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これが運命ではなかったとしても  作者: gacchi(がっち)


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29.侵入者

これでもうドロテのことで心配しなくていいと思っていたら、

その日の夜中、隣で寝ていたアルフレッド様に小声で起こされる。


「ルーチェ……ルーチェ」


「……はい?」


こんな夜中にどうしたのかと思えば、大きな声は出さないようにと注意される。


「侵入者だ。もうそこまで来ている」


「え……」


私が起こされている間に、侵入者が私室の近くまで来ていた。


「こうなったら、部屋の中まで来させる。

 そこで捕まえるから、ルーチェはじっとしていて」


「……はい」


アルフレッド様も寝ているふりをするのか、

ベッド横に置いてあった剣を手にして毛布へもぐりこんでくる。


二人で息を殺して待っていると、ドアがきぃと開いた。


誰かがそろりそろりと足音を消して近づいてくる。

ベッドのすぐ横まで来ると、ぱさりと何かが落ちる音がした。


「……アルフレッド様」


「…………誰だ」


「ドロテです……お願いです。騎士でいさせてください。

 そのためなら何でもいたします。

 お願いです、ここに、この宮にいさせてください。

 アルフレッド様のおそばにいたいのです」


アルフレッド様が手元の灯りをつけ、急に明るくなる。

それから少し遅れて、壁に何かがぶつかる音がした。


「うぐぅ!」


「アズ!侵入者だ!捕らえろ!」


大きな声でアルフレッド様が叫ぶと、アズがすぐに私室に入って来る。


「アルフレッド様、大丈夫ですか!?」


「侵入者だ!騎士をよべ!」


「わかりました」


こっそり毛布の隙間からのぞくと、床にドロテが倒れていた。

それもかなり派手な下着姿でひっくり返っている……。

立ち上がったアルフレッド様を見れば、剣はさやに入ったまま。

剣を抜かずに打倒したらしい。


「アルフレッド様、ドロテは……」


「気を失っているだけだ。

 騎士がこの部屋に来るから、ルーチェは絶対に毛布から顔を出すな」


「あ、はい」


そうだった。同じ部屋に寝ていることは秘密なんだった。

私がここにいるのが騎士に知られるのはまずい。


バタバタと騎士たちがこちらに向かって来る音がする。

絶対に見つからないように、毛布に深くもぐる。


「アルフレッド様、侵入者は!え?ドロテ!?」


「こいつが俺のベッドに入ってこようとした。

 牢に連れていけ」


「ドロテが……このままですか?」


「このままだ」


「わかりました」


数人が部屋に入ってくる音がする。

おそらくドロテを持ち上げようとしたのだろうけど、

ドロテの意識が戻ってしまった。


「え?」


「ドロテ……自分の足で立てるか。牢へ行くぞ」


「え、牢?あ、いえ、これは違います、誤解です……」


「いいから、来い」


「アルフレッド様!助けてください!これには理由があるんです!」


「ドロテ!無理やり担いで連れて行かれたいのか!」


「アルフレッド様!!」


「うるさい!黙れ!誰か、口をふさげ!」


「……うう。わかりました、黙ります。

 でも……あの、服を着させてください……せめて服を」


「ダメだ、来い」


「……そんな」


だんだんと声が遠くなっていく。


遠ざかる足音に安心していると、もういいぞと聞こえる。

顔を出すと、アルフレッド様だけではなくアズがいた。


「お二人とも、大丈夫でしたか?」


「ああ。気がつくのが遅れてしまったが、何も問題はない」


「ドロテはここで服を脱いだんですね」


アズが床に落ちていた服を拾う。

どうしてドロテは下着姿だったんだろう。


「ねぇ、アズ。どうしてドロテは服を脱いだの?」


「……えっと、それはですね。

 アルフレッド様に夜這いをかけたのでしょう」


「夜這い?なんのために?」


「どうしてでしょうね?アルフレッド様が好きだったのか、

 身体を許す代わりに騎士でいさせてほしいと願い出るつもりだったのか。

 どちらにしても、ルーチェ様がここにいると知らなかったからでしょうね」


「それはそうだろうな。

 さすがにわかっていて夜這いには来ないだろう」


夜這いって、そういうことをしに来たってことよね。

女嫌いと言われているアルフレッド様が誘いにのると思っていたのかしら。


「でも、これでドロテを解雇したことに誰も文句を言えなくなりますね」


「そうだな……とりあえず、夜も遅いんだ。

 ルーチェを寝かせよう。ドロテのことは明日だ」


「わかりました。おやすみなさい」


ぺこりと頭を下げてアズが部屋から出て行く。

アルフレッド様は灯りを消してベッドに戻って来る。


「眠れそうか?」


「……大丈夫です」


「そうか」


私の言葉を信じていないのか、アルフレッド様が私の髪をなでる。

優しく撫でられているうちに目が重くなり、起きていられなくなる。


……あと二年したら、結婚するのに、

こんな子ども扱いで結婚なんてできるのだろうか。



翌朝、学園に向かう時間にはドロテのことが知れ渡っていた。

夜中に捕まったドロテは下着姿のまま牢まで連れて行かれた。

その姿を夜間の警備にあたっていた者たちが目撃し、

朝になって交代に来た者たちに話したらしい。


それは騎士の宿舎に住んでいるジルとルウイも聞いたようで、

学園に向かう馬車の中で本当なのかと聞かれた。


「私は寝ていたから知らないけれど、

 アルフレッド様の部屋に侵入しようとしたらしいわ」


「……本当だったんですか」


「どうしてそんなことを……」


沈んだ声の二人とは違い、カリナはドロテに冷たかった。


「何を言っているんですか。ドロテは下着姿で侵入しているんですよ!?

 アルフレッド様に近づくのが目的だったに決まっています!

 護衛騎士をやりたいなんで嘘だったんですよ!」


「嘘か……そういえば、あまり楽しくなさそうだったよな」


「ああ、念願かなって護衛騎士になったはずなのに、

 あまり真面目ではなかったかもしれない」


「そうですよ!私たちは騙されたんです!」


カリナはドロテが夜這いをかけたことに失望したのか、

学園につく前の間ずっと怒っていた。


そして、その話題は学園の令嬢たちにも伝わったようで、

一週間後にはシンディ様や応援していた令嬢たちを責める声も出ていた。







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