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まのわ ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~  作者: 紫炎
神竜滅殺編

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第七百九十六話 ヤツから逃げよう

金翅鳥こんじちょう神殿 第七十四階層 廃ベガスシティ 地下水路


 カンカンカンと金属音が響き渡る。大きなパイプの中を、不滅の水晶灯によって照らされながら風音たちが歩いていく。その途中、風音が周囲を見回しながら口を開いた。


「これって水道のパイプかなぁ?」

「水は随分と流れてはいないみたいだけどそうなんじゃない? 表面に泥っぽいのが固まってヒビいってるし」


 弓花がパイプを触るとボロボロと乾燥した土とサビらしきものが落ちていった。その後ろでジンライは眉をひそめながら歩いている床を見て、口を開く。


「しかし、何者かが最近通った後はある。先ほどの敵のものかもしれんが……警戒は緩めぬ方がよかろうな。どこから出てくるか分からんぞ」


 時折、ヒビが入って穴になっているところもある。風音も『直感』や『犬の嗅覚』だけに頼るのではなく、目で見て警戒しながら歩いていた。


「街と反対側は砂で埋もれてたけど、こっちに行けば一応、街の中にはたどり着けそうだけど……あ、出口だ」


 風音がマップウィンドウを見ながら慎重に先に進んでいくと、パイプの出口が見えて、その先はそこそこ大きな枯れた水路であった。その場所に仲間たちが次々とパイプから出て、周囲を見渡す。


「マップウィンドウからしてここから街の中に入ってる感じだね。マシンナーズソルジャーの姿はないようだけど、速度の速いサイバネドッグや生物兵器っぽいのがいるらしいから気を付けないと」

「クロマル、いる?」

「ウォンッ」


 弓花が尋ねたが、クロマルは首を横に振った。特に周囲に敵を感じてはいないようだった。それから風音も左右の通路のどちらかに行こうかと思って、右、それから左を見た。そして……


 ざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわ


「お、お?」


 一歩を踏みとどまる。少し離れた場所で何かが動いているのが見えた。それは離れた位置にある黒い壁だと思っていたもので……どうやらそれは壁ではなかった。それが動いているのが風音たちには『見えた』のだ。

 そして風音は、固まった顔をギリギリと油の切れたロボットのように弓花に向けて、それから弓花も凄まじい表情で首を横に振っている。その目には涙がたまっていた。

 それから風音は仲間たちへと手振りで戻るよと言う指示を出すと、そのままパイプの中に戻り、途中からは全速力で砂漠に通じる入り口へと戻っていったのであった。



金翅鳥こんじちょう神殿 第七十四階層 廃ベガスシティ


「地下は……駄目だね」

「駄目ね」

「ええ、駄目ですわ」

「駄目に決まってるでしょ」

「駄目だろ、ありゃ」


 地上に戻ってのミーティングである。

 女子組が全会一致でそう発言すると、ジンライも頷きながら口を挟む。


「まあ確かにアレはちと倒すのに手間取るかもしれんな。まさかあんな凄まじい数のゴ……」

「止めてください師匠。名前とか呼んだら来るかもしれません。あれはもう、夢に見そうです」


 弓花がガーッと唸り、続けての女子組の強い視線にジンライが「ふむ」と言いながら一歩引いた。かつてのシンディやルイーズとのやり取りにより、こういう時には何も言わぬのが無難であるとジンライは学んでいた。

 それから風音がひざを突いてため息をついた。


「というかさー。あれってなんなの? ラグビーボールくらいはあったのが壁一面動いてたよ。無理だよ、アレ。あの場所一帯を焦土にしたいよ。今からでもしたいよ。というかするよ」

「いや……それすると逃げたアレが街中に拡散しそうだから、絶対止めてね」

「コエー。それコエーだろ。マジで」


 エミリィの言葉にレームがタツオをギュッと抱きしめ、グワッとタツオが苦しそうな声を上げた。一方で直樹が神妙な顔でウィンドウを開いて何かを見ていて、それから風音に声をかけた。


「うーん。なあ姉貴」

「何、直樹? 下らないこと言ったら棒でぶつよ。強くぶつよ?」

「いや……なんだよ、それ。ほらこれだよ。ちょっと見てくれよ」


 そう言って直樹が自分のウィンドウマップを風音に見せる。そして自分でチェックを付けた部分を指差した。


「げ? マジで?」

「何々? え……これって」


 風音に続いて弓花もソレを見た。

 それは先ほどの水路のマップが表示されたものであり、直樹の指したポイントには明らかに不自然な場所が存在していた。


「多分だけど、これ隠し部屋じゃないか?」

「うわぁ、パイプを出た目の前か。嫌なところにあるね」


 唸る風音に仲間たちの視線が集まる。プレイヤー以外にはマップウィンドウは見えないので、彼らには風音たちの言葉の意味が断片的にしか理解できないでいたのだ。


「ふむ。どういうところだカザネ」

「えっとね。はい、これ」


 それから風音は魔導カメラで映したものをすぐさま写真に出して、ジンライに見せる。それに他のメンバーものぞき込むと、それは確かに先ほどの水路の地図で、そして直樹の指摘した場所には何かしらの部屋がありそうに見えていた。


「ちょうど、水路に出てすぐのところか。まあ、探索するには問題ないのではないか?」


 あっさり言うジンライに風音が涙目で「だよねえ」と返す。


「よし、仕方ないユッコネエ」

「にゃ?」


 それから風音が踵を返して後ろにいたユッコネエの頭をポンッと叩くと、ユッコネエがつぶらな瞳で首を傾げた。それに風音は満面の笑顔で「出番だよ」と口にしたのだ。


「ふにゃーーーーー!!」


 その途端にユッコネエは何か嫌なことをさせられると理解して、背の毛を逆立てたがそこに拒否権は当然なかった。一応スキル『インビジブルナイツ』でスニーク状態になったユッコネエは悲しい鳴き声を上げながら、一体で再びパイプの中に入ることとなったのである。




  **********




「というわけで、ユッコネエ……進んでー」

『にゃあにゃあ』


 風音の声に、スキル『情報連携』により風音と繋がっているユッコネエが鳴きながらパイプの中を進んでいく。それから風音が後ろを向いて仲間たちに声をかける。彼らの周囲にはスキル『ゴーレムメーカー』により造られた砂の壁が造られていた。それは砂で造られているので、他の砂地ともほぼ見分けが付かない外観にもなっていた。


「一応、街の方も警戒しておいてよね。その壁なら遠距離の銃弾ぐらいは防げるとは思うけどさ」

「了解。今んとこ、動きなし」

「ワームもこっちには近付いてきていない。問題ないぜ姉貴」


 風音が仲間たちの言葉に頷くと、再びユッコネエへと意識を集中させた。


「おっと、ユッコネエが水路に出たね。あれもいない。よし。そんじゃあ、ユッコネエ。ゴーレムメーカーの壁でそこ塞いじゃって。どうせ水も流れてないし、せき止めても問題ないっしょ」

『にゃーーー』


 風音の指示によりユッコネエが前足を置いてスキル『ゴーレムメーカー』を発動させると、水路の一部がヌリカベくんに変形してその水路を塞いでいった。


『にゃっにゃ……にゃ?』


 そして、その途中でユッコネエの『直感』が働いた。ゾワゾワとした感覚が迫ってくるのが感じられた。


「どうしたの、ユッコネエ?」

『にゃ、にゃぁあああああ』

「ギャアアアアアアアアアアアア」


 ユッコネエと、それに視界がリンクしていた風音が叫んだ。それには仲間たちが一斉に振り向いたが、風音はパニック状態である。


「どうしたのよ風音?」

「ヤツらが、ヤツらが反対側から、あああ、あんな数で、あ、ユッコネエ。それは!?」


 風音の叫びと同時に街の方からボウッと黄金の高熱ガスが噴き出したのが、その場からでも視認できた。それをジンライが見ながら「何が起きた?」と風音に尋ねる。


「あ、あああ、反対側の通路に連中が出て、ユッコネエがドラゴンになって一気に燃やし尽くした……けど」


 そう言いながら風音は街の方を見た。建物の中から飛び出してくる黒い何かが見えた。それが大量に噴き出して黒い海となって、町から波となって風音たちへと向かってきているのが確認できた。


「ヤバい。地下に撤退だよ。あんなものに来られたら、私の胸は張り裂けて、どうにかなっちゃうかもしれないよ」

「え、これ以上えぐれるの?」

「弓花うるさい。冗談で言ってんじゃないんだよ。待避、待避ぃぃいい!!」


 その指示によって風音たちは慌てて水路へと戻ると、風音が突貫で両方の水路の壁を塞ぎ、続けて水晶化をして強化した。


「風音、見えてるって、それ」

「あ?」


 風音は水晶化で透明になってしまった壁の前にもうひとつ石壁を造って塞ぎ、ベヒモスでも容易には入れないほどに強化してから隠し部屋へと入ったのである。

 そして、その隠し部屋の宝箱の中にあったのはレーザーバルカン砲というものであった。それは相当に強力そうな武器だったが、今はただゆっくりと休息をとりたい風音は一旦それを調べるのを置いておくことにして、すぐさま風音コテージミニを出して、そのままお風呂に入ったのであった。

名前:由比浜 風音

職業:竜と獣統べる天魔之王(見習い)

称号:オーガキラー・ドラゴンスレイヤー・ハイビーストサモナー・リア王・解放者リベレイター・守護者


装備:風音の虹杖・ドラグホーントンファー×2・鬼皇の竜鎧・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩(柩に飾るローゼ)・英霊召喚の指輪・叡智のサークレット・アイムの腕輪・白蓄魔器(改)×2・虹のネックレス・虹竜の指輪・金翅鳥の腕輪・プラチナケープ


レベル:48

体力:169+35

魔力:460+750

筋力:93+70

俊敏力:122+80

持久力:58+40

知力:107+10

器用さ:85+10


スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』『ファイアストーム』『ヒーラーレイ』『ハイヒール』『黄金の黄昏[竜専用]』『ミラーシールド』『ラビットスピード』『フレアミラージュ』『テレポート』『カイザーサンダーバード』


スキル:『見習い解除』『無の理』『技の手[2]』『光輪:Lv2』『進化の手[6]』『キックの悪魔:Lv2』『怒りの波動』『蹴斬波』『爆神掌』『コンセントレーション』『戦士の記憶:Lv2』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚:Lv2』『ゴーレムメーカー:Lv5』『イージスシールド:Lv2』『炎の理:三章』『癒しの理:四章』『空中跳び:Lv2』『キリングレッグ:Lv3』『フィアボイス:Lv2』『インビジブルナイツ』『タイガーアイ』『壁歩き』『直感:Lv3』『致命の救済』『身軽』『チャージ』『マテリアルシールド:Lv3』『情報連携:Lv3』『光学迷彩』『吸血剣』『ハイ・ダッシュ』『竜体化:Lv5[竜系統][飛属]』『リジェネレイト』『魂を砕く刃』『そっと乗せる手』『サンダーチャリオット:Lv3』『より頑丈な歯:Lv2[竜系統]』『水晶化:Lv3[竜系統]』『魔王の威圧:Lv3』『ストーンミノタウロス:Lv2』『メガビーム:Lv3』『真・空間拡張』『偽銀生成』『毒爪』『炎球[竜系統]』『キューティクル[竜系統]』『武具創造:黒炎』『食材の目利き:Lv4』『ドラゴンフェロモン[竜系統]』『ブースト』『猿の剛腕』『二刀流』『オッパイプラス:Lv2』『リビングアーマー』『アラーム』『六刀流』『精神攻撃完全防御』『スパイダーウェブ』『ワイヤーカッター』『柔軟』『魔力吸収』『白金体化』『友情タッグ』『戦艦トンファー召喚』『カルラ炎』『魔物創造』『ウィングスライサー』『フェザーアタック』『ビースティング』『弾力』『イーグルアイ』『ソードレイン:Lv4』『空中跳び[竜系統]』『暴風の加護:Lv2』『最速ゼンラー』『ソルダード流王剣術』『タイタンウェーブ:Lv2』『宝石化』『ハウリングボイス:Lv2』『影世界の住人』『知恵の実』『死体ごっこ』『ハイパーバックダッシュ』『ドリル化:Lv2』『毛根殺し』『ハイパータートルネック』『爆裂鉄鋼弾』『ウィングアーム』『Roach Vitality』


弓花「風音……あんた、レベルが上がって……スキルも……」

風音「……あれをユッコネエが倒したからだよねえ。うう、レベルドレインして欲しい」

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