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まのわ ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~  作者: 紫炎
温泉巡り旅編

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第五十四話 マッピングをしよう

◎オルドロックの洞窟 第一階層


「うーん、大漁大漁」

 風音が収集用の金属瓶に蟻酸を詰め込んでいく。ちなみに便宜的に蟻酸と書いているがメタン酸とは別の溶解液的な何かである。装飾の加工とかに使うらしい。

「扱いには気をつけろよ。触ると手が爛れるからな」

「了解だよ」

 風音はジンライの言葉に従いアイテムボックスの中に蟻酸瓶を入れた。

「今後もこんな感じで出てくるのかな?」

「いや、普通はこんな低い階層で8匹もは出ないんだが、もしかすると拡大期なのかもしれんな」

「拡大期?」

 ジンライに弓花がキョトンとした顔で聞く。

「拡大期ってのはダンジョンがより早く成長する時期でね。魔物の出現率がかなり高まるのよ」

 その疑問にはルイーズが答え、ジンライが頷く。

「このパーティなら問題はなかろうが戻ったらギルドには報告しておいたほうがよいだろうな。初心者パーティならさっきのもかなり危険だった」

「そうだねえ」

「それと拡大期ということは『宝箱』が多く出現している可能性がある。見逃さないようにしよう」

「了解。たからばこがおおくしゅつげ……ん?」

 風音はジンライを何を言ってるんだコイツは?……という顔で見た。

「む、なんだ。その顔は?」

「宝箱って、あの宝箱?」

「お宝が入っている箱のことだな。それがどうかしたのか?」

 そう口にするジンライにルイーズが肘打ちをする。

「うぐっ」

「ほらジンライくん、彼女ら初心者なんだから知らないのよ。ダンジョンには宝箱があるって」

(いや知ってるけど。知っているけどさあ)

 それはゲームの中だけの話だろうと。普通に考えればたとえ昔の人がダンジョンに宝箱を配置しようが当然発掘されて残っているわけがない。

「なるほどな。まあ、別に説明できることは少ないが、ともかくダンジョンは宝箱を生むんだ。魔物と同様にな」

「マジでか。なんで?」

「知らん。昔からずっとそうだったからな。そういうものとしか言いようがない」

 そうジンライは返す。

「中身は何なの?」

「武器や防具、アイテムとか色々ね」

 それにはルイーズが答えた。本当にゲームと同じようだった。

(ようするにここもシグナ遺跡とコーラル神殿と同じ類かな)

 ゲーム仕様に合わせた何かしらの意志があるように感じられる。

「風音、これって」

 弓花も同じ疑問を持ったのかどこか不安そうだったが風音は不敵に笑った。

「ふん。まあいいじゃない。宝箱があるなら開けるまでよ!」

「息巻くのはいいがな、正直発見できる数は本当に限られてるからあまり期待するなよ。この階層じゃあお前等の装備よりもいいものが出てくるとは考えにくいしな」

「まあ、そうだねえ」

 とはいえ、何かしらのレアアイテムが入っていないとも限らない。風音の期待感は上がる一方であった。



◎オルドロックの洞窟 第二階層


「うりゃああ!!」

 風音はスライディングをかけ、シビルアントの腹部を切り裂く。そして振り向きざまに

「スペル・ファイア・スティンガー」

 ファイア・ニードルを拡大し威力と命中性を上げた魔術を放った。

 そしてコアのある胸部が吹き飛ぶ。

(これなら中々かな)

 ニードルより魔力消費量が高いがそれでもヴォーテックスの半分以下で十分に低コストな魔術である。使い勝手も悪くない。

「あう〜カザネー」

 もふっとティアラが抱きついてきた。もふっとしたのは当然おっぱいだ。

「うわ、ティアラ。どうしたの?」

 おっぱいに押しつぶされないよう倒れ込むティアラを支える。

『魔力の消費量が限界を超えたのだ』

 横にいるメフィルスが答える。そのメフィルスもちょっと薄くなってる。

「今回で騎士を4回召喚したっけ」

「けどおかげでレベルが2上がりましたわ」

 ティアラがギルドカードを見せる。

(このレベルでこのクラスの敵なら妥当かな)

 15くらいからだんだんと上がりにくくなっていくのだ。なお、一般的にレベルとは身体などの能力が上昇した際に上がるものだが、ティアラは風音達と同様に魔物を倒した経験値で上がるようだった。これは召喚で呼び出した存在が魔物を倒すと魔物の力を吸収するためで、その仕様上ティアラ自身が戦っても吸収は行われない。また風音、弓花やティアラも鍛えることでステータスを上昇させることは可能なようだった(弓花が実際に修行でレベルアップしている)。

「うん、ティアラも頑張ったね」

 風音のその労いの言葉にティアラが心底嬉しそうに微笑む。この娘はどこに行こうとしているのか。未来が怖い。

「ジンライさん、今日はここらで上がろっか?」

「うむ。そうだな。このメンバーの能力も大体は把握できただろうしな。目的は十分に達せられただろう」

 その横にいる弓花とルイーズも頷く。

「そんじゃ帰ろうか」

「帰り道は大丈夫か?」

「問題なーし」

 ジンライがさきほどから紙にマッピングしていたが、風音は「コマンドオープン」と口にし、マップの項目を選んで表示させる。オートマッピングである。さらに風音達の時代では標準的なナビゲーションシステム付きである。技術の進歩が恐ろしい。

「あれ?」

 その地図を見ながら、風音は首を傾げた。

「どうした?」

 ジンライの質問に「えっとねえ」と言いながら風音はジンライの地図を見ながら「こことここで」「ふむ」「こうなってるんだけど」「なるほど、その可能性は」などと二人で話し始めた。

「どうしたの?」

 その二人に弓花が声をかける。

「弓花もマッピング連動させてるんだからマップ開いてみてよ」

「うん?」

 開いてみた。そこには風音の指定した猫のマーカーが描かれていて、それは壁の中だった。

「ここさあ。道の配置とかおかしいし、隠し部屋ってやつじゃないかな」

「あーそうかも」

 弓花が頷く。その裏でティアラとルイーズとメフィルスがなんだろう?という顔で見ていた。

「まあ、ちょうど帰り道だし実際に確かめてみればいいだろうな」

 ジンライはそう言い、元来た道を戻り始め、一行もそれに続いた。



◎オルドロックの洞窟 入り口


「おや、思ったよりもお早いお帰りですね。やはり彼女には荷が重かったのではないですか?」

 そう口にするギルド管理官に風音はドンドンドンと蟻酸瓶を3つ並べた。

「なっ!?」

 管理官は驚きの声を上げる。

「満タンでーす」

 風音がそう言うと管理官は瓶を開けて確かめる。

「うっ」

 管理官の顔が狐のようになる。臭いがキツいのだ。

「これだけの量、どれだけ狩ったんですか?」

「えーと、30ぐらい? ティアラが倒したのは4匹くらいかな」

 倒したのは召喚された炎の騎士だが、これは召喚師の討伐数として加算されるルールだ。

「そうですか。うむむ、なるほど」

 管理官は難しい顔をして、唸った後、最初の時にティアラを引き留めたことを謝罪する。

 その後風音が「キンバリーさんと同じような性格なんだねえ」と口にすると「憧れの先輩です」と返してきた。メフィルスは「ふん」と顔を背けていたが「まあ、分かったのなら許そう」とぼやいたのを抱き抱えていたルイーズは聞いていた。

 その後、拡大期の可能性をジンライが告げると管理官もいくつか報告が上がっているとの答えが返ってきた。ティアラを止めたのもそのことがあったためだったらしい。そして例の隠し部屋だが



◎オルドロックの洞窟近辺 ゴーレムコテージ


「いいんですの、これ?」

 ティアラは風音から透明な四角い缶ペンケース状の水晶を渡されていた。

「うん。ルイーズさんにも相談したんだけどティアラが持っているべきだろうって」

 隠し部屋から発見されたのは風音の紅の聖柩、ジークの蒼天の棺の下位に当たる無垢なる棺というアイテム。魔力に+50補正をかけるレアアイテムだ。

「これ売れば一財産よねえ」

「買うとその3倍はするらしいから必要な人間に持たせるのが一番良いよ」

「ま、お金には困ってないからいいわん」

 ちなみに今一番お金がないのは無収入のティアラで続いては浪費癖のある風音だ。

「うう、ありがとう。カザネ、これ家宝にします」

「あーうん」

 微妙に返答を濁して返す風音。そこまでのものでは……とも言おうと思ったが、実際に家宝にするぐらいにレアなアイテムでもあるのだ。特に召喚師を輩出するティアラの家系としてはそれは必須となるようなアイテムであった。

「そういや、今回は異界ってのには入らなかったんだよね」

 風音は気になっていたことをジンライに尋ねた。

「正確にはあそこも異界だったんだがな。天然の洞窟があそこまで人が通れるように広がってるわけもないしな」

 当然普通は隠し部屋もレアアイテムもない。

「まあそうだね」

 確かにあの洞窟は天然物であるはずなのに明らかに人工的な作りであった。

「ただ明らかに異界と分かるのは3階層から4階層辺りからだろう。ティアラ様もその水晶を付ければ魔力も十分だろうし明日には到達できるだろうよ」

「そっか。いやー楽しみだなあ」

 そう言って風音はニマニマとした。弓花は「あ、気持ち悪い方の笑顔だ」と思って槍術の教本に視線を戻したがティアラは気にせず抱きついた。

名前:由比浜 風音

職業:魔法剣士

称号:オーガキラー

装備:杖『白炎』・両手剣『黒牙』・白銀の胸当て・白銀の小手・銀羊の服・甲殻牛のズボン・狂鬼の甲冑靴・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩・英霊召喚の指輪

レベル:20

体力:70

魔力:114+300

筋力:27

俊敏力:22

持久力:16

知力:27

器用さ:19

スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』

スキル:『ゴブリン語』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚』『ゴーレムメーカー:Lv2』『突進』『炎の理:二章』『癒しの理:二章』『空中跳び』『キリングレッグ』『フィアボイス』『インビジブル』『タイガーアイ』『壁歩き』


風音「宝箱か。あれってゲームやってるときにすごい疑問に思うよねえ」

弓花「誰も発見してない遺跡とかならまだしも近くの洞窟で薬草とか入っててもね」

風音「薬草もよく分からないよね。某ゾンビゲームのハーブとか寧ろそっちの方がスゴクね?的な」

弓花「謎がいっぱいだね」


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