

 身体を流れている「もの」をできるだけ体表面にまわし押し流すようにして代用するか。



「清く雪げ、我が身を、清身」



 おっ、さっぱりした。これでいいだよな。なんとなく魔法の使い方がわかって来て楽しいな。でも使うとすごい倦怠感と眠気がくるんだよな〜でも、多分レベルアップで解消されるだろうな



「師匠出来ました!」


 ...

 ......

 .........


「さすがは私の弟子だ。」


(適正を得てない木行を体内魔力で代用するとは...この異常な理解力と上達速度はどこから?これもギフトの副産物か?)


 私は気をとりなおして、弟子に課題を出す。



「綺麗になったばっかりだが、私がこの森に走りこみ用の道を拓いた。そこを10周してこい。ただし魔物がたまに出るので、自力で排除または逃走しろ。ここまでくれば私が払ってやるが、その時は一周追加する。そのあと、剣の素振りを少しして朝餉(あさげ)としよう。」


(定期的にこの家・・・森の周囲は、間引きしてはいる...まぁ大丈夫であろう、小鬼(ゴブリン)共に勝てたのだから自力で対処可能であろう。)


「わかりました、師匠。では早速行ってきます。」


 ...

 ......

 .........


 師匠が設定したコースは一周2kmぐらいのもので、幅は3人が並走できるくらいだ。魔法かなにかを使ったのある程度踏み固められていた


 修行なんだから自分の限界に挑戦してみようと、5周目までは結構ペースをあげたのだがあまり疲れない。というか息が上がらない。


「元の世界の記憶は曖昧だけど、多分すごく早いよな...」


 だが6周目の後半、急に眠気が襲ってきた。この突拍子もない感覚


「魔力を使い過ぎた時と同じ...あとで師匠に聞いてみよう。」


 その後はペースを落として走るとだいぶ眠気は取れていき、9周目半ば





 斜め前の茂みからクマさんが現れた!うわぁ〜クマさんだ



 ただし、体長が5m弱で前爪は異常に長く鋭く、鎌想像させるものでなく、目が赤く光ってなく、二本足で綺麗に直立して無ければ普通のクマで、死んだふりで大丈夫だったであろう。


 目があってしまった。こっち見て、威嚇してる!


 距離は周回の中間ぐらいだったので、「ペースをあげて離すか」か「逆走で師匠に助けを求める」かで迷ってる間に


 奴はこっちに向かって4本足で駆け出していた。

 気付いた時には、奴は(鎌熊と呼ぼう)すでに右足を振り上げていた。これは突く攻撃だな。心臓を狙うラインだ...


(スキル:回避(1)を習得しました。有効化します。)


 左に半身ずらし爪のラインの外に滑り込む。そのまま奴の後ろに抜け、ペースをあげて逃走する。


 鎌熊は、右手で薙ぐように追撃するが僅かに足りず、逃走に成功する。


 もちろん追ってくる。こなくていいのに...


 ぐんぐん俺は加速するが、鎌熊はギュンギュン加速する。

(やばい追いつかれる!)



 考えろ、残り3分の1ほど。そこまで走り切れば行けば師匠がいる。そこまで逃げるには...



「倒す」か「ペースを上げる」、「回避しつつ逃げる」



「倒す」は無理だ。武器もないし、森の中では鎌熊の方にアドバンテージがある


「回避しつつ逃げる」わ?

 いくら足場が踏み固められていたって、凹凸ぐらいあるし、回避の瞬間は攻撃が見えて無いと避けるのが厳しい。バランスを崩してペースを落とすのは良くない。それだけ鎌熊にチャンスを与える事になる。


「ペースをあげる」しかないか...

 でもどう上げる?

 加速はしてるがもうすぐ頭打ちだ。考えろ、考えるんだ

 ...

 ......

 そういえば、スキルに「ブースト(1)」があったな。字面から見て、なにかを上昇(ブースト)させるはずだ。


 一緒に手に入れたのは、「金行」だった。でもなんで一個目の水行でもなく二個目の火行でもない、三個目の金行だったんだ?


 わからない。。。


 ん?三個目?数が関係してるのk...っう


 突然思考が中断された。


「イッッッテェーー!!くそったれが!!」


 明らかに人生最大級であろう痛みが

 左腕にはしり、痛みから逃げるように脇にそれる。


  まずいな、止血しないと...


 左前方に大きな木を発見した


 腕を庇いながら、その木に向って出せる全力でかけた。



 腰を下ろし、恐る恐る痛む自分の腕を見てみると、上の方の腕の骨が見えていた。直撃ではないが、掠った訳でもないみたいだ。爪の間合いには入ってない...魔法か!


(ちっ、忘れてた。魔物魔獣は錬金物資(アルケニュウム)に適応してる故の「魔」、何してんだ俺は!!)

 と毒づきながら、水行で水を集め、傷口を洗い流す。次に服を裂き、朧げに覚えていた止血点の脇で止血する。


 一応の止血できたが、縛りが甘く点滴みたいに滴っているし、痛みも激しい。


 ノル・アドレナリンが出て来てるのか、痛みが鈍くなってきたが、このままでは、やがて出血死か、戻ってくるであろう痛みでショック死する。


 運よく、生き残れても時間がかかれば感染症で...時間がない。

 この腕では、走る揺れで痛んでうまく走れない。これで「逃げる」選択肢は選べなくなった。


 ......生き残るには、奴を倒すしかないか



 そんな俺を見て、鎌熊は余裕綽々で間合いを詰めてくる。よく見ると爪に風を纏わせて、茂や木を切り裂きながらゆっくりと近づいてきた。


 あの巨体からの攻撃と風の遠距離攻撃の両方に対処しなきゃいけないのか...


 本格的にやばくなってきたな。


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