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これが運命ではなかったとしても  作者: gacchi(がっち)


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26.予想外の行動

護衛騎士になれなかった女性騎士四人は、

騎士団のもとでまた訓練を再開することになった。


だが、ドロテだけはあきらめられなかった。


アルフレッド様が剣技場に行くたびにつきまとい、

どうしても護衛騎士になりたいのだと訴えはじめた。


「お願いします!どうしてもアルフレッド様のもとで働きたいのです!

 どうか、ルーチェ様の護衛にしてください!」


「ダメだと言っただろう」


「お願いします!なんでもしますから!」


さすがに騎士団長がドロテを叱りつけ、

アルフレッド様に近づかないようにきつく命じた。


これでもう安心できると思っていたけれど、

ドロテは予想外の行動に出た。




護衛騎士の面接から二か月後。

いつものように学園に向かうと、教室の廊下にドロテがいた。


「え?」


驚いた私に、ジルとルウイが庇うように前に立つ。


「あ、ルーチェ様、おはようございます。

 今日からシンディ様の護衛騎士になりました。

 先輩方、どうぞよろしくお願いいたします」


「……シンディ様の護衛?」


「はい、そうです」


どうやら廊下にいたのはシンディ様の護衛だったからのようだ。

ジルとルウイが廊下で待っているのと同じで、

今後はドロテも廊下で待機することになるらしい。


騎士団で訓練していれば他の者の護衛になれるかもしれない、

アルフレッド様がそう言っていたのを思い出した。


驚きながらも納得して、ジルとルウイと別れて教室に入る。

中に入ると、シンディ様がこちらを見ていた。


何か言われるのかと思ったら、シンディ様はうれしそうににやりと笑う。

ただそれだけなのに、

ドロテを護衛騎士にしたのはシンディ様の嫌がらせだとわかった。


アルフレッド様の宮に、私の護衛騎士になれなかったのを知っていて、

わざと自分の護衛にしたんだ……。


でも、実際には何か言われたわけじゃない。

私がシンディ様の目を見て、そう思っただけの話。


こんな不確定のことをアルフレッド様に言うわけにもいかず、

モヤモヤした気持ちで帰る。


馬車に乗って城に戻る途中、

どうしても抑えきれなかったのかルウイに聞かれる。


「ルーチェ様、どうしてドロテは護衛騎士になれなかったんですか?」


「え?どうして?」


「いや、待機中に少し話したんですけど、

 ドロテはルーチェ様の護衛騎士になりたくて、

 今はシンディ様の護衛として修業中だなんて言うんですよ。

 護衛としての腕を磨いて、いつかは採用されたいって」


「そう……」


ドロテの面接の場にジルとルウイはいなかった。

だからどうして落とされたのか想像するしかない。


真面目で熱意もあるドロテが、

どうしてもアルフレッド様の宮で働きたいという願いに、

同情してしまっているみたいだ。


「女性騎士四人を落としたのはアルフレッド様だから。

 私に聞かれても困るわ」


「ルーチェ様が気に入らなかったわけじゃないんですね」


「私は何も言っていないわ」


採用してほしいとも思っていなかったけれど、

落とされたことには関係ない。


亡くなった恋人がアルフレッド様を暗殺しようとしていたから。

なんて本当のことを教えられるわけがない。


その日は会話はそこで終わったからよかったけれど、

次の日からもジルとルウイはドロテと交流していた。


真剣に訴える姿に共感したのか、

ジルとルウイはドロテを応援するようになっていった。


ドロテを応援する声はそれだけではなく、

侍女のメアリーとカリナからも聞くようになった。


「亡くなった恋人と同じ職場で働きたいなんて、

 健気すぎて応援したくなるんです」


「そうですよ。

 ルーチェ様にも女性騎士をつけたほうが絶対にいいんですから、

 ドロテを採用してもいいんじゃないですか?」


「私に言われても、ドロテを採用することはできないわ」


「そうなんですかぁ……」


「王弟殿下の考え次第なんですね……」


がっかりする二人に、なんて言えばいいのかわからない。


ドロテは私には挨拶をするだけだったけれど、

目があきらめていないと訴えていた。


そのうち、なぜか学園の令嬢たちの間で、

ドロテを応援する会ができていた。


シンディ様がお茶会で語ったのが原因だった。

亡くなったドロテの恋人。

そして、どうしてもアルフレッド様の宮で働きたいドロテの想い。

そんなことを聞いた令嬢たちは、私へ訴えてくるようになった。


「王女様、お願いです!ドロテを護衛騎士にしてあげてください!」


「……どちらの令嬢かしら」


何も言わない令嬢の場合はほうっておくが、名乗った場合はアズに伝える。

何度か報告をしていたら、アズが困り果てたような顔でため息をついた。


「困った事態になっていますね」


「そうなの……ジルもルウイも、メアリーもカリナも。

 同じ教室の令嬢たちもほとんどが応援しているのよ。

 ……かといって落とした理由は言えないし、どうしたら」


「……一度、護衛騎士にしてみますか」


「え?ドロテを?」


「はい。護衛騎士にしてから、ダメな理由を見つけましょう」


名案のように言うけれど、本当にそれでうまくいくの?


アズの案を聞いたアルフレッド様も、ため息をついていた。


「それでうまくいくとは思えないんだがな」


「ドロテはアルフレッド様の宮で働くのが願いなんですよね?

 だからいろんな人の手を借りて実現しようとしている。

 ですが、それが叶ったあと、ドロテはどうするんでしょう」


「どうするって?」


「満足するのでしょうか」


「……」


情熱の塊のようなドロテ。

アルフレッド様の宮に来て、私の護衛騎士になって。

それで満足して落ち着くだろうか?


……なんとなく違う気がする。


「ドロテは私の護衛騎士になっても落ち着かないと思うわ」


「ですよね?ですから、ドロテの望みをかなえて、

 一方ではドロテの願いを叶えないことにすればいいんです」


「ん?どういうこと?」


アズの作戦を聞いて、私とアルフレッド様も納得することができた。

最初の面接から四か月。

ドロテは私の護衛騎士として採用されることになった。



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