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これが運命ではなかったとしても  作者: gacchi(がっち)


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31.疑問

それからしばらくは平穏な日が続いた。


シンディ様は周りにいる令嬢が一人もいなくなって、

教室内に居づらそうな感じがしていた。


だが、私が気を遣おうと思っても、

にらまれるだけなので何もできない。


私はダイアナとアラベルと一緒にいるようになったからか、

いろんな令嬢から声をかけられることが増えた。


今まで誰からも声をかけられなかったのは、

やはりシンディ様が流した噂のせいらしい。


特に危害を加えてくることがないとわかった今は、

アントシュの話し方を習いたい令嬢たちの方が多かった。


今日も令嬢たちに囲まれながら、

ダイアナとアラベルにアントシュの話し方を教える。

最初は難しいと苦戦していた二人も、

次第にうまくなってきている。


ふと、シンディ様がこちらを見ているのに気がついた。

くやしそうな悲しそうな表情に、声をかけようかと迷う。


「ルーチェ様、どうかしたのですか?」


「いえ、なんでもないわ」


「もしかしてシンディ様ににらまれたのですか?」


「まぁ!シンディ様ってば、こりないのですね。

 先日、陛下から叱られたと聞きましたけど」


「え?そうなの?」


「ええ……あ、ここだけの話にしておいてくださいね。

 陛下に呼び出されたシンディ様は言い訳を重ねたそうなのですが、

 そのせいでよけいに叱られたそうですわ。

 でも、何が悪かったか理解していないように見えたそうですけど」


「そうだったの……」


シンディ様が悲しそうだったのは陛下に叱られたからかもしれない。

私が来るまで、シンディ様は自分が養子だと知らなかった。

可愛がってくれていた父と血のつながりがないとわかって、

どれだけ悲しかっただろうと思う。


その上、私に関わることで叱られたとなれば……。

怒りの矛先が私に来ても仕方ないかもしれない。


とはいえ、私だけが悪者になればそれでいいというわけではない。

私の評判が悪くなれば、婚約者であるアルフレッド様の評判も悪くなる。


難しいところだと思っていたら、

雰囲気を変えるようにアラベルが話題を変えた。


「そういえば、ルーチェ様は次の夜会には出席されるのですか?」


「ええ、その予定よ」


「もうドレスはできたのですか?」


「今、仕立てているところなの。もう少しで出来上がると思うわ」


「そのドレスはアントシュ風のものなのですか?」


「いいえ、アントシュの仕立て屋に頼んだわけではないから、

 ベルコヴァ風になると思うわ」


「そうなのですが。まぁ、どちらでもルーチェ様ならお綺麗でしょうね」


「ふふ。ありがとう」


普通に会話だけ聞いていればおだててくれているようだけど、

二人は無理に褒めたりすることはない。

だから素直に受け取ることができる。


「ですが……王弟殿下がパートナーになるのですよね?」


「ええ、もちろん」


「ずっと聞こうと思っていたのですが……」


「何かしら?」


声をひそめるダイアナに、

人に聞かれてまずいことなのかと耳を近づける。


「ルーチェ様は王弟殿下から逃げたいと思わないのですか?」


「え?」


「政略結婚で婚約させられたのですよね?」


「政略……というほどのものではないと思うけど」


都合がよかったから婚約者になったのだとは思う。

アルフレッド様は女性たちから、シンディ様から逃げたかった。

ちょうどよくうるさくない私がこの国に来ることになったから婚約した。

ただそれだけの関係だ……。


「……恐ろしくないのですか?」


「アルフレッド様が?」


「ええ……冷酷王子と呼ばれているのはご存じで?」


「聞いたことはあるわね。

 女性に冷たくしていたのでしょう?」


「……いえ、それだけではないのですが」


「他に何かあるの?」


周囲の女性に冷たくしていたから冷酷王子なのだと思っていたのに、

他に理由があるらしい。

だけど、二人は顔を見合わせて口を閉じた。


「言えないような理由なの?」


「ルーチェ様が知らないのであれば、

 私たちが教えていいことなのかわかりません」


「……そうなのね。

 わかったわ。

 あなたたちから聞いたとは言わないでアズに聞いてみる」


二人が言ったとは知られないとわかり、ほっとした顔になる。

それほど言ってはいけないような理由があるのだろうか。


学園から宮に帰ると、アルフレッド様は留守だった。

陛下と夜会の打ち合わせがあるらしい。

ちょうどいいと思ってアズに聞いてみる。


「ねぇ、アルフレッド様ってどうして冷酷王子って呼ばれているの?」


「……女性に冷たい態度だったからでしょうか」


「それ以外にも理由があるみたいだけど?」


「どなたから聞いたのですか?」


「噂が聞こえたの」


「そうですか……」


やはり他の理由があるらしい。

アズは考え込むような顔をして黙ってしまった。


「どうしても言えないことなら言わなくていいわ」


「そうですね……私が言っていいことなのかわからないので、

 アルフレッド様に直接聞いたほうがいいかもしれません」


「わかったわ」


だけど、直接本人に聞いていいものなのだろうか。

アルフレッド様って冷酷王子なの?って。



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