第六百十二話 一周年をお祝いしよう
\ステマ/\太陽/\万歳/\ステマ/
10月19日19:00からのなろうラジオにオレ出演します。おめかししていきます。普段よりちょっとリッチな姿で出てきます。
それと朗読コーナーがあり、まのわもその場で読んでもらえるとのことで朗読箇所はこちらをお願いしてあります。
第二百八十三話 手を入れよう
・頭がおかしくなった弓花さんが風音さんの胸を揉む話
第五百二十一話 女神になろう
・頭がおかしくなった弓花さんがふたりの男に迫られる話
どちらかを投票で決めることになるはずです。
書籍一巻では影が薄かったので、将来的にはこのぐらい活躍するんだぞということをアピールするための弓花さんセレクトです。うちのクラスにいじめなんてありません。
◎ゴルディオスの街 白の館
「まいどどーも」
「へい。お待ちー」
風音と弓花が白の館に戻ってみると、そこは想像以上に人がごったがえしていた。事前に風音が頼んだ出前が届き始めたのと風音に呼ばれた知り合いたちがかなりの数、集まってきていたのである。
「あら、戻ってきたのねカザネ」
入り口近くで出前の店員と話をしているルイーズが、風音が戻ってきたことに気が付いて声をかけてきた。
「やあルイーズさん。滞りなく進んでるみたいだね。報告してなかったんだけど」
「ええ、アオ様が教えてくれたからね。駄目よ。こういうのはちゃんと教えといてくれないと」
「うーん。ごめんなさい」
ルイーズに風音が素直に謝る。レアアイテム確認とイリアの依頼の方に頭が回っていて報告し損ねていたのである。完全な風音の落ち度であった。
「みんな集まってたし、出前も届き始めてたからこっちの判断でもう始めちゃってるわよ」
その言葉には風音も頷く。
「ま、簡単な立食パーティだしね。構わないよ」
「それじゃあ、こっちは出前を全部並べちゃうから、ちゃんと挨拶しときなさいよ」
ルイーズがそう言って白の館の中庭に視線を送ると、そこにオーリングやブレイブなどの風音に知り合いや親方率いるバトロイ工房に、弓花後援組織ムータンなどが集まっていた。
「姐さん、聞きましたぜ。やってくれたらしいじゃないっすか」
「兄貴の仇を討ってくれたんすね」
「ウォーレッドを皆殺しにしたってぇ話じゃないっすか」
かけよる小汚いおっさんたちに弓花は「いや、皆殺しにはしてないよ。は、半殺しくらい?」などと言って、歓声を受けていた。楽しそうで何よりである。
「よお、カザネ。来てやったぜ。うめぇもん食えるって聞いたしな」
「やあカザネ」
そして風音の元にはギャオとジローがやってくる。なんだかんだとこのふたり仲良くつるんでいた。ジローはメロウと恋人なのだが、いつ見てもジローの横にいるのはギャオである。
「やはー。ふたりとも今日は楽しんでってよ」
「おうよ。ただだからな。遠慮はしねえぜ。つか、そもそもなんのパーティなんだ、これ?」
首を傾げるギャオに風音が少しだけ考えてから、
「私がこの地に来た一周年の記念かなぁ。まあ軽い立食パーティだから楽しんでいってよ」
そう答えた。それにはギャオもジローも頷く。
「そういや、オメーと知り合ったのももう一年ぐらい前か。時が経つのは早いもんだな」
「そうだな。正直一年前の俺に今の俺の状況を話しても絶対に信じてもらえないだろうよ」
続けて口にするジローが力なく笑った。
ミンシアナ王国が誇る勇者ジロー。すでに彼の拡大解釈された物語はミンシアナに留まらない勢いで様々なところに伝播していた。
もはやジローが動かずとも彼の物語には尾ひれが付き、また別の人物の物語をも吸収し、さらには触発された物書きたちにより創作された物語も加わることでもはや体系化された一大叙事詩となっていたのである。
「じ、ジローくんガンバッ」
「さすがにもうオメーのことを羨ましいとは思えねえよ。頑張れよ。マジで」
どんよりとしているジローに諸悪の根元たるふたりが慰める。罪悪感が風音の心を締め上げるが、もはやジローの大冒険は誰の制御も受け付けない巨大な怪物となって大陸中を席巻していたのであった。
ともあれ、風音は落ち込んだジローをギャオに任せて、他のメンバーにも挨拶回りをしていく。この一年で風音も様々な人と出会い、様々な経験を重ねていった。目の前の家や温泉、仲間たち、すべてが風音の大切なものであった。
**********
そして挨拶回りにチョロチョロと歩き回る風音をジンライは遠巻きから見ていた。ジンライもすでにアオから、この中庭に広げられた立食パーティが風音と弓花がこの地に来てから一年経ったことを記念してのものだとは聞いていた。
ジンライの知る限り、この世界に来たことはふたりにとっては元の生活を奪われた不幸な出来事ではあったはずである。しかし風音も弓花も今日という日を祝い、笑顔で会話を交わしているようだった。
「あれらと出会ってから一年か。ふたりとも強くなったな」
ジンライはまだそれほどの昔でもない過去を思い出す。
それは約一年前のことだ。ジンライが風音と弓花に初めて出会ったのはウィンラードの街のジンライの道場だった。今でこそ風音が従えている狂い鬼の討伐時に親方から紹介されて出会ったのが始まりだった。
(今思えばあのころのワシはずいぶんと追い詰められていたのであろうな)
当時のジンライは己の肉体の衰えを感じながらもそれを無視して、ひたすらに肉体を磨こうと修行に明け暮れていた。竜骨槍の片割れも失い、牙の槍兵のふたつ名がくすんでいる時期でもあった。
そして出会った弓花という天賦の才を持つ少女。それに対する強い羨望と嫉妬。あの当時のジンライにとって弓花という存在は己の証を残す器であった。
いずれ己の技を血肉とさせ、そして己の命を奪わせることで弓花にジンライ・バーンズという存在のすべてを引き継がせようとも思っていた。
(不甲斐ない。ワシは……いじけておったのだな)
今でこそそう思える。だが旅の間にジンライも変わっていった。
ユッコネエとの戦いにも年老いた腕は保たず、ディアボ戦では後れをとったこともあった。情けなくはあったが、老いというものを実感した瞬間だった。
メフィルス様やルイーズ姉との再会。黒岩竜の討伐と若返り。東の竜の里ゼーガンでの悪魔との戦い。
そこまで思いに耽った後、ジンライは右腕を見る。そこにあるのはゴーレム義手『シンディ』だ。
(このシンディとの出会いはワシにとっての転機ももたらしたのであろうな)
一角獣の開眼。シップーとの出会い。自身のさらなる若返りとともに、ジンライは様々なものを得ていった。何よりも……
(ライノクスに勝った。ワシがだ)
決して届かないと思っていた高みに届いた。ライノクスに追いついたという実感があった。さらには英霊ジークという大きな目標もできたのだ。
「そしてワシにはこれがある」
ジンライは懐から小瓶を出した。それは『パナシアの雫』。飲むと十歳若返ると言われている霊薬である。
それはかつて飲んだものと同じ小瓶だったがその中身は半分ほどであった。
ジンライはここまでにため込んだ金をすべてつぎ込んで、信頼できる筋からこの『パナシアの雫(半分)』を得たのだ。
「ふむ。この記念すべき日に乾杯を……などと言う言葉はワシには似合わぬな」
そしてジンライは『パナシアの雫』を、手に持っていた杯へと注いで一気に飲み干した。次の瞬間、ジンライの肉体はついに二十代へと突入したのであった。
**********
「はぁん。カザネかわいいですわねえ」
ジンライが劇的な変化を遂げているのと同じ頃、ティアラの視線はチョコチョコと動き回る風音に集中していた。そこら中の知り合いに声をかけていく風音の愛くるしさにティアラはもうぶっ倒れそうだった。病気の進行は深刻であったのだ。
(あの頃からわたくしの気持ちは変わっていませんわ。わたくしの王子様はカザネ。同志であるナオキも同じ思いのようですし)
本当に変わっていないかはともかく、ティアラにとってのオンリーワンはやはり風音だった。直樹に恋い焦がれていた時期もあったし、結ばれることを望んでいる声もあった。しかしティアラには直樹という存在は同志という思いの方が強い。
そしてティアラの風音への気持ちは情欲ではなく庇護欲に近いものだった。抱きしめてギュッとしたい、そんな思いにあふれている。それは吉永さんとは違う点であって、弓花も思わずホッと安堵していたのである。
(けれど、わたくしも考えなければならない時期なのかもしれませんね)
風音を見るティアラの顔に影が射した。当初の旅の目的である紅玉獣ルビーグリフォンの制御をティアラはもはや可能としていた。今のティアラの技量であれば、魔力の川と繋がり、守護兵装としてのルビーグリフォンを歴代の王たちよりも十全に操れる可能性すらもあった。そもそも蓄魔器の補助があろうと単体で紅玉獣を操れるティアラは他に類を見ない才があったのである。
だがティアラは未だ国には戻っていない。アウディーンの許可もあるのは確かだが、己の我が侭でこうして風音たちと共にいることを、ティアラは先日のアーマードベヒモス討伐を経て気に病んでいた。
(あの時、わたくしたちがいかなければ……我が国の兵たちがどれほど犠牲になったことか。それにわたくしはルビーの力を持っていながら使うことをしなかった。今はまだ……けれどわたくしは……)
次期女王としての重責が、己の国の危機を間近にしたことでひしひしとティアラにのしかかっていた。ルビーグリフォンは国防の要。それをこのまま、ここに置いておいて良いのか……と、そう考え始めていた。
**********
「悩んでいるみたいね」
『ベヒモスの件で考えるところがあったのであろう。あの子の気持ちは余も分からんでもないよ。まあ、成長したということなのだろうが』
ルイーズと炎の魔人として顕現しているメフィルスが、酒を酌み交わしながらそんな話をしている。そしてふたりの視線の先はティアラに向けられていた。
召喚体として繋がっているメフィルスや、日頃から召喚術を教えているルイーズには今ティアラが悩んでいることはよく分かっていた。普段は抑えていてもそれは時折、表にひょっこりと顔を出してくる。
もっともそれは悪い変化ではないとルイーズは思う。己の立場を理解し、どうするべきかを考え始めたのは良い傾向ではあった。
「メフィルス、あなたは何か言ってあげないの?」
そのルイーズの問いにメフィルスは『余がどうこう言うことではないな』と返す。
『どちらの道とて決して間違いではないのだ。すべてはあの子が決めること。余は召喚体としてそれに従うのみ。それよりもルイーズ、そなたの方こそどうなのだ?』
メフィルスからの問い返しにはルイーズは苦い顔をする。やぶ蛇をつつかれた形だが、いずれは口にしなければいけない話ではあった。
「ルネイの調査でも結果は限りなくクロに近いわ。悪魔狩りは今キャンサー家と外来派閥とで分裂しかかってる。その争いにお爺さまは出てきていないみたいだけれどね」
そう言ってルイーズは眉をひそめながら風音たちを見た。
「このままだと、カザネたちに頼らないといけないかもしれな」
『仲間であろう。皆、そなたを助けてくれるさ』
メフィルスの言葉にルイーズは少しだけ微笑む。それが分かっているからこそ苦しいこともある。そして、そうするしかないであろう力ない自分に突き刺さるのだ。
『それにしても因果なことよの。あれはそなたにとっては唯一の』
「止めて。今はあなたたちや息子たちがあたしにはいるもの……ゼクウお爺さま、あの人はもう……あたしの敵だから」
ルイーズはそう言って少しだけ顔を落とす。
魔道大国アモリア。そこにいる己の祖父を思い、ルイーズは酒の杯を一気に飲み干した。
名前:由比浜 風音
職業:竜と獣統べる天魔之王(見習い)
称号:オーガキラー・ドラゴンスレイヤー・ハイビーストサモナー・リア王・解放者・守護者
装備:杖『白炎』・ドラグホーントンファー×2・竜喰らいし鬼軍の鎧(真)・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩・英霊召喚の指輪・叡智のサークレット・アイムの腕輪・白蓄魔器(改)×2・虹のネックレス・虹竜の指輪・金翅鳥の腕輪
レベル:42
体力:159+20
魔力:401+520
筋力:86+45
俊敏力:90+39
持久力:49+20
知力:81
器用さ:62
スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』『ファイアストーム』『ヒーラーレイ』『ハイヒール』『黄金の黄昏[竜専用]』『ミラーシールド』『ラビットスピード』『フレアミラージュ』『テレポート』
スキル:『見習い解除』『無の理』『技の手[0]』『光輪:Lv2』『進化の手[0]』『キックの悪魔:Lv2』『怒りの波動』『蹴斬波』『爆神掌』『コンセントレーション』『戦士の記憶:Lv2』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚:Lv2』『ゴーレムメーカー:Lv4』『イージスシールド』『炎の理:三章』『癒しの理:四章』『空中跳び:Lv2』『キリングレッグ:Lv3』『フィアボイス:Lv2』『インビジブル』『タイガーアイ』『壁歩き』『直感:Lv3』『致命の救済』『身軽』『チャージ』『マテリアルシールド:Lv2』『情報連携:Lv3』『光学迷彩』『吸血剣』『ハイ・ダッシュ』『竜体化:Lv4[竜系統][飛属]』『リジェネレイト』『魂を砕く刃』『そっと乗せる手』『サンダーチャリオット:Lv3』『より頑丈な歯:Lv2[竜系統]』『水晶化:Lv2[竜系統]』『魔王の威圧:Lv2』『ストーンミノタウロス:Lv2』『メガビーム:Lv2』『真・空間拡張』『偽銀生成』『毒爪』『炎球[竜系統]』『キューティクル[竜系統]』『武具創造:黒炎』『食材の目利き:Lv3』『ドラゴンフェロモン[竜系統]』『ブースト』『猿の剛腕』『二刀流』『オッパイプラス』『リビングアーマー』『アラーム』『六刀流』『精神攻撃完全防御』『スパイダーウェブ』『ワイヤーカッター』『柔軟』『魔力吸収』『赤体化』『友情タッグ』『戦艦トンファー召喚』『カルラ炎』『魔物創造』『ウィングスライサー』『フェザーアタック』『ビースティング』『弾力』『イーグルアイ』『ソードレイン』『空中跳び[竜系統]』『暴風の加護』『最速ゼンラー』
風音「みんな集まってるねー」
弓花「いつの間に」
風音「昨日、弓花たちがダンジョンに入ってる時に声かけてたんだよ」




