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まのわ ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~  作者: 紫炎
闇の森・入門編

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第六百八十五話 闇の森に再び行こう

◎ロードゾラン大樹林 近隣


「ハァ……ルイーズさんたち、フォレストロブスターをたくさん捕まえられると良いねえ」


 プラチナトゥースタイガーたちとの戦闘があった日の翌日、再び闇の森『ロードゾラン大樹林』手前までユッコネエに乗ってやってきた風音がユッコネエを止めてからそう口にした。


「ジュルリ」


 それからヨダレが少し垂れユッコネエの背に落ちて、風音は「ハッ」となって拭ったのである。

 風音がコテージを出る前に昨日に発見したフォレストロブスターの住処らしき場所の地図をルイーズにはすでに渡してある。今頃ルイーズたちはその場所へと向かっているはずで、今晩もプリプリの身を美味しくいただける予定であった。


「今朝のロブスターの切り身とキャベツのスープも美味しかったなあ。昨日から三食ロブスター尽くしだけど飽きないわ」


 風音の言葉に反応したのか弓花がそう口にし、風音もウンウンと頷く。


「昨日は茹でだったし今晩は焼いて食べても良いかもしれないね。生のヤツが手に入る予定なんだしさ」


 風音たちはそのまま茹でてしまったが、ルイーズたちはできる限り生け捕りにする予定である。それをタツオが水晶化で保存すれば、冷凍するよりも新鮮な状態を保つことが可能なのだ。風音も戻った時に魔力の余裕があれば水晶化保存を手伝うつもりだし、そうなればかなりの数のフォレストロブスターを持ち帰れるはずであった。


「けどさあ。昨日もだけどああいうのって泥抜きとかそういうのいらないのか?」

「まあ、直接泥とか入っちゃってるところはともかく身の部分はイケるし、水抜きすると味が落ちるらしいからね。けど水晶化したのは後で持ち帰って泥抜きしてみる予定だよ」


 直樹の問いに風音がそう答える。


「それに寄生虫とかは神々の炎で炙ればオーケーだしねえ。ヒノカグツチには不本意な使い方かもしれないけどさ」


 風音はそう言って弓花を見た。弓花の身に宿るヒノカグツチが発する『神々の炎』は不浄を燃やす。そして不浄判定は使用者にとっての……となるために弓花を害するものは殺せてしまうのである。便利な話であった。


「まったく。お前たち、飯の話題よりもここから先のことであろうが」


 呆れた顔をしたジンライの言葉に全員がハッとした顔になってから苦笑いをした。それからゴホンと咳払いをした風音が改めて口を開く。


「じゃあ話を戻すけど今日の予定を説明するね。まず、これが昨日のロードゾラン大樹林を通ったルートね」


 風音がジンライにも確認できるようにと魔導カメラから出力した写真を全員に見せる。


「まったく、恐ろしく詳細な地図だな。こんなものを見ていれば迷わずに進めるはずだ」


 ジンライも風音たちからマップウィンドウのことは聞かされていたし頼ってもいたのだが、その姿が視認できるようになって改めてウィンドウの能力の高さを知り、驚いているようだった。


「それでこっちの赤いラインは何なのだ?」


 それからジンライが写真の地図の、昨日通ったルートと離れた場所を指差す。そこには前日通ったルートのラインだけではなく、未確認のフィールド内に赤いラインも引かれていたのである。


「ああ、そっちは今日進むルートだよ」

「姉貴、昨日と同じルートは通らないのか?」


 その言葉を聞いて直樹が首を傾げながら風音に尋ねる。また弓花も同様の反応で、同じ道筋を進んでいくつもりでいたようである。


「私たちが通ったルートは私たちの匂いがついてるから待ち伏せされているはずなんだよ。レベルだけで見れば私たちはこの森では脆弱な生き物ってことになるし、彼らにしてみれば美味しい獲物になるだろうから。再度通る可能性を考えて先回りしてる魔物がいるはずなんだよね」

「そう……なのか。待ち伏せは確かに怖いな」


 直樹が先ほどよりも引き締めた顔になってそう口にする。

 なお、その風音の発言はゼクシアハーツの頃の認識のものである。

 闇の森の魔物は強く、場合によっては最上位の魔物すらもエンカウントする上に、時間をかければ他の魔物もやってきて素材の確保もままならず、その上に同じ移動ルートを使えば奇襲されてカンストレベルであっても殲滅もされることも少なくはない。それがゼクシアハーツでの闇の森であり、昨日の探索での感触からこの世界でもそれは変わらないようだと風音は考えていた。

 闇の森は魔物単体も強いが、より難易度を高めている原因は奇襲されやすく連戦にもなりやすい状況そのものなのであった。


「まあ一応の目安で描いてるだけだから状況を見ながらルートの変更はするかもしれないけどね」

「それは構わんが……たどり着けるかがまず心配だな」


 ジンライが珍しくネガティブな発言を口にする。

 とはいえ、ジンライも昨日の戦闘ではかなり肝を冷やしていた。戦闘そのものもそうだが、プラチナトゥースタイガーが本来群れで戦う相手であること、またプラチナトゥースタイガー戦後に現れた魔物たちの威圧にも驚きがあった。恐らくは直樹の帰還の楔リターナーズ・ステイカーで逃げられなければ敗北していただろうという確信がジンライにはあったのだ。故にたどり着く前に他の魔物と遭遇して戦闘になった時点で、即帰還の可能性もあるとジンライは考えていた。


「あの魔物は手強かったですからねえ」


 弓花も昨日のことを思い出して少しばかり俯いた。

 その弟子を見ながらジンライは考える。プラチナトゥースタイガーを己の力だけで倒しきれるのか……ということについては昨日の夜中にずっと考えて、不可能ではないと結論を出していた。あの攻撃速度ならば避け続けることは可能で、槍も貫けこそしなかったがダメージは与えられていた。ならばいずれは勝てるだろうと。


「ああ、手強かったな」


 ジンライは弟子にそう返す。

 だが一匹でならばともかく、アレが群れで来た場合にはもうお手上げである。また単体でも周りの邪魔がなく、時間をかけられればという前提条件を重ねなければ勝つことはできない。だからジンライは自分がプラチナトゥースタイガーに勝てたとしても、闇の森の中では死ぬのだろうと認識していた。


「あのプラチナトゥースタイガーは一応森の奥地が基本だから早々出てくるとは思えないけどね。ただ出てこないとは限らないし、他の強力なのが出てくるかもしれない。そこら辺は運次第かなぁ」


 風音がそう言って苦笑いをした。また、その話を聞いている途中で直樹が挙手をして風音に尋ねる。


「姉貴。少し考えてみたんだけどさ『影世界の住人』と『インビジブルナイツ』を併せてみれば気付かれずにいけるんじゃないか?」


 直樹の言う『影世界の住人』は本人のみではなく、仲間も指定して発動が可能なスキルだ。だが風音はその提案に対して首を横に振った。


「駄目なのか?」

「ねえ直樹、あんたの『ダークヒーロー』って職種はゲーム中でも存在してたんだって知ってる?」

「ああ……そうらしいな」

「てことはね。『影世界の住人』ってのはプレイヤーが使えることも前提のスキルだよ」

「それがなんだよ?」


 回りくどい姉の言葉に直樹が少しばかり口をとがらせて尋ねる。


「つまりね。当然、闇の森もゲームと同様ならそうしたプレイヤー対策もしてあるってこと。具体的に言うと察知したアストラル系の魔物がワンサカその場にやってくる」

「うわ……」


 そう言われて直樹も理解したようである。現世界からアストラル界に身を移動させるそのスキルも絶対無敵ではない。『影世界の住人』を使うということは『もうひとつの』闇の森に足を踏み入れるに等しいことでもあるのだ。


「森の中だと怨霊系メインでね。昔、パーティのひとりが試しに潜ってみたら途端にそいつのアストラル体が元の体に戻って血の涙を流しながら全身の内側から剣を生やして死んだんだよ。凄いホラーだった」

「あーうん。止めとくわ」

「それがいいよ」


 真顔で言う直樹に風音が頷いた。余計なことをすればそれが即死に繋がるのが闇の森だ。直樹は少し試してみようなどと考えなくて心底良かったと思っていた。



◎ロードゾラン大樹林


 それから風音たちは二十四時間制限のある帰還の楔リターナーズ・ステイカーが使用可能となるお昼前までロードゾラン大樹林の前で待機し、それが過ぎるとスキル『インビジブルナイツ』で身を隠しながら森の中を進んでいった。

 途中でドラゴンヘッドフラワーという魔物を何体か見かけたが気付かれることなく通り過ぎることに成功し、一時間ほどで目的地の近くまで無事たどり着けたのである。


「よし、ここまでは順調だな」


 周囲を見回しながら直樹が言う。昨日のプラチナトゥースタイガーたちと戦った場所はもう間近でここまで戦闘もなかった。しかし風音の顔は浮かない。


「問題はないけど……臭いがキツい。ねえ、弓花?」


 風音の問いかけに弓花が頷く。その弓花の表情もあまり余裕のあるものではなかった。


「うん。周囲にいくつもの強力な魔物の臭いが『犬の嗅覚』で感じられる。多分だけど、そいつらがここらへんに来たことでデュアルモーターマシラオーとか元いた魔物が去っていったんじゃないかな?」

「強力な魔物?」


 直樹が眉をひそめる。それには風音が答えた。


「恐らくは昨日の騒ぎが呼び水になったんだろうね。ドラゴンヘッドフラワーしか遭遇してないのはアレが動けない魔物だからじゃないかな。逆にそういう状況で互いに牽制し合ってるところだから、インビジブルナイツで隠れているとはいえ、私たちもここまで発見されずにこれたのかも」


 そこまで聞くと直樹の顔が険しくなり、すぐさま周囲を見渡した。とはいえスキル『察知』でも特に何も感じられない。だから状況は風音と弓花の言った通りではあるようだとしても、今がチャンスであることは変わらない。


「けど、今ならいけるんじゃないか姉貴?」

「多分ね。この地域一帯が荒れてるみたいだから、目的を果たしたらすぐさまおいとましたいね」


 そう言いながら風音がユッコネエを先に進ませていく。それにクロマルとシップーが続いていく。その先には昨日に戦った場所があり、その場にたどり着いた風音たちはスカーレットパピヨンの羽を見つけることには成功した。しかし、そこには……


名前:由比浜 風音

職業:竜と獣統べる天魔之王(見習い)

称号:オーガキラー・ドラゴンスレイヤー・ハイビーストサモナー・リア王・解放者リベレイター・守護者


装備:杖『白炎』・ドラグホーントンファー×2・鬼皇の鎧・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩・英霊召喚の指輪・叡智のサークレット・アイムの腕輪・白蓄魔器(改)×2・虹のネックレス・虹竜の指輪・金翅鳥の腕輪


レベル:45

体力:163+25

魔力:443+550

筋力:90+60

俊敏力:99+50

持久力:55+30

知力:93

器用さ:76


スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』『ファイアストーム』『ヒーラーレイ』『ハイヒール』『黄金の黄昏[竜専用]』『ミラーシールド』『ラビットスピード』『フレアミラージュ』『テレポート』『カイザーサンダーバード』


スキル:『見習い解除』『無の理』『技の手[2]』『光輪:Lv2』『進化の手[3]』『キックの悪魔:Lv2』『怒りの波動』『蹴斬波』『爆神掌』『コンセントレーション』『戦士の記憶:Lv2』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚:Lv2』『ゴーレムメーカー:Lv5』『イージスシールド:Lv2』『炎の理:三章』『癒しの理:四章』『空中跳び:Lv2』『キリングレッグ:Lv3』『フィアボイス:Lv2』『インビジブルナイツ』『タイガーアイ』『壁歩き』『直感:Lv3』『致命の救済』『身軽』『チャージ』『マテリアルシールド:Lv2』『情報連携:Lv3』『光学迷彩』『吸血剣』『ハイ・ダッシュ』『竜体化:Lv4[竜系統][飛属]』『リジェネレイト』『魂を砕く刃』『そっと乗せる手』『サンダーチャリオット:Lv3』『より頑丈な歯:Lv2[竜系統]』『水晶化:Lv3[竜系統]』『魔王の威圧:Lv2』『ストーンミノタウロス:Lv2』『メガビーム:Lv2』『真・空間拡張』『偽銀生成』『毒爪』『炎球[竜系統]』『キューティクル[竜系統]』『武具創造:黒炎』『食材の目利き:Lv3』『ドラゴンフェロモン[竜系統]』『ブースト』『猿の剛腕』『二刀流』『オッパイプラス:Lv2』『リビングアーマー』『アラーム』『六刀流』『精神攻撃完全防御』『スパイダーウェブ』『ワイヤーカッター』『柔軟』『魔力吸収』『白金体化』『友情タッグ』『戦艦トンファー召喚』『カルラ炎』『魔物創造』『ウィングスライサー』『フェザーアタック』『ビースティング』『弾力』『イーグルアイ』『ソードレイン:Lv4』『空中跳び[竜系統]』『暴風の加護』『最速ゼンラー』『ソルダード流王剣術』『タイタンウェーブ』『宝石化』『ハウリングボイス』『影世界の住人』『知恵の実』『死体ごっこ』『ハイパーバックダッシュ』


弓花「順調?」

風音「だといいんだけど……」

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